ロッキー・ホラー・ショー
1975年のミュージカル・ホラー映画
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『ロッキー・ホラー・ショー』(原題:The Rocky Horror Picture Show)は、1977年に公開されたアメリカ映画。トランセクシャルな宇宙人を名乗るマッドサイエンティストが住む怪しげな古城に迷い込んだ若い男女を描くミュージカル・コメディ・ホラー映画。リチャード・オブライエンによる同名の舞台劇を原作とし、監督をジム・シャーマン、脚本をシャーマンとオブライエンが行い、オブライエンは重要な脇役であるリフ・ラフも演じた。個性的な主人公フランクン・フルター博士をティム・カリーが演じ、他にスーザン・サランドン、バリー・ボストウィックが出演している。
| ロッキー・ホラー・ショー | |
|---|---|
| The Rocky Horror Picture Show | |
| 監督 | ジム・シャーマン |
| 脚本 |
ジム・シャーマン リチャード・オブライエン |
| 製作 | マイケル・ホワイト |
| 製作総指揮 | ルー・アドラー |
| 出演者 |
ティム・カリー スーザン・サランドン バリー・ボストウィック リチャード・オブライエン |
| 音楽 | リチャード・ハートリー |
| 撮影 | ピーター・シュシツキー |
| 編集 | グレイム・クリフォード |
| 配給 | 20世紀フォックス |
| 公開 |
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| 上映時間 | 99分 |
| 製作国 |
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| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $1,200,000 |
| 次作 | ショック・トリートメント |
公開当初は批評家たちからほぼ無視されていたが、深夜映画としてロングランヒットした。特に観客自ら映画の展開に合わせて登場人物かのように踊ったり小道具を用いたりして盛り上がるという参加型上映(Audience Participation)の奔りとされる。カルト映画(ミッドナイトムービー)の代表作の1つとして認識され、2005年に、アメリカ議会図書館によって、アメリカ国立フィルム登録簿に「文化的、歴史的、芸術的に重要な映画」として保存されることが決定した[1]。
プロット
まず冒頭にて黒い背景に宙に浮いた赤い唇が、歌いながら、これは「SF怪奇映画二本立て」であることを予告する(「サイエンス・フィクション/2本立て」)。また、映画全般において劇中の時間軸よりも未来の犯罪学者が解説するというシーンが、たびたび幕間として挿入される。
世間知らずの若いカップルであるブラッド・メジャーズとジャネット・ワイスは、参加した友人の結婚式の素晴らしさにアテられ、その場で婚約する(「ダミット・ジャネット」)。そしてその報告をするため、恩師のスコット博士の家へ車で向かう。暗く雨の降る夜半の山道にてタイヤがパンクして立ち往生してしまい、助けを求めて彷徨うと怪しげな古城を見つける(「フランケンシュタインの屋敷に」)。電話を貸してもらおうとするだけのブラッドであったが、怪しげな執事のリフ・ラフとメイドのマジェンタのペースに乗せられ、ジャネットと共に屋敷の奥へと案内される。そこはパーティ会場となっており、グルーピーのコロンビアと彼女に率いられた奇妙な服装の客たちは軽快に踊りながら2人を迎え入れる(「タイム・ワープ」)。音楽が佳境に達すると、この城の主で、女装したマッドサイエンティストであるフランクン・フルター博士が現れる。博士は自己紹介[注釈 1]をすると、2人に今晩は泊まっていくように勧める(「スイート・トランスヴェスタイト」)。
次々と起こる出来事に動揺し、さらに濡れている服を脱がされて下着姿となった2人は、他の客人らと共に今度はタイル張りの別の階の部屋(研究室)に案内される。そこでフランクンはブロンドで筋肉質の美男子である人造人間のロッキーを起動させる(「ダモクレスの剣」)。そしてフランクンは、ブラッドらにロッキーを自慢し、彼を一週間で理想の男に改造すると宣言する(「男にしてあげる」)。その時、併設された冷蔵室より額に切り傷のある凍りついたバイカーのエディがバイクに乗って現れる。彼はロックンロールを歌い、彼の恋人であったコロンビアは喜び、ロッキーも含めた客たちもそれに合わせて踊りだす。しかし、ロッキーがエディの音楽に惹かれたことに嫉妬したフランクンは、ピッケルでエディを惨殺する(「ホット・パトゥーティー〜ブレス・マイ・ソウル」)。怯えるロッキーに「安楽死だ」と説明したフランクンは、結婚式であるかのように客たちに祝福されながらロッキーと腕を組み、豪奢なベッドへと向かう(「男にしてあげる・リピート」)。
ブラッドとジャネットは別々の寝室に案内され、それぞれの相手に変装したフランクンが訪れて2人を誘惑する。一方、リフ・ラフとマゼンタはロッキーをいじめ、彼は寝室から逃げ出す。フランクンに身体を許し後悔するジャネットは、今度はフランクンとブラッドの情事を知り憂鬱となる。そして研究室にて隠れていたロッキーを発見する。ジャネットはロッキーの傷の手当てをするうちに彼に惚れ、誘惑し始める。その様子を隠しカメラでマジェンタとコロンビアが見ており、盛り上がる(「タッチ・ミー」)。
その中で、城に新たな訪問者としてスコット博士が現れる。ブラッドらの知り合いということでフランクンは屋敷に迎え入れることを決めるが、その際にジャネットとロッキーの情事を知り激怒する。そしてジャネットは下着姿のまま、スコットを迎えての気まずい夕食会が始まる。その席上でスコットは行方不明になった、やんちゃな甥エディを探していること、そして彼から脳の一部を宇宙人に摘出されたと伝える血文字の手紙を受け取っていたことを明かす。観念したかに見えたフランクンがテーブルを崩すとエディの死体が現れ、振る舞われた肉料理が彼のものだとわかる(「エディ」)。悲鳴をあげるジャネットがロッキーに抱きついたことで嫉妬したフランクンが激怒し、逃げた彼女を追って研究室へ向かう。怒りが収まらないフランクンはリフ・ラフに命じ、「メデューサ・トランスデューサー」を用いて、ジャネットと彼女を庇うブラッドとスコットを裸の彫像に変え、さらに自分とエディを捨てたと批難するコロンビア、発端となったロッキーさえも彫像に変える(「プラネット・シュマネット」)。
フランクンは彫像たちをRKOタワーとプールを備えたライブキャバレー・フロアに運び、キャバレーの衣装を着せる。フランクンが彫像を元に戻すとブラッドらと共に曲に合わせて歌い、踊り、最後は全員でプールに飛び込みペッティングをし合う(「フロア・ショー/世界をバラ色に染めて」)。するとそこにSFチックな服装をしたリフ・ラフとマジェンタが現れ、ショーを妨害する。彼らはフランクンは任務に失敗したと指摘し、故郷のトランスセクシュアル星に帰ると告げる。フランクンは哀切を込めて歌い上げ、理解を求めるも、二人には通じず、コロンビアと共にレーザー銃で撃たれ死亡する(「ゴーイング・ホーム」)。これに激怒したロッキーはフランクンの遺体を担ぐと、RKOタワーのセットを登り始めるが、度重なる銃撃に最後は落下し死亡する。リフ・ラフはスコットらにここから立ち去るよう命令し、3人が城の外に慌てて逃げ出すと、間もなく城は宇宙へと打ち上げられる。その際に発生した土埃の中をブラッド、ジャネット、スコットの3人は混乱状態で這いずり回る。最後に犯罪学者が、人類は地球の表面を這う昆虫に過ぎず、「時間と空間を失い、そして意味を失った」と締めて物語は終わる(「スーパー・ヒーロー」)。
キャスト
- ティム・カリー - フランクン・N・フルター博士役。トランセクシャルな宇宙人の科学者。
- スーザン・サランドン - ジャネット・ワイズ役。ブラッドの婚約者。
- バリー・ボストウィック - ブラッド・メイジャース役。ジャネットの婚約者。
- リチャード・オブライエン - リフ・ラフ役。せむしの執事でマジェンタの兄。
- パトリシア・クイン - 暴力的なメイドでリフ・ラフの妹。
- リトル・ネル - コロンビア役。グルーピーで、フランクンの元恋人。
- ジョナサン・アダムス - スコット博士役。ブラッドらの恩師でエディの伯父。
- ピーター・ハインウッド - ロッキー・ホラー役。フランクンが作った人造人間。
- ミート・ローフ - エディ役。バイク配送屋で、フランクンとコロンビアの元恋人。
- チャールズ・グレイ - 犯罪学者役。幕間などで解説を行う。
製作

ロンドンの小劇場で始まったリチャード・オブライエン作のロック・ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』は、奇抜な内容ながら熱心なリピーターを獲得し、アメリカ合衆国のロサンゼルスやオーストラリアでも上演された。
映画化されたのは舞台開幕から2年後の1975年。舞台からこの作品にかかわっている監督のジム・シャーマンは、有名ロックスターを使った大予算映画の提案を蹴り、オリジナルのキャストとスタッフを集めた低予算映画にする道を選んだ。フランクン・フルター城にはオークリー・コートが使われた。
ティム・カリーをはじめ、リチャード・オブライエン、パトリシア・クイン、ネル・キャンベル、といったオリジナルの個性的な面々に、スーザン・サランドン、バリー・ボストウィック、ミート・ローフなど新規のアメリカ人キャストも加わった。
主な楽曲
- 邦題は日本国内版のサウンドトラックに準じ、未収録曲については舞台版に準じた。
- サイエンス・フィクション/2本立て "Science Fiction, Double Feature" (リチャード・オブライエン[注釈 2])
- ダミット・ジャネット "Dammit, Janet" (ブラッド、ジャネット)
- フランケンシュタインの屋敷に "Over At The Frankenstein Place" (ブラッド、ジャネット、リフ・ラフ)
- タイム・ワープ "Time Warp" (リフ・ラフ、コロンビア、マジェンタ、ナレーター&ザ・トランシルヴェイニアンズ)
- スイート・トランスヴェスタイト "Sweet Transvestite" (フランクン・フルター)
- ダモクレスの剣 "The Sword Of Damocles" (ロッキー)
- 男にしてあげる "I Can Make You A Man" (フランクン・フルター)
- ホット・パトゥーティー〜ブレス・マイ・ソウル "Hot Patootie- Bless My Soul" (エディ)
- 男にしてあげる・リピート "I Can Make You A Man -Reprise" (フランクン・フルター)
- ワンス・イン・ア・ホワイル "Once in a while" (ブラッド)※オリジナル版(デラックス版)のみ
- タッチ・ミー "Toucha-Toucha-Touch Me" (ジャネット)
- プラネット・シュマネット "Planet Schmanet" (フランクン・フルター)
- エディ "Eddie's Teddy" (スコット博士、コロンビア)
- フロア・ショー/世界をバラ色に染めて "Rose Tint My World"/"Fan Fare"/"Don't Dream it Be it"/"Wild & Untamed Thing"
- (コロンビア、ジャネット、ロッキー、ブラッド、フランクン・フルター、スコット博士、リフ・ラフ)
- ゴーイング・ホーム "I'm Going Home" (フランクン・フルター)
- スーパー・ヒーロー "Super Heroes" (ブラッド、ジャネト、ナレーター)
全17曲(Science Fiction, Double Feature(Reprise)を含む)の楽譜『THE ROCKY HORROR SHOW by RICHARD O'BRIEN 』が出版されている[2]
公開・反響
公開当初の評価は最悪で、試写会の席ではプロデューサーの目の前で客が次々に中途退席していったという。しかしカニバリズムなどの猟奇的であったり、麻薬などのインモラルな要素もあるものの、当時のほかの映画ではとても見られない奇怪なキャラクター、刺激的で洗練されたロック音楽と衣装・舞台のデザイン、ホモセクシュアルやバイセクシャルやトランスヴェスタイトや乱交も含めたエロティックな内容は、少数ずつながら確実に支持者を増やしていった。
公開1年後にアメリカで始まった深夜興行では、俗に言うコスプレをした観客が週末ごとに集まり、映画を見ながら全員でお約束のツッコミを叫んだり、紙吹雪や米をまき散らす、さらにはスクリーンの前で俳優が同時進行で演技するといった、パーティ形式の上映が定着した。この上映形態は舞台版と同様の熱狂的リピーターを続々と生み出し、やがてカルトムービーの代表格として必ずその名前が挙がる高みに本作を押し上げていった。この様子はミュージカル映画『フェーム』で見られる。日本でも模倣されて映画館によっては注意書きが書かれることもあった。
あえて流行りものを排除したという映画の内容は、公開から35年以上が経過した2010年以降もなお古びておらず支持されており、熱心なリピーターに支えられて上映会は2010年現在でも世界中のそこかしこで行われている[注釈 3]。2015年のインタビューでリチャード・オブライエンは、「『人と違うこと』を祝福していること」が評価されたと述懐しており[4]、2015年9月にはリバイバル版が上映された[5]。
続編
同スタッフによる関連作に、この劇中での出来事の後日設定の『ショック・トリートメント』(1980年)があるが、同じ役はブラッドとジャネットだけで演じている俳優が違い、ジャネットは『ファントム・オブ・パラダイス』のヒロイン、ジェシカ・ハーパーが演じており、本作に出演したリチャード・オブライエン、パトリシア・クイン、ネル・キャンベル、チャールズ・グレイらが出演しているものの、こちらは役柄が全く別で、内容もテイストも違う映画になっている。
日本語版
| 役名 | 俳優 | 声域 | 日本語吹替 |
|---|---|---|---|
| TBS版 | |||
| フランクン・フルター博士 | ティム・カリー | バリトン | 江原正士 |
| ジャネット・ワイズ | スーザン・サランドン | メゾソプラノ | 高島雅羅 |
| ブラッド・メイジャース | バリー・ボストウィック | テノール | 井上和彦 |
| リフ・ラフ | リチャード・オブライエン | カウンターテナー | 池田勝 |
| マジェンダ | パトリシア・クイン | アルト | 吉田理保子 |
| コロンビア | ネル・キャンベル | ソプラノ | 滝沢久美子 |
| スコット博士 | ジョナサン・アダムス(英語版) | バス | 吉水慶 |
| ロッキー | ピーター・ハインウッド(英語版) | テノール | |
| エディ | ミート・ローフ | テノール/カウンターテナー | |
| 犯罪学者 | チャールズ・グレイ | 上田敏也 | |
| 翻訳 | 貴家理沙 | ||
| 演出 | 田島荘三 | ||
| 調整 | 近藤勝之 | ||
| 制作 | コスモプロモーション | ||
| 初回放送 | 1988年12月8日 『木曜シネマパラダイス』 | ||
- 日本語吹替:2010年発売の『製作35周年記念 完全版Blu-ray』に収録