アルト
女声の声域の一つ
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名称
イタリア語で「アルト」という語は「高い」という意味であり、本来は(原則として男声の)高音を意味した。古くは教会音楽を女性が歌うことが禁止されていたため、男声のファルセット、カストラート、あるいは声変わり前の少年によって歌われたが、現在では女性が歌うのが普通になっているため、本来の意味とは逆の女性の「低い」音を指すようになった。
中世西洋音楽では上声部に対して持続音部をラテン語の「保持する」という意味の動詞「teneo」から派生した「tenor」の名で呼んだ[1]。アルス・ノーヴァの時代には上声部に対する低声部が複数に増え、tenorに対してもう一つの低声部を「contratenor」と呼んだ[2]。このcontratenorが後に高音の「contratenor altus」と低音の「contratenor bassus」に分かれ、前者がアルト、後者がバスになった。
アルトはまたコントラルトとも呼ばれ、上記の「contratenor altus」の省略に由来すると言われるが、『ニューグローヴ』第2版によるとそうではなく、歴史的にはファルセットによるものを「自然のアルト」としたのに対してカストラートによるものを「コントラルト」と呼んでいたが、後に女性の声にも転用されるようになり、カストラートが消滅した後は女声にのみ用いられるようになったものという[3]。英語圏ではアルトとコントラルトに使い分けがあり、女性の声質としてはコントラルトを使い、合唱の声部にはアルトを用いる。独唱でも男性が歌う場合はアルトということが多い。しかし実際には両者の区別はあいまいである[4]。
概要
女声は通常高い方からソプラノ、メゾソプラノ、アルトの3種類に分けられる。おおむねアルト歌手はF3からB5くらいの声域をもつ[5]。日本人のアルト歌手は現在、希少である。記譜は通常ソプラノと同様にト音記号が用いられる。
合唱で女声を2部に分けたときの下の声部の名前にも使われるが、上記の声域のアルトとは区別する必要がある。アルトのパートを歌うのは大部分がアルト歌手ではなくメゾソプラノである。4声体和声や合唱ではG3からE5くらいが用いられる。混声4部合唱ではテノールと合わせて内声、バスと合わせて低声とよばれる。
アルト独唱の使用
「アルト」の入った楽器名
著名なアルト歌手
- マリアン・アンダーソン(1897年 - 1993年)
- ポーリーヌ・ガルシア=ヴィアルド
- 川崎静子(1919年 - 1982年)
- エレナ・ゲルハルト
- 佐藤美子(1903年 - 1982年)
- ハンナ・シュヴァルツ
- ナタリー・シュトゥッツマン
- エルネスティーネ・シューマン=ハインク
- アンネット・一恵・ストゥルナート
- クララメイ・ターナー
- ヘルタ・テッパー
- クララ・バット
- ブリギッテ・ファスベンダー
- ビルギット・フィニレ
- キャスリーン・フェリア
- モーリン・フォレスター
- マルガ・ヘフゲン
- ルイーズ・ホーマー
- 柳兼子(1892年 - 1984年)
- 由利あけみ(1913年 - 2010年)
- 四家文子(1906年 - 1981年)
- 中村由利



