下ネタ

不適切なジョークを表すために使用される用語 From Wikipedia, the free encyclopedia

下ネタ下ねた(しもねた)は、性や排泄といった下半身に関する話題のこと[1]。「しも」は下半身、「ねた」は「たね(種)」を逆に読んだ隠語である[1][2]

下ネタと放送・芸能

マスメディアの中でも特にテレビラジオは、不特定多数なおかつ膨大な数の大衆に向けて発信される性質を持っており、比較的少数の、また価値観や嗜好を共有する均質な人々の集合であった寄席の観客とは大きく性質を異にする。そのため同じ下ネタでも、寄席や演芸舞台という場では演じられても、テレビやラジオなどの放送媒体では自粛される場合がある。

また、特にテレビ番組においては、必ずしも下ネタで笑いを取って来なかったお笑いタレントバラエティ番組で下ネタをネタとして使用することが多くなると、「下ネタにしか頼れなくなった」という評価がつき、タレントとしての商品価値の低下に繋がっていくこともある。反対に、一種のゲテ物系の色物として劣情や下ネタに特化した笑いを専門的に狙うタレントもいる。他方、トーク術や番組の司会運営、しゃべくり芸などについて高く評価されていても、やはり下ネタが頻出するため、テレビ局や番組制作会社から数多くの仕事が来るものの、警戒されて生放送の仕事がほとんど回ってこない、さらには、収録された内容も大幅に編集されてしまうため、テレビでは舞台の場で見せる本領とは程遠いパフォーマンスしか発揮できないというお笑いタレントも存在する。

特に生放送番組では、放送時間に関わらず必然的に下ネタも規制無しで堂々と喋るため、それらの番組がTVerNHKプラスなどで堂々とアーカイブ配信される場合、それらの発言は無音音声のみでよく観られる)にするか、発言シーン動画ごとカットする措置を採ることが多い。

子供への影響や、食事中に視聴者に与える不快感に配慮し、きわどい下ネタは深夜番組衛星放送でしか行われない傾向にある。また例えば、女性器の俗称は、ゴールデンタイムの番組では自主規制音がかぶせられるほか、クイズ番組で下ネタを含む正答をすると不正解扱いとされることが多い。代表例は『マジカル頭脳パワー!!』(日本テレビ系)で、排泄・性的表現を含む正答は強制的に不正解(勝ち残り系クイズでは退場)として扱われ、特に初期〜中期のレギュラー解答者所ジョージはこれにより司会の板東英二から減点を受けることが多かった[3]が、深夜番組ではカットされずそのまま放送されるなど、放送時間帯や視聴者層の違いにより扱いが異なる語句もある。また、視聴層の違いなどから、テレビと比較するとラジオの方が若干は寛容であるとされる。

ただし、ラジオ番組でも専ら夜間の番組(概ね19時〜翌日4時(前日28時)台まで)で主に行われ、1970年代に『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)のパーソナリティである笑福亭鶴光が積極的に採り入れたのがその走りといえる。全日帯番組でも消極的ではあるが、実施している番組もあるにはあり、例として、CBCラジオ1993年改編から始めたワイド番組における2番目の番組である『つボイノリオの聞けば聞くほど』が代表格。熊本放送の1クール遅れた同年秋改編開始、同一時間帯に放送されている番組である『とんでるワイド 大田黒浩一のきょうも元気!』はコーナーである「お笑い丼」(11時台)で主に実施され、下ネタを「よかばい話」に言い替えている。女性パーソナリティが担当するアシスタントの意向で、実施されないこともある。それも祝日や長期休暇などの小学生以下における子供が聴きやすい環境におかれている場合は、下ネタそのものが一切行われていない傾向にある。低年齢層向けのものについては、完全に下ネタを避ける傾向は見られる。

放送文化よりも歴史の長い落語の中には、「実の母と関係する話」(『故郷へ錦』)や「会話の流れで小便を飲ませる話」(『禁酒番屋』)のような際どい話があり、これらが寄席において公演された時代もあったが、テレビやラジオでこの種の下ネタを含むものが演じられることはあまりない。ただし、落語等古典芸能では「内容の一部に不適切なものがあるが、作品を尊重して」などの前置きがあり、放送される例もある。

演芸文化における下ネタに対する許容度で関東関西を比較すると、かつては、芸に様式や粋を追求する傾向が強い関東では下ネタは避けられ、一方で「どんな手段を使ってでもお客様を笑わせてこそ、芸人はナンボ」という風潮が根強い関西の者が、お笑い芸人・客いずれも下ネタに対する許容度が高いと言われていた。ただし、1970年代に「お化け番組」の名をほしいままにしたTBSの『8時だョ!全員集合』におけるザ・ドリフターズ加藤茶の「ちょっとだけよ」など)や日本テレビの『笑点』での林家こん平(「肥溜め」など)や三遊亭小遊三(「半ケツ」「坐薬」など)などは例外だった。だが、吉本興業の全国展開で関西系、吉本系のお笑いタレントがお笑い市場において大きく幅を利かせている。1980年代になると首都圏では下ネタの許容も徐々に多くなり、ビートたけし志村けんをはじめとして、2010年代以降ではさまぁ〜ず星野源ナイツの様に下ネタを芸風の一部とする関東系タレントも登場している。それでも、関東では下ネタに対する反発は関西の芸能人が想像しているよりも根強いものがあり、番組出演者の間でちょっとしたトラブルになってしまうケース(例:『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン』における松本明子に対する四文字事件)や、TPOや視聴者層を考慮しないタレントの下ネタの連発から、関東の視聴者を中心に放送局へと抗議が集中するケースも見られる。もっとも、きわどい下ネタを頻発してもラジオスターとして聴取率の高さで関東でも生き残った笑福亭鶴光、谷村新司福山雅治という例もあるものの、関東では一般聴衆からの好き嫌いの差は極端に激しく、決して関西ほどに万人受けしているというわけではない。

また、初代林家三平の弟子や孫弟子などといった、『(初代)三平一門』の流れを汲む落語家・お笑い芸人、萩本欽一のいわゆる『欽ちゃんファミリー』に属するタレントなど、関東の芸能タレントには現在でも一門の不文律などという形で下ネタをタブーとしている者が珍しくない。これについてはそれぞれ師匠格のお笑い芸人の芸の好みによるものであったかもしれないが、テレビへの出演が芸能文化の事実上の頂点となっている現代にあっては、一門のタレントたちの芸について、安易な下ネタに依存させないことで鍛え上げ、芸の幅を広げる結果に繋がっているとも言える。その一方で、このような事情で下ネタができないタレントは特定のお笑いタレントとの組み合わせが難しいなどの支障が見られることもあり、テレビ局にとっては番組制作上の難題になることも珍しくない。

下ネタに対する法的責任

一般に下ネタは下品な物と見なされており、猥談として用いられる事が多かったが、性加害への問題視が深刻化するようになった事により厳罰化の対象となり、相手に許可を取らずに性的な話を開始する事は公然わいせつ罪迷惑防止条例男女雇用機会均等法不同意わいせつ罪等の法的責任が発生して刑事罰の対象となり、犯罪行為となる(平成でも判例が平成10年3月11日・和歌山地裁・和歌山セクハラ事件、平成16年7月8日・横浜地裁・職員セクハラ事件等)[4][5][6][7][8]

脚注

関連項目

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