世界共和国へ
From Wikipedia, the free encyclopedia
社会の四形態
ノーム・チョムスキーの講演を引いて、産業先進国のとりうる形態は四つある(自由主義、福祉国家資本主義、国家社会主義、リバタリアン社会主義)が、1990年以降は、自由主義が他を席巻している状況であるとしている。マルクスの思想は、国家社会主義と見られることが多いが、実はリバタリアン社会主義=アナーキズム=アソシエーショニズムであるとしている。
資本=国家=ネーションとアソシエーション
経済人類学者カール・ポランニーの用語「市場交換、互酬、再分配」を「資本、ネーション、国家」と言い換え、それをアウフヘーベンするものとしてアソシエーションを提示している。ポランニーの欠点は、再分配が略取に基づき、国家に関するものであることを見なかった点にあるとし、「略取=再分配」と修正している。マルクスの言う「可能なるコミュニズム」も、アソシエーショニズムである、としている。このような理念はプルードンからの影響であるとしている。
また、ネーションは、友愛感情と想像力に関わるものであり、悟性の表象である国家と感性の表象である市民社会=市場経済は、想像力によってのみ綜合されうるとしている。文学行為は、悟性と感性の、想像力による綜合である。
アソシエーショニズムは普遍宗教が開示したものであるとしている。その本質はカントいうところの「自由の互酬性」である。
消費者としてのプロレタリアート
産業資本主義の特徴を、消費する労働者=プロレタリアの自己再生システム(オートポイエーシス)というところに見出し、消費地点による闘争こそが資本への対抗の鍵であるとしている。
世界共和国
国家は他の国家に対して存在するという位相によってのみ見出されることを強調して、アソシエーショニズム運動はそのような国家からの「上からの分断」を逃れることはできないので、カントの「世界共和国」という考えが重要になってくるとしている。各国家が世界連合に主権を譲渡する以外に、アソシエーショニズムの実現は不可能であるとしている。
貨幣論
評価・位置づけ
書誌情報
- 柄谷行人『世界共和国へ――資本=ネーション=国家を超えて』岩波書店〈岩波新書 新赤版 1001〉、2006年4月20日[2]。ISBN 4-00-431001-6。
関連文献
- 柄谷行人『世界史の構造』岩波書店、2010年6月24日[3]。ISBN 978-4-00-023693-5。