現在まで当時の状態のままで残されているオリジナル楽器がほとんどないため、図像や彫刻、文献上の記述から当時の楽器を推測せざるを得ない部分が大きい。中世フィドルと見なせる楽器(の図像や記述)には形や大きさなどについて、さまざまなバリエーションがあり、標準的な形状を特定することは難しい。
最も初期のものは堅い木をくりぬいた胴体に柔らかい共鳴板を貼り付けたような構造であり、硬い胴体に共鳴板を貼り付ける構造は基本的にその後も続く。胴体は楕円型または卵形のものが多く、弓を使いやすくするためのくぼみを側面に持つものも多かった。共鳴板には孔 (sound hole) があけられている。弦の両脇にC字型あるいはf字型の1対の穴が開けられていることが多く、ローズ(幾何学模様等の図案)が彫られることもしばしばあった。駒や指板は、それを持つものと持たないものが両方あった。時代が下って15世紀頃までには、胴体とネックが明らかに分離され、テールピースや駒をもつ、ヴィオラ・ダ・ガンバ属やヴァイオリン属に類似の形状のものが増えてきたようである。
弦はガット弦を使用していたが、絹や馬の尾の毛でつくられた弦を使用したこともあったようである。弦の本数は2本しかもたないものから6本以上持つものなどさまざまであったが、主に3本から5本のものが多い。古い時代のものには、指板に乗っていない開放弦専用の弦を持つものもあり、左手の親指ではじいたり押さえたりしていたようである。
駒は早い時期には平坦なものが多かった。これは、重音奏法に適しており、中世音楽におけるドローン伴奏の習慣とも一致する。中世フィドルが魂柱を持っていたかどうかはよくわかっていない。