Wikiwand AI

中国公船拿捕事件

From Wikipedia, the free encyclopedia

日本船へ発砲した国籍不明船と巡視船。

本項目では、1993年に発生した2件の中国公船拿捕事件(ちゅうごくこうせんだほじけん)について扱う。いずれも、中華人民共和国法執行機関の取締船が日本などの民間船を密輸船と誤認して国際法違反の取締を行ったことで、海上保安庁により海賊容疑船として拿捕されたものである。海上保安大学校の廣瀬肇名誉教授は、「本件での中国船のとった行動のほとんどすべてが国際法違反だといってよいと思われる」と指摘している[1]

1991年3月18日、東シナ海の公海上で操業中の山口船籍の漁船「八幡丸」(55トン、7名乗組)が国籍不明船による威嚇射撃ののち強行接舷され、船内を捜索されるという事件が発生した[2][3]。その後も同種事案が生じたほか、乗組員全員を縛って金品・持物を強奪するという海賊行為も発生したことから、第十一管区海上保安本部では、同年4月7日以降、他の管区からも巡視船の派遣を受けつつ、常時1-2隻の体制で日本漁船の保護を目的とした東シナ海哨戒(ES哨戒)を開始していた[2]

7月17日を最後に事件の発生が途絶えたことから、専従哨戒は11月20日で中止されたものの[2]、その後も散発的に同種事案が発生しており、1993年8月末までに78件に及んだ[4]。このことから、海上保安庁では、引き続き大型巡視船を事件多発海域に常時配備するとともに、航空機による哨戒も随時実施していた[4]

中国公船「閩獅漁3632」拿捕事件

1993年1月14日午前3時30分頃,宮古島沖80キロ(北緯25度28分,東経125度43分)の公海上において、長崎県の漁業者が運航する巻網漁船団付属運搬船が、無灯火で接近してきた国籍不明船からサーチライトを照射されるとともに、2度にわたって威嚇射撃を受けた[1]。国籍不明船は射撃の後さらに接近したが、日本船舶であることを確認して接舷しないまま去っていったため、漁船は第11管区本部にその旨を通報するとともに、この不明船をレーダーにて探知しつつ追跡した[1]

東シナ海で不審船警戒中であったしれとこ型巡視船「もとぶ」は午前3時41分頃にこの情報を入手、直ちにES部署を発動して現場海域に向けて急行した[1]。またこの不明船が武装している上に海賊船の疑いがあることから、事前に武器の使用承認を第11管区本部長に要請し、海上保安庁長官から、武器を擬することの承認を得た[1]

「もとぶ」は漁船からの情報に基づき、午前6時57分頃、北緯25度10分・東経126度04分の公海上においてこの不明船を捕捉、国際信号旗および汽笛信号にて停船命令を意味する「L」の信号を送るとともに、拡声器および国際VHFを通じて中国語で停船命令を実施した[1]。これに対し不明船はジグザグ航行など逃走を図ったものの、午前7時30分頃、北緯25度14分・東経126度05分の公海上でついに逃走を断念して停船、ブリッジの両舷に「中国海関」の看板を掲示した[1]

「もとぶ」は、備砲であるボフォース 60口径40mm機関砲および船上の射撃班の自動小銃を擬して援護しつつ、午前7時58分頃、高速警備救難艇によって自動小銃・拳銃を携行した派遣班8名を不明船に接舷・移乗させ、海賊容疑船としてこれを拿捕し、乗船者の武装解除や船内捜索、関係者の取調べ及び実況見分を実施した[1]。まもなく増援の「はてるま」も到着し、通訳官を含む7名の海上保安官を追加で乗船させた[1]

この結果、海賊容疑船は舟山海関が漁船「閩獅漁(ミン・スウ・ユー)3632」を借り上げて取締船として用いているもので、海関の制服職員3名と民間人の乗組員20名が乗船していることが判明した[1]。舟山海関は、密輸容疑船が久米島の西方海域にいるとの情報に基づき、1月12日に同船を出港させたが、出港が急であったため、通常は携行するはずの中国国旗や書類を携行できなかったとのことであった[1]。射撃については、日本漁船を密輸容疑船と誤認して停船命令として行ったもので、接近してサーチライトを照射したところ船体に「丸」の文字を認めたために日本船と判断し、臨検を行わずに去っていったと述べた[1]

これらの情報を踏まえて、外交ルートを通じて中国に照会した結果、同船が中国当局の取締船であることが確認された[1]。被拿捕船指揮官は「今後、公海上で外国船に対し発砲して警告することは許されないものであります」と述べ、中国政府も遺憾の意を表明した[1]。6時42分、北緯25度21分・東経126度03分の公海上において当該船は釈放され、翌15日午後6時15分まで「もとぶ」の追尾監視を受けた[1]

中国公船「公辺319」拿捕事件

脚注

参考文献

Related Articles

Timelines

Top Qs

Fact Checks