交通事故鑑定人
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業務内容
- 車両損傷の解析
- 衝突速度および運動解析
- ブレーキ痕・タイヤ痕の検証
- ドライブレコーダー・監視カメラ映像の解析
- 現場測量および図面作成
- 鑑定書の作成および法廷での意見陳述
裁判における役割
日本における位置づけ
日本では、交通事故鑑定を行うための統一的な国家資格制度は存在しない。そのため、交通工学や機械工学の専門家、元警察官の事故捜査担当者、民間の事故調査会社などが鑑定業務を行っている。
警察による実況見分や鑑識活動とは別に、民間鑑定が行われる場合もあり、双方の見解が異なるケースも存在するとされている。
類似職種との違い
交通事故鑑定人は、以下の職種と混同されることがある。
- 警察の事故鑑識官:捜査機関として証拠収集を行う
- 保険調査員:保険金支払いの妥当性を調査する
- 自動車整備士:車両の整備・修理を行う
これらに対し、交通事故鑑定は主に事故状況の再現および分析を目的とする。
事例
交通事故として処理された事案が、後の法医学的検証や事故再現解析により、事故以外の要因が指摘されるケースがある。法医学の分野では、交通事故死と他の外因死(他殺・自殺など)との鑑別が重要とされている[7][8]。
また、当初は事故と判断された事案についても、その後の捜査や検証により事件性が認定される場合がある。例えば、和歌山県白浜町で発生した水難事故では、当初は事故とされたものの、その後の捜査により溺死を装った殺人事件と認定され、有罪判決が言い渡された事例が報じられている[9]。
また、交通事故再現の分野においても、車両損傷や衝突状況の分析により、供述と物理的証拠が一致しないことが明らかとなり、事故態様の認定が変更される場合があるとされている[10]。
交通事故鑑定は、裁判において事故状況の解明に資する情報を提供する役割を担うとされている[11]。
交通事故鑑定人の作成する書面
鑑定人が作成する書面には、鑑定書・調査報告・意見書・所見書等がある。それぞれの目的に応じて、概ね以下の分類が可能である。
- 調査報告
対象事故において、事故概要の把握と証拠保全を目し作成される報告書。この書面は必ずしも鑑定人が作成するものではなく、事故調査員などの作成する場合もある。あくまでも客観的事実の記録が目的であり、事故に対して鑑定人自身の識見に基づく見解などは原則含まれない。
- 所見書
対象事故の一定部分もしくは事故の概要に対して、鑑定人自身の識見に基づく所見を述べた書面。主に鑑定や意見書作成の前段階として、問題点の抽出等に使用される。
- 意見書
対象事故の一定の事実に対し、鑑定人自身の識見に基づく意見を求められた際に作成する書面。
- 鑑定書
対象事故の一定の事実について、専門的知見に基づき分析・評価を行った結果を記載する書面であり、交通事故訴訟等において証拠として用いられることがある[12]。実務上は、鑑定書のほかに、意見書、調査報告書など類似の形式の書面が作成される場合がある[13]。
一般には、裁判所・検察・警察または弁護士からの依頼に基づき作成されることが多いとされている。
自称交通事故鑑定人によるトラブル
交通事故鑑定人は国家資格ではなく、統一的な資格制度も存在しないため、様々な経歴を持つ者が鑑定業務に関与している。
その一方で、経歴詐称や不適切な鑑定をめぐるトラブルが報道された事例もある。2001年には、交通事故鑑定人を自称する人物が、虚偽の経歴を用いて被害者遺族から金銭を詐取したとして詐欺容疑で逮捕された事例が報じられている[6]。