京都大学デザインスクール

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京都大学デザインスクール(きょうとだいがくデザインスクール、英語: Kyoto University Design School)は、京都大学が設置したデザイン学に関する大学院横断型の博士課程教育プログラムである。正式名称はデザイン学大学院連携プログラム[1]

本スクールは、異なる分野の専門家と協働して社会のシステムやアーキテクチャをデザインできる人材の育成が目的とされている。情報学機械工学建築学経営学心理学の5つの専門領域を横断する教育が行われており、デザインを異なる分野の専門家の「共通言語(リンガ・フランカ)」として位置づけられてた[1]

背景

21世紀の複合的課題とデザイン学の提唱

21世紀に入り、地球温暖化、大規模災害、エネルギーや食料不足といった、単一の専門領域では解決困難な複合的問題が顕在化した[1][2]。これらの課題に対し、異なる領域の専門家が協働して社会システムやアーキテクチャを再設計する「デザイン学」の必要性が高まった。デザインの概念は、1960年代にハーバート・サイモンが提唱した「デザインの科学」[3]や、梅棹忠夫が指摘した「情報産業時代におけるデザイナーの重要性」[4]を起点として、単なるモノづくり(製品設計)から、関係性や環境を理解し育む「コトづくり」へと大きく進化を遂げた[1][2]

世界の主要大学における動向

2000年代以降、世界各地の有力大学でデザイン教育の組織化が進んだ[2]

  • スタンフォード大学(d.school):2004年にハッソ・プラットナー・デザイン研究所として設立。機械工学やコンピュータサイエンスを基盤とし、ハンズオン(実践的)なワークショップを通じて「デザイン思考」をビジネスや社会に応用する教育を展開している。学位を授与する独立した専攻ではなく、既存の学問領域に所属する学生が参加する形態をとっている[2]
  • デルフト工科大学:1969年に工業デザイン学部を創設。心理学、機械工学、情報学などの多分野の教員が所属し、人間の欲求(Desirability)、技術の実現性(Feasibility)、ビジネスの実効性(Viability)をバランスよく満たすデザインモデルを追求している[2]
  • ハーバード大学:1936年設立のデザイン大学院(GSD)に加え、2016年には理工学系大学院(SEAS)と共同でデザイン工学修士コースを開設。技術・社会・環境の接点としてのデザイン研究を推進している[2]
  • アールト大学:2010年に工学・芸術・経済の3大学を統合して誕生。産学連携を重視し、ヘルスケアや地球温暖化といった社会的なグランドチャレンジに対する領域横断的な活動を行っている[2]

京都大学におけるデザイン学の設立理念

こうした潮流の中、京都大学は2013年4月に「デザイン学大学院連携プログラム」を開始した。学術的な基礎研究に強みを持つ京都大学では、デザインを単なる実践的手法としてではなく、「異なる専門分野を繋ぐ共通言語(リンガ・フランカ)」と再定義した[1]。短期の教育プログラムにとどまらず、分野横断的な博士研究を最大の目標とする5年一貫制の博士課程プログラムとして実装され、科学(本質の理解)、工学(技術の創造)、デザイン(社会への適用)が循環する新たな学問体系(Science, Engineering and Design)の確立が目標とされた[2]

沿革

京都大学は、学際的な教育を通じて複雑な社会問題の解決を図るため、「デザイン学大学院連携プログラム」を設置した。本プログラムの創設については、2013年初頭から新聞各紙で「デザイン」という新たな枠組みを用いた人材育成プログラムとして報じられ、社会的な関心を集めた[5][6]

同年4月には、文部科学省の「博士課程教育リーディングプログラム」の一つとして正式に始動した[7]。また、産官学の連携による教育・研究を加速させるための拠点整備も並行して進められ、異なる領域の専門家や実務家がコラボレーションを行う場として「デザインイノベーション拠点」が活用された[8]

  • 2011年:東日本大震災直後、前身となる「サマーデザインスクール」が開始された[2]
  • 2013年4月:5年一貫の博士課程「デザイン学大学院連携プログラム」として始動した[2]。文部科学省・日本学術振興会(JSPS)の「博士課程教育リーディングプログラム」[9]に採択された。
  • 2014年3月:産学官連携のプラットフォームとして、学外に「デザインイノベーションコンソーシアム」が設立された[2]

教育理念

[Image of the +shaped people concept illustrating experts who can collaborate across disciplines] 本スクールでは、養成すべき人材像として「十字型人材(+Shaped People)」を掲げている[1]。これは、特定の専門領域における深い専門性(縦軸)を持ちつつ、異なる専門領域の専門家と協働できる実践力(横軸)を兼ね備えた人材を指す[2]。従来のジェネラリストを指す「T字型人材」に対し、突出した実践力を持つ専門家であることを強調している[2]

組織

以下の4研究科・5領域が連携して運営されている[1]

  • 情報学領域:大学院情報学研究科
  • 機械工学領域:大学院工学研究科
  • 建築学領域:大学院工学研究科
  • 経営学領域:大学院経営管理研究科(経営管理大学院)
  • 心理学領域:大学院教育学研究科

学外組織として、京都高度技術研究所(ASTEM)が管理法人、京都リサーチパーク(KRP)が事務局を務める「デザインイノベーションコンソーシアム」が活動を支える構成である[10]

カリキュラム

評価指標

参考文献

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