体心正方構造

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体心正方構造(たいしんせいほうこうぞう、英語: Body-Centered Tetragonal, BCT)は、結晶学におけるブラべ格子の一種である。

正方晶系に属し、正方形の底面を持つ四角柱の各頂点、およびその中心(体心)に格子点を持つ構造を指す。金属学材料科学において、の硬化現象を理解する上で極めて重要な結晶構造である。

単位格子の形状は、底面の辺長を $a$, $b$、高さを $c$ としたとき、以下の条件を満たす。

  • 格子定数: $a = b \neq c$
  • 軸角: $\alpha = \beta = \gamma = 90^\circ$

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単位格子あたりの格子点(原子)数は2個(頂点 $1/8 \times 8$ + 体心 $1$)である。この構造は、体心立方構造(BCC)を $c$ 軸方向に伸張、または圧縮させたものと見なすことができる。

材料科学における重要性

鋼のマルテンサイト

体心正方構造が最も注目されるのは、鋼(はがね)を焼入れした際に生じるマルテンサイト相である。 高温状態のオーステナイト(面心立方構造:FCC)を急冷すると、本来なら体心立方構造(BCC)へ変化しようとするが、過剰に含まれる炭素原子が拡散できずに格子内にトラップされる。この炭素原子が特定の結晶軸を強制的に引き伸ばすため、BCCが歪んだBCT構造となる。 この「格子の歪み」が内部応力を生み出し、鋼に圧倒的な硬度を与える直接的な原因となる[1]

ベイン変態 (Bain strain)

FCC(面心立方)からBCC(体心立方)への相変態を説明する幾何学的なモデルとして、1924年にエドガー・ベインが提唱した。この過程でBCT構造は中間的な状態として定義され、結晶構造が連続的に変化する様子を記述するのに用いられる。

代表的な物質

  • インジウム (In): 純金属の中で唯一、常温常圧で体心正方構造($c/a \approx 1.07$)を持つ。
  • スズ (Sn): 常温相である「白スズ($\beta$-スズ)」が、歪んだ体心正方構造をとる。
  • チタン酸バリウム (BaTiO₃): 強誘電体。温度によって立方晶から体心正方的な正方晶へと相転移し、優れた誘電特性を示す。

参考文献

脚注

関連項目

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