置換による証明
A を n次正方行列とし、i, j ∈ {1, 2, …, n} を固定する。A の (i, j)小行列 Mi,j の成分を簡単のため
と書く。ai,j を因子に持つ |A| の展開項を考えると、それは σ(i) = j を満たす適当な置換 σ ∈ Sn により

と表すことができる。ここで τ ∈ Sn−1 は行列式の展開項が等しくなるように σ から導かれるものであり、対応 τ ↔ σ は Sn−1 と {σ ∈ Sn | σ(i) = j} の間の全単射である。τ は σ で次のように表せる:

ただし、(←)j はこの場だけの省略記法で、巡回置換 (n, n − 1, …, j + 1, j) を表すものとする。つまり、j より大きい番号は 1 ずつ減らし、j は n に写す置換(したがって、τ の像がきちんと集合 {1, 2, …, n − 1} になる)を意味するものとする。
τ からもとの σ を以下のようにして導出することができる:τ ∈ Sn−1 を τ′ ∈ Sn に拡張すると(このとき τ′(n) = n にならざるを得ない)、

と表せる。このとき、先に (←)i(これは巡回置換 (n, n − 1, …, i + 1, i) のことである)を施してから τ′ を施す置換 τ′(←)i も、σ を施してから (←)j を施す置換 (←)jσ も、どちらも次の置換になる:

したがって (←)jσ = τ′(←)i, 故に σ = (→)jτ′(←)i を得る(ただし、(→)j は (←)j の逆置換である (j, j + 1, …, n) を表すとする)。故に

ここに現れる2つの巡回置換はそれぞれ n − i個と n − j個の互換の積で表せるから

であり、また写像 τ ↔ σ が全単射であったから、

となり、ここから所期の結果が得られる。(証明終)
多重線形交代性による証明
n次正方行列 A = (ai,j) の行列式を、第j列に沿って展開することを考える。

第i行に沿う展開も同様である。(証明終)