働かないアリに意義がある
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『働かないアリに意義がある』(はたらかないアリにいぎがある)は、長谷川英祐の著書。
2010年12月24日にメディアファクトリーから出版[1]。
働きアリの7割は働いておらずに、1割は死ぬまで一度も働かないものの、働かないアリがいるからこそ組織は存続できるとする。これを発見した生物学者が人間社会に例えながら解説するという内容[2]。
この書籍によるとアリの巣では働きアリであるものの働かないでゴロゴロしているのみのアリが存在しているとのことで、この書籍では、なぜこのようなアリが存在しているのかということを明らかにしている。東洋経済の記事ではこの書籍は生態学の分野では無双のベストセラーであると評されている[3]。
経済学ではある特定の要素のうちの2割が、全体の8割の成果を生み出しているのであるが、アリの社会においても2割から3割ほどは働かないアリが存在しているとのこと[4]。全員で働けば効率が良いのに、なぜ働かないアリがいるのかについて述べられている。これはアリの組織的な生存戦略であり、疲れに注目すればこのことが分かるとのこと[5]。
この書籍によるとアリやハチなどの真の社会性の生物には、年齢に伴い労働の内容が変化する分業の形態が観察されるとのこと。これによるとアリの仕事というのは、加齢と共に育児から巣の維持になり次に採餌へと巣の中から外へと出る危険なものへと変化していくとのこと。これは余命の短い個体がより危険な仕事に従事することで、コロニー全体の生存確率を上げるという、合理的に進化をした結果であるとのこと[6]。アリというのは7割が働かないで、不測の事態に備えて余力を残しているとする。誰もが必ず疲れるために、働かない者を常に含む非効率的な組織こそが長期的な存続が可能とする[7]。死ぬまで働かないようなアリも存在しているのであるが、このようなアリでも万一の切羽詰まった事態となれば働き出すために、集団としては労働量のバックアップになり存在意義があるとのこと[8]。
著者がこの研究を手掛ける以前から働かないアリの存在は知られていたが、それは2割程度と言われており、そして実際にそれを調べた人というのは誰も存在していなかったとのこと。著者がこの研究に取り組もうと思ったきっかけは、当時の著者の研究室の所属していた大学院生がアリの研究を希望したということからでもあった。この研究の結論を言うのは簡単であるが、これを科学的に証明するには2年の歳月を要したとのこと[9]。
2022年に鎌田浩毅はこの書籍というのは新型コロナウイルスは人間というコロニーに何をもたらしたのかということについてが分かる秀逸な啓発書であると評している。この書籍によると自然界の正確な観察から、人間の持つ思い込みの危険性が随所で指摘されているとのこと。人間社会では適材適所に人材が配置され上の者が指令を出すのに対しアリの社会にはこのような指令も出す者が存在しないとのこと。アリというのは集団として効率よく仕事を処理するために、個体がそれぞれ自動的に動き出すとのこと。著者は散らかった部屋を例に出し、どの程度散らかったら掃除するかのごとく、アリもどのようになれば働こうと思うかが異なっているとする。だがサボろうと思うものはいないとのこと。仕事に全力で向かうときに共感と感動を生むとのこと[10]。
この書籍は発売以降の売り上げが好調であったとのこと。2010年12月に発売された初版1万4千部からで、同年6月には8刷11万7千部に達したとのこと。これはメディアファクトリー新書が創刊されて初めて10万部を突破するヒットであったとのこと[11]。2017年時点では20万部を超えており、科学系の新書では常識破りの売れ行きであったとのこと[12]。
脚注
- ↑ CORPORATION, KADOKAWA. “働かないアリに意義がある”. KADOKAWAオフィシャルサイト. 2026年3月26日閲覧。
- ↑ “働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書 ; 015) | NDLサーチ | 国立国会図書館”. 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ). 2026年3月26日閲覧。
- ↑ “「あえて怠け者を許す」働きアリの不思議な生態”. 東洋経済オンライン (2020年12月8日). 2026年3月26日閲覧。
- ↑ “働かないアリからみる人間関係。生物学者から見た人間とは?/北海道大学准教授・長谷川英祐さん(前編)” (2024年8月20日). 2026年3月26日閲覧。
- ↑ “全員で働けば効率がいいのに、なぜ「働かないアリ」がいるのか? 「疲れ」に注目するとわかる、アリの組織的生存戦略 | ログミーBusiness”. logmi.jp. 2026年3月26日閲覧。
- ↑ “現代社会の「待つ力」 - 次世代に伝えたい「お年寄り」の“ちえ””. ニッセイ基礎研究所. 2026年3月26日閲覧。
- ↑ “「あの人、昔はすごかったのに…」管理職になった瞬間に崩れていく“優秀な社員”の共通点とは?”. ダイヤモンド・オンライン (2025年5月13日). 2026年3月26日閲覧。
- ↑ 日経メディカル. “世の中は「イキチ」で動いている” (日本語). 日経メディカル. https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/murakawa/201804/555348.html 2026年3月26日閲覧。
- ↑ “会社にも必要?「働かないアリ」の存在意義”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) (2016年6月22日). 2026年3月26日閲覧。
- ↑ 浩毅, 鎌田 (2022年3月6日). “『働かないアリに意義がある』集団に「働かないメンバー」がいることで「想定外」に対処できる”. HONZ. 2026年3月26日閲覧。
- ↑ Inc, Nikkei (2011年6月22日). “長谷川英祐「働かないアリに意義がある」 分かりやすさを徹底追求”. 日本経済新聞. 2026年3月26日閲覧。
- ↑ Field, BF @ Financial. “効率だけを追求すると長続きできない。「働かないアリ」に学ぶ、関係としての永続性|ファイナンシャルフィールド| インタビュー”. financial-field.com. 2026年3月26日閲覧。