光州ビエンナーレ

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光州ビエンナーレ展示館

光州ビエンナーレ(クァンジュビエンナーレ[1]朝鮮語: 광주비엔날레英語: Gwangju Biennale)は、大韓民国光州広域市で隔年開催される現代美術の国際美術展覧会である。1995年に第1回が開催された。光州ビエンナーレ財団が主催し、主会場には光州ビエンナーレ展示館などが用いられる[2][3][4]

光州ビエンナーレは、光州民主化運動の記憶を背景の一つとして創設され、光州の地域的文脈と国際的な現代美術の動向を接続する場として展開してきた[5]。国際的なビエンナーレ情報機関であるBiennial Foundationは、同展をアジアで最も古い現代美術ビエンナーレと位置づけ、国際文化交流と現代美術言説のプラットフォームとして説明している[5]。また、韓国の民主化以後、1980年の光州民主化運動を記憶し直す文化的な文脈のなかで成立した展覧会として論じられることもある[6]

光州ビエンナーレは、光州で開催される隔年の国際現代美術展である。光州ビエンナーレ財団は1994年に設立され、翌1995年に第1回展が開催された[2][3]。以後、光州ビエンナーレは韓国の現代美術展を代表する行事の一つとして継続し、企画展、パビリオン教育公共プログラムなどを含む複合的な国際芸術祭として発展してきた[2][7]

同展は、都市の政治的記憶と国際現代美術を結びつける点に特徴がある。光州は1980年の光州民主化運動の舞台であり、光州ビエンナーレはその記憶を背景に、民主主義人権平和といった主題を現代美術の場で扱ってきた[5]。一方で、同展は1990年代以降にアジア各地で展開した国際ビエンナーレの拡大のなかでも重要な事例とされ、韓国現代美術を国際的な美術制度と接続する場としても機能してきた[5][6]

沿革

創設背景

光州ビエンナーレは、光州の文化芸術振興と、1980年の光州民主化運動を経た都市の歴史的経験を背景として構想された[5]。Biennial Foundationは、同展の創設を、光州民主化運動の精神を記憶する試みとして説明している[5]。また、Tate Papersでは、1995年の創設について、韓国で民主的に選出された政権が成立した後の時期に、光州民主化運動を回顧的に記念する文化的な動きの一部として位置づけている[6]

光州ビエンナーレの成立は、韓国社会における民主化後の文化政策、地方都市の国際文化事業、アジアにおける国際展制度の拡大と重なる時期にあたる。とくに、光州という都市の歴史的経験を、国際的な現代美術の展示制度を通じて発信する点に特色があった[5][6]

初期の開催

第1回展は1995年9月20日から11月20日まで開催された[3]。テーマは「Beyond the Borders」であり、国家、民族、思想、地理的境界を超えることを掲げた[3]。光州ビエンナーレ財団の資料によれば、第1回展には49か国87人の作家が参加した[3]

第2回展は1997年に開催され、第3回展は2000年に開催された[8][9]。以後も継続的に開催され、韓国国内外の作家キュレーター美術館・美術機関が関与する国際展として展開した。

2010年代以降

2014年の第10回展「Burning Down the House」は、テート・モダンのキュレーターであったジェシカ・モーガンが芸術監督を務めた。批評では、同展が光州ビエンナーレの政治的記憶を背景に、破壊、記憶、再建、身体、抗議、暴力といった主題を前面化した展覧会として論じられた[10][11]

2018年の第12回展「Imagined Borders」では、複数のキュレーターによる展示構成に加え、GB Commissionやパビリオン・プロジェクトなどが展開され、展示は光州ビエンナーレ展示館だけでなく都市内の複数の場へ広がった[5]。この時期以降、光州ビエンナーレは主展示に加えて、国際機関や各国・各都市の文化機関が関与するパビリオンを併置する形式を強めていった[5]

2021年の第13回展「Minds Rising, Spirits Tuning」は、新型コロナウイルス感染症の流行により当初予定から延期されて開催された。Friezeは、同展が光州5月蜂起40周年の記憶を踏まえつつ、個人の認知の限界、超越的な知、共同体的な治癒実践、儀礼精神性を扱ったと紹介している[12]。ArtAsiaPacificは、同展について、69組の作家が参加し、精神性、技術生態、共同体的知を横断する展示であったと評している[13]

2023年の第14回展「soft and weak like water」は、老子道徳経』に由来する「水」の比喩を通じて、抵抗、共存、連帯、ケアといった主題を扱った[14]。批評では、同展が水をめぐる比喩を用いながら、脱植民地化、共同体、東アジア的な思想、自然と人間の関係を扱った展覧会として読まれた[15]

2024年の第15回展「PANSORI: A Soundscape of the 21st Century」は、パンソリを手がかりに、21世紀の空間と人間・機械動物植物・霊的存在の関係を問い直す展示として構成された[7][16]。ArtReviewは、同展が17世紀に成立した韓国の語り物音楽であるパンソリを参照し、境界化・分断化される現代の空間を考察する企画であると紹介している[16]。Friezeは、同展の構想を「歩くオペラ」のようなものとして読みつつ、その構想が展示全体で完全に実現されたかについては慎重な評価を示した[17]

また、2024年には財団設立30周年を記念して、ヴェネツィアアーカイブ展「Madang: Where We Become Us」が行われた[18]

会場

第15回光州ビエンナーレのアメリカ館
第15回光州ビエンナーレのペルー館

主会場は光州広域市北区の光州ビエンナーレ展示館である[4]。近年の開催回では、これに加えて国立アジア文化殿堂光州国立博物館など、市内各所の文化施設や歴史的空間が会場として用いられている[19][20]

2024年の第15回展では、メイン展示のほか、各国・各機関が参加するパビリオンも市内各地で展開された[21]。パビリオン形式は、光州ビエンナーレを単一の展示館に限定される展覧会ではなく、都市空間や複数の文化機関を巻き込む国際芸術祭として展開させる要素の一つとなっている[5]

主な開催回

  • 第1回(1995年) - Beyond the Borders[3]
  • 第2回(1997年) - Unmapping the Earth[8]
  • 第3回(2000年) - Man + Space[9]
  • 第10回(2014年) - Burning Down the House[10][11]
  • 第12回(2018年) - Imagined Borders[22]
  • 第13回(2021年) - Minds Rising, Spirits Tuning[23][12]
  • 第14回(2023年) - soft and weak like water[14]
  • 第15回(2024年) - PANSORI: A Soundscape of the 21st Century[7][16]

評価・批評

脚注

関連項目

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