篠ノ井側から25 ‰の登り勾配をずっと登ってきて、冠着トンネル内はこの勾配が続く片勾配の構造になっている。冠着トンネル出口側にある冠着駅が篠ノ井線内全体の頂点である標高676 mの位置にある。冠着トンネル内では曲線もなく、入口から出口まで縦横ともに一直線の構造である。
蒸気機関車使用時代には、25 ‰勾配の続くトンネルでは機関車の出す煤煙により機関士の窒息などの危険があり、対策が行われた。大正時代から、列車がトンネルに入った際に入口側に垂れ幕を引いて、列車後方の気圧を低くすることで煙を後方に吸いだす試みが行われていた。昭和に入ると送風機による強制換気が全国の長大トンネルで行われるようになり、冠着トンネルでは1931年(昭和6年)3月に東口に送風機と垂れ幕が設置された。さらに窒息事故の発生を受けて1947年(昭和22年)に強化されている。この送風設備の遺構は今も残っている。