冪等行列
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冪等行列の例:
冪等行列の例:
実2次正方行列の場合
性質
正則性
唯一の正則な冪等行列は単位行列である。つまり、単位行列でない正方行列が冪等であるならば、その列ベクトル(または行ベクトル)のうち線型独立であるものの本数は行列の列数よりも小さい。
これは次のようにして分かる。 であり、A が正則ならば、 の左からの積を考えて 。
単位行列から冪等行列を引いた行列もやはり冪等である。なぜなら:
行列 A が冪等であるための必要十分条件は、任意の正整数 n に対して が成り立つことである。
(証明)十分性は、 ととれば良いので明らかである。必要性は数学的帰納法によって示せる。 は明らかだから のときはよい。 と仮定する。このとき となり、 のときも正しいことが分かった。
固有値
冪等行列は常に対角化可能で、その固有値は 0 または 1 である[3]。
跡
冪等行列の跡(対角成分の和)は行列の階数に等しい。これより、成分の分かっている冪等行列の階数は容易に計算できるし、また逆に、成分が明示的でないような冪等行列の跡が容易に計算できる場合がある(このことは特に統計学で有用であり、例えば標本分散から母分散(誤差分散)を(線形)推定するときの計算に現れる)。