出身成分 (小説)
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作品の特徴
あらすじ
クム・ヨンイル[注 1]は北朝鮮の首都、平壌の郊外で保安署に勤務している。11年も前の強姦殺人について再捜査を命じられ、被疑者と面会、事件記録を確かめる。しかし当時の捜査はいい加減な上、国家権力が介入していた。
今も保安署は、諸外国の警察署のような捜査を行っていない。賄賂ばかりが横行し、組織は腐敗しきっていた。捜査方法も確立しておらず、極端な自白尊重主義で、事実の裏は取らないのが普通だった。よって真実を追究する方法自体、保安員であるはずのヨンイルすらろくに知らなかった。
ヨンイルの父親ドゥジンは、北朝鮮では職業的地位が高いとは言い難い医師だったが、出身成分は良好とされヨンイル一家は核心階層に分類されていた。だがドゥジンは、政治家を暗殺した疑惑をかけられ、自白もしないうちから管理所に収容されてしまった。ヨンイルは職務を通じ生じた疑問と、父ドゥジンへの想いから、国家への不信感を抱くようになる。
強姦被害者のペク・チョヒは、イ・ビョンソクという男と恋仲だと判明したが、彼は出身成分でも最下層となる敵対階層だった。また殺害されたチョヒの父、グァンホは生前、事件の第一発見者となるベオクという男を警戒していた。チョヒの母ウンギョは、稲作泥棒を疑われて自殺している。グァンホはそれ以来、一軒家とそこに繋がる畦道を高い塀で囲み、人民班の中で孤立する生き方を選んでいた。塀に囲まれた民家の中で、殺人と強姦が発生したことになる。出入り口となる道は一本しかない。
奇妙に入り組んだ事件を追ううち、ヨンイルはやがて謎の男の存在に行き当たる。
登場人物
- クム・ヨンイル[注 1]
- 人民保安省の保安署員。40代前半。妻スンヒョンと、娘ミンチェの三人暮らし。
- スンヒョン
- ヨンイルの妻。市場経済化に伴い化粧品店勤務。
- クム・ミンチェ
- ヨンイルの娘。高級中学三年。
- クム・ドゥジン
- ヨンイルの父で保安署の元嘱託医。医師の地位が低い国だが、核心階層に分類されている。
- イ・ビョンソク
- 集落に住み込みで世話をする三十代男性。敵対階層同士、妻と結婚している。
- ペク・グァンホ
- 衛生班長を務める男性だったが11年前に殺害される。
- ペク・チョヒ
- 殺害されたグァンホの娘で強姦被害に遭う。11年後、別の集落で過酷な暮らしを送っているのが判明する。
- イ・ベオク
- ペク家事件の容疑者とされ、教化所に収容されたが、再捜査を命じられたヨンイルが面会に赴く。
書籍情報
- 単行本:『出身成分』、2019年6月28日発売[5]、KADOKAWA、ISBN 9784041083291
- 文庫本:『出身成分』、2022年01月21日発売[6]、角川文庫、ISBN 9784041122952