劇場版BLEACH The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸
2007年に公開された日本のアニメ映画
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あらすじ
物語は尸魂界の秘宝・王印を乗せた神輿と護衛の一団が、天空を渡っていく場面から始まる[4]。王印の移送を警護する任務にあたっていた日番谷冬獅郎率いる護廷十三隊十番隊は、突如謎の集団から襲撃を受け、王印を強奪される[3]。襲撃の首謀者・草冠宗次郎と刃を交えた日番谷は[4]、なぜか部下たちを置いて出奔し、姿を消した[3]。
数日後[5]、事件のあらましを知った黒崎一護は、空座町に逃げ込み身を隠していた日番谷を発見する[4]。一護は深手を負った日番谷を保護するが、日番谷は何があったのかを語ろうとしない[6]。隊長の羽織を捨て、草冠が身につけていたマントをまとった日番谷は[7]、一護に対して刀を向け[6]、傷も癒えぬままふたたび姿を消そうとする。そのようななか、日番谷の身柄を要求して現れたインとヤンに一護は敗北し、意識を失う。
その後、一護は朽木ルキアや阿散井恋次と合流し、日番谷が唯一残した「クサカ」という言葉を手がかりに事件を追う。上意下達の世界である尸魂界では、出奔した日番谷にくみすることはできず、残された者たちは日番谷の不可解な行動に戸惑う[8]。尸魂界は真央霊術院時代の日番谷の同期であり、謎の死を遂げた草冠という男の存在を探ろうとするが、なぜか記録はことごとく抹消されていた[9]。そのようななか、事件の真相を追っていた京楽春水が氷輪丸の使い手によって襲撃され、重症を負う。時を同じくして、現世に派遣されていた日番谷捜索隊が日番谷自身によって退けられる。次第に日番谷への疑惑は深まり、尸魂界は日番谷処刑の命令を下した[3]。
傷ついた日番谷の姿をかつての自分に重ねる一護は、やがて日番谷の行動の真意に気付く[6]。
登場人物
黒崎一護 ()- 声 - 森田成一[5]
- 本作の主人公[10]。死神代行を務める高校生。
日番谷冬獅郎 ()- 声 - 朴璐美[5]
- 護廷十三隊十番隊隊長[3]。
朽木ルキア ()- 声 - 折笠富美子[11]
- 護廷十三隊十三番隊所属の死神。
オリジナルキャラクター
草冠宗次郎 ()- 声 - 石田彰[12]
- 王印強奪事件の首謀者[4]。仮面を被り、死覇装をまとっている[4]。日番谷とは真央霊術院の同期に当たる[7]。当時は日番谷に次ぐ優秀な成績を収めていた[12]。また、親友でありながら良きライバルでもあった。
- 日番谷と同じ斬魄刀「氷輪丸」の持ち主。氷輪丸が二振り存在することを認めない中央四十六室から日番谷との一騎討ちを命じられ、日番谷に敗北した。隠密機動によって粛清されたが、魂魄が消えかかる寸前に偶然浴びた王印の力により、
虚圏 ()で再構築された。尸魂界への復讐を目論み、王印を解放するため、日番谷の卍解を利用しようとしている。 - イン、ヤン
- 声 - 久川綾(イン)[11]、ゆかな(ヤン)[11]
- 草冠とともに行動する双子の姉妹[7][13]。青髪がイン、赤髪がヤン[7]。破面のような仮面を被り、斬魄刀を操る[7]。
設定
スタッフ
- 原作 - 久保帯人[1]
- 監督 - 阿部記之[1]
- 脚本 - 横手美智子、大久保昌弘[1]
- 絵コンテ - 阿部記之[11]、斉藤哲人、水野和則[11]、深澤学、佐々木守
- 演出 - 阿部記之、水野和則、小柴純弥、神谷純[11]
- キャラクターデザイン - 工藤昌史[1]
- 作画監督 - 工藤昌史[11]、高木弘樹[11]、河村明夫、大西雅也[11]、三好和也、小木曽伸吾、細越裕治、ふかざわまなぶ、もりやまゆうじ[11]
- エフェクト作画監督 - 橋本敬史
- 美術監督 - 清水友幸[1]
- 色彩設計 - 上谷秀夫、安斉寛美、阿部紀子[1]
- 撮影監督 - 福島敏行[1]
- 編集 - 植松淳一、奥野英俊[1]
- 音楽 - 鷺巣詩郎[1]
- プロデューサー - 深沢幹彦、青木俊志、萩野賢[1]
- アニメーション制作 - studioぴえろ[1]
- 製作 - 劇場版BLEACH2製作委員会(テレビ東京、集英社、ぴえろ、電通、アニプレックス、東宝、バンダイ、セガ、ソニー・コンピュータエンタテインメント)[1]
制作
企画
企画の立ち上げ段階から、原作者・久保帯人の仕事場でスタッフとの打ち合わせが重ねられた[14]。前作『劇場版BLEACH MEMORIES OF NOBODY』ではメインとなるオリジナルキャラクターがふたり[注 1]登場したこともあり、久保は「時間的な制限からしっかり描ききれなかった部分を感じていた」という[15]。そのため、本作では「オリジナルキャラクターはひとり」に絞り[15]、「メインに据えるキャラクターを原作の中から選んでほしい」と要望した[16]。これを受けて監督の阿部記之とプロデューサーが協議し、原作漫画であまり過去が描かれていなかった日番谷冬獅郎が候補となり、久保の了承を経て本作の主軸に据えられた[16]。
久保は本作において、オリジナルキャラクターの設定・デザイン・ネーミング、サブタイトルの命名などを担当した[17][18]。
テーマ
阿部は『アニメディア (2007)』において、「“泣かせる、しんみりした話”だった昨年の劇場版と対照的に、今回は“熱くなれる話”を目指しています。劇場を出るときに、熱く、元気な気持ちになれる『BLEACH』を目指します」と述べていた[5]。
プロデューサーの萩野賢も、前作では「少女の想いに対する一護」を描いたため、本作では「男が惚れる男の世界、男たちの関係」を描きたいと考え、日番谷と一護の関係性の変化を描くことを意図していたという[3]。
脚本を担当した横手美智子は、「すべてを捨ててでも護らなければならないものがある」というような話にしたいと、最初に阿部から伝えられたという[19]。横手は、護廷十三隊を「規範に律された武士の社会」と捉え、「命を捨ててでも護らなければならない大切なものが存在する世界」であると説明している[19]。そのうえで、「それに殉じる“潔さ”と“美しさ”。どうしても縛られなければならないモラルや、自らに強いたポリシー、そういったものの大切さを改めて描きたかった。」と語っている[19]。また、時代劇や任侠もののテイストも意識していたという[19]。
戦闘場面の脚本を担当した大久保昌弘は本作のテーマについて、「結局ひとりで悶々と考え込んでいても、周りに目を向ければ人はいっぱいいてくれるよ、っていうこと。それに気付ければ良いことあるんじゃないの、っていうことだと思います。」と語っている[20]。
脚本
本作のシナリオは、横手がプロットに記した「日番谷処刑命令が下される」というコンセプトを基に制作された[19]。「原作で語られていないキャラクターの空白を補完する」作業を好む横手は、「キャラクターのサイドストーリー」を想像し、「そこから物語を作り上げていく」という作劇法で作業に入った[21]。当初は「日番谷が黒崎ファミリーにいじり倒されているシーン」なども構想していたが、尺の都合により削らざるを得なくなったという[20]。また、日番谷が寡黙なキャラクターであることから、シナリオでは意図的に日番谷のセリフを削っていった[20]。横手は、本作で描きたいことは「プロットの最初の段階から」一貫していたと振り返っている[19]。
シナリオの制作過程に関して、久保はまず、ぴえろとの間で「どこまでなら描いても大丈夫かという線引き」を話し合ったと述べている[16]。プロットの流れには大きな変更を加えず、細かい設定や矛盾を解消するための調整に注力した[22]。出来上がったシナリオは細部に至るまでチェックし、監督との話し合いを通じて改良を重ねたという[22]。特に、一護の過去の描写については、原作でも詳しく描かれていない部分であり、「そのシーンの台詞は全部、自分で書かせて頂きました」とも述べている[22]。また、最初に見せてもらった原案が非常に原作のイメージに合っていたことから、久保はその原案を基に自身の発想を膨らませることができたとしている[15]。
シナリオ協力として物語終盤の戦闘場面[注 2]を担当した大久保は、このシーンについて、「できるだけたくさんキャラを見せたいという意図から“強大な敵に皆で戦いを挑む”という構図がいいんじゃないかという話になったんですね。そこに上手くキャラをはめ込んでいくということをまず考えました。」と説明している[20]。
音楽
音楽は、テレビシリーズに引き続き鷺巣詩郎が担当し、「斬魄刀のように『切れ味するどい!』BGM」の制作を目指した[23]。レコーディングはロンドンと東京のスタジオを中心に行われ、鷺巣が「BLEACHサウンドの要」「BLEACHには欠かせない」と述べるレギュラー・アーティストに加え、新たなアーティストも参加した[23]。
プロダクションはパリ、ロンドン、東京、ロサンゼルスを移動しながら進行し、東京で録音されたギタリストの松下誠と今剛の演奏は、各地のスタジオで称賛された[24]。オーケストラはギャヴィン・ライト率いるThe London Studio Orchestraが担当し、合唱にはソプラノ・シンガーのキャサリン・ボット (Catherine Bott) 率いる選抜メンバーが参加した[24]。劇中曲の詞は、これまでのシリーズで制作された楽曲同様、マイク・ウィズゴウスキー (Mike Wyzgowski) と鷺巣が打合せをしながら作詞した[25]。さらに、新たなアーティストとして尺八の柴田旺山とマルチ・パーカッショニストの仙波清彦が参加した[25]。
追悼
本編の上映後には、公開前月の2007年11月に死去したアニメーター・演出家の高橋資祐を追悼する画面が表示された[10]。高橋はテレビシリーズの制作に参加していた[10]。
封切り
評価
主題歌
DVD / Blu-ray
サウンドトラック
関連書籍
- ムービーガイド
- 『劇場版BLEACH The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸 MOVIE GUIDE』週刊少年ジャンプ2008年1月15日増刊、集英社、2008年1月15日発行(2007年12月7日発売)
- ノベライズ
- 久保帯人(原作) / 松原真琴(小説)『劇場版BLEACH The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸』集英社〈ジャンプ ジェイ ブックス〉2007年12月27日第1刷発行(2007年12月22日発売[41])、ISBN 978-4-08-703189-8
- アニメコミックス
- 久保帯人(原作) / ジャンプ・コミック出版編集部(編)『劇場版 BLEACH The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸 アニメコミックス』集英社〈ジャンプ・コミックス〉、2008年12月9日第1刷発行(2008年12月発売[42])、ISBN 978-4-08-874802-3
- 久保帯人(原作)『劇場版BLEACH アニメコミックス The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸』集英社〈集英社ジャンプリミックス〉、2010年11月27日第1刷発行(2010年11月22日発売[43])、ISBN 978-4-08-113086-3
イベント
2007年12月1日から2008年1月14日まで、池袋・サンシャイン60展望台にて本作の公開記念イベント「劇場版公開記念BLEACH The DiamondDust Rebellion in サンシャイン」が開催された[44]。会場では作品を紹介する展示が行われたほか、『BLEACH』のグッズが当たる抽選会、コンの着ぐるみによるグリーティングイベントなども行われた[44]。
2007年12月9日に有楽町よみうりホールにて完成披露試写会が行われ、監督の阿部記之、原作者の久保帯人、黒崎一護役の森田成一、日番谷冬獅郎役の朴璐美、草冠宗次郎役の石田彰が舞台挨拶に登壇した[26]。
公開初日の2007年12月22日には、TOHOシネマズ錦糸町にて阿部記之、久保帯人、森田成一、朴璐美、石田彰、朽木ルキア役の折笠富美子、阿散井恋次役の伊藤健太郎による初日舞台挨拶が行われた[45]。
タイアップ
- アニメイト
- 2007年12月1日から31日まで、全国のアニメイト店舗にて関連商品を購入すると、1,000円ごとにミニフォトシールがプレゼントされるフェア「BLEACHフェア in アニメイト」が開催された[46]。
- 東京都交通局
- 2007年12月16日から2008年1月5日まで、「都バス×『劇場版BLEACH』お台場スタンプラリー」がお台場・豊洲地区の都バス沿線で開催された[47]。スタンプラリーの参加者には「みんくる・『劇場版BLEACH』卓上カレンダー」が参加賞としてプレゼントされた[47]。また、記念バス共通カードが12月14日より発売された[48]。
- ロッテリア
- 2007年12月31日から2008年1月3日まで、全国のロッテリア店舗にて来店者に『BLEACH』デザインのフルポテセット100円引きクーポンを配布するタイアップキャンペーンが実施された[46]。