反魂香 (落語)

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反魂香』(はんごんこう)は古典落語の演目。別題に『高尾名香』(たかおめいこう)、『高尾の亡霊』(たかおのぼうれい)[1]上方落語では伝統的に『高尾名香』または『高尾』(たかお)の題であるが、紺屋高尾』と紛らわしいため[要出典]、上方でも『反魂香』または『反魂丹』(はんごんたん)の題で演じられることがある[2]。また、話の発端である仙台公の手討ちの場面の話のみで『高尾』という1つの噺にもなる[3]。本項では反魂香の前段にあたる、この『高尾』についても説明する。前田勇は東京には大阪から移植されたとする[2]

演題の「反魂香」とは、中国・孝武帝の故事に登場する香で、焚くとその煙の中に死者(故事では李夫人)が現れるというものである[4]八五郎が苦情を言いに訪れた近くの浪人から非業の死を遂げた遊女の霊を反魂香で呼び出すと告げられ、香を焚くと本当に遊女が現れて会話する。それを見たやもめの八五郎も真似をしたいと、薬屋で間違えて反魂丹を購入して起きる騒動を描く[注釈 1]

誹風柳多留』には、36編22の「忘れかね反魂丹をたいてみる」、144編18の「聞きかじり反魂丹を浅黄たき」といった同材の句が見える[4]武藤禎夫寛延4年(1751年)の漢文体笑話集『開口新語』収録のエピソード(遊里通いが過ぎて金の尽きた男が孝武帝の故事を思い出して遊女からの情書を焼こうとして間違えて借金の証文を焼くという内容)が「ヒントを与え」た可能性を指摘している[4]。一方現行の落ち(サゲ)の部分は、享保18年(1733年)に出版された笑話集『軽口蓬莱山』の一編「思ひの外の反魂香」(大店の娘が丁稚との恋を引き裂かれ、乳母のすすめで起請を火にくべる、という内容)に見える[4]。宇井無愁は天明元年(1781年)の『売集御座寿』収録の「はんごん香」を原話として挙げている[5]

現行の演目は、これらに伊達騒動を題材とした歌舞伎の『伽羅先代萩』が加味されたもので[要出典]、上方の桂松光の演題集『風流昔噺』(万延2年・1861年)には「高尾はんごん丹まちがい 但シ、はみがき売落」とある[4]。しばしば、笑話集『江戸嬉笑』の一編「反魂香」を原話と紹介するものがあるが、これは『たちぎれ』の原話である[1]

幽霊が出る場面では、上方落語でははめもの(音の演出)が用いられるが(ひゅうどろどろ)、江戸落語でも用いられることがある。また、島田はまだ浪人である場合と、仏門に入って僧侶になっている場合の2通りがある。[要出典]

東京では8代目三笑亭可楽の得意ネタだったとされる[1]

上方落語で『高尾』はこの『反魂香』を指すが、江戸落語では本演目の前段にあたる仙台公による高尾太夫の手討ちの噺で『伊達高尾』の別名もある[3]。この噺は地噺で通常サゲはないが、初代柳家小せんは、高尾が仙台公に贈った俳句の末文「君はいま駒形あたり ほととぎす」を踏まえて、「駒形でほととぎすを見たか?」「いや、イヌが吠えた」と落としていた[3]

高尾

仙台公(伊達綱宗)の寵愛を受け、伊達高尾とも呼ばれた高尾太夫の話として以下の逸話が語られる(地噺)。

仙台公は吉原の高尾太夫から贈られた俳句をいたく気に入り、そのまま彼女を身請けし、江戸藩邸に連れ帰った。しかし、彼女は意のままにならず、理由を問うと、実は年季明けに夫婦となることを誓った島田重三郎という因州鳥取の浪人がいることを明かす。これに立腹した仙台公は、酒が入っていたこともあって、その場で刀を抜き、その男を諦めねば手討ちにするぞと脅す。しかし、高尾は「斬るなら、お斬りなさい」と堂々とし、これには本当に手討ちにするつもりはなかった仙台公も困ってしまう。ここで始まった謡曲に合わせ、仙台公が「これ高尾、なぜそのほうはなびかぬぞ」と言うと、高尾が「いやあ」と答えたたため、そのまま曲に合わせて「ぽんぽん」と斬ってしまった。

反魂香

とある長屋にて、八五郎は隣の浪人が毎晩カンカンと鉦(かね)を叩いてうるさいため、その家に怒鳴り込む。その浪人は因州鳥取浪人・島田重三郎を名乗り、先ごろ、仙台公によって手討ちとなった三浦屋の高尾太夫と二世の契りを交わした者だという。そして、彼女の菩提を弔うために夜な夜な鉦を叩いているのだが、そうすると、くべた香の中から高尾の姿が現れると説明する。半信半疑の八五郎は、この場でやってみろと言い、すると確かに高尾の幽霊が現れた。八五郎は自分も3年前に死別した女房に会いたいので、その香を分けてくれないかと島田に頼むが、彼はこれは反魂香という貴重なもので、自分も契りを交わした時に高尾にもらった分しかないため譲るわけにはいかないと答える。

諦められない八五郎は薬屋に売ってないだろうかと店に行くが、香の名前を忘れてしまい、名前が似た越中富山の反魂丹を大量に買う。家に帰るとさっそく火鉢で大量の反魂丹にまとめて火をつけるが、大量の煙が出てむせ返る。すると裏口から八五郎の名前を呼ぶ女性の声が聞こえる。さっそく女房が来たのかと出ると隣に住む女性で、彼女は言う。

「さっきから、きなくさい(焦げ臭い)が、お前さんのところじゃない? 」

バリエーション

上方版の落ち(サゲ)は「かんこ臭いのは内方かえ、火の用心頼みます」というもので、「かんこ臭い」は「焦げ臭い、きな臭い」の意味の大阪弁である[2][5]

脚注

参考文献

関連項目

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