口利き
From Wikipedia, the free encyclopedia
概要
法規制
不正な口利きの防止のため、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(あっせん利得処罰法)で法規制がなされている。この法律では、政治家や議員秘書が、公務員に口利きをした見返りに報酬を受け取ることを禁じ、違反した場合は3年以下の懲役が科される[5]。
ただし、あっせん利得処罰法では、口利きの見返りに資金を得ても、権限に基づく影響力を行使しなければ処罰の対象にならないなど、法律上の権限がなくとも有形無形の影響力を持つ大物議員が口利きをすることが多い現状を鑑みると、実効性のない法律であると指摘される[6]。
口利き事案の対策のため、兵庫県川西市の条例では、政治倫理基準が策定され(1991年)、特定の企業、個人、団体などのために不当に有利な取り計らいをせず、または不当に有利な取り計らいをするように、市の機関および職員に働きかけることをしないことが定められた。神戸市の条例(2006年)では、職員は不当要求行為に対し、その内容を確認し、記録するものとしている。2008年の大分県教員採用不正事件も、議員の問い合わせがきっかけになっている[7]。ほかの地方自治体も、口利きを禁止する条例を制定している[8][9]。
横浜市では、平成15年に発覚した入札を巡る不祥事を契機に、要望等を記録し、公表する制度を導入して、議員からの口利き事案防止に取り組み、一定の成功を収めた。発端は、ある市議会議員が、要請に応じないと人事面で不利になると仄めかし、市の契約部長から予定価格を聞き出し、これを建設業者にリークし、予定価格の80%相当額で落札し、確実に受注しており、見返りに金品を受けとっていたことである[10]。
この事件を受けて発足した委員会での調査では、職員の855人が過去に不当な要求を受け、その内訳は市議会議員が68.5%、国会議員が21.2%、県議会議員が12.4%だった。内容は指名・契約、設計金額・予定価格関係が20.5%、入所・入院が11.0%、許認可が10.4%だった[11]。
要求の具体例としては、開発許可で、開発行為者の負担となる工事を、市の工事で施工を求めるもの、市の監査を中止するように求めるもの、法律に適合しない案件を認可するように求めるもの、採用の優遇や、設計金額、特定の業者の指名を求めるものがあった[12]。
阿部泰隆(行政法学者・弁護士)は、政治家は政策を論ずるべきであり、個別の行政案件に介入することは望ましくないとし、政治家の口利き禁止制度を提言しており、国も口利き記録公表法を作るべきとしている。その一例である、国有地売却を巡る、いわゆる森友学園問題では、多数の政治家からの問い合わせにより不当な圧力が加えられた[7]。
事例
| 「 |
(趣旨) 第1条 この要綱は、本町職員(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職の者をいう。以下同じ。)が、その職務に関して対象者から受ける口利きについて、記録、報告及び情報共有の手続を定め、組織として適切な対応の徹底を図るとともに、健全な組織運営及び公正で開かれた町政の推進に資することを目的とする。 (定義) 第2条 この要綱において「対象者」とは、次の各号に掲げるものをいう。 (1) 町議会議員、県議会議員、国会議員及びそれらの秘書 (2) 法人その他の団体及び関係者 (3) 町民(前2号に掲げるものを除く。) 2 この要綱において「口利き」とは、対象者が職員にその職務上の行為をさせるように、又はさせないようにするために、要望、相談、苦情等を面談、電話等により当該職員に伝えることをいう。ただし、次の各号に掲げるものを除く。 (1) 法令、条例等の規定に基づく聴聞等の公式の場及び町議会の本会議、常任委員会等の公開の場でなされたもの (2) 陳情書、要望書、依頼書等の書面でなされたもの (3) その口利きの対象となる行為が、口利きを受けた職員にとって適正な職務の執行と考えられるもの |
」 |
—嘉島町 - 職務に関する口利きの記録等取扱要綱 | ||
| 「 |
第3条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。 (1) 二元代表制の一翼を担う町民全体の奉仕者として、法令を遵守し、議会及び議員の品位及び名誉を損なう行為を慎み、不正の疑惑を持たれるおそれのある金品の授受、口利き、その他の行為をしてはならない。 |
」 |
—下仁田町 - 下仁田町議会議員の不当要求行為等を防止する条例 | ||