大学院では社会学を専攻するも、社会学プロパーとの齟齬を感じ、フランクフルト学派の社会思想に関心を抱く。その当時は、主にアドルノからハーバーマスにいたる「近代(モデルネ)」の思想に傾倒していた。また、1990年前後から、趣味としてパソコン通信に参加するようになると同時に、自身もBBSを運営するようになる(「WITH-NET」)。その後、私的関心に留まっていた「パソコン通信・インターネット」は、やがて学問的関心にも飛び火するようになり、1999年に京都大学大学院文学研究科の博士論文「情報ネットワーク社会と公共圏――インターネット空間への社会学的アプローチ」を執筆する。
それ以降は、情報ネットワーク社会の進展に伴う社会構造的変動を理論的に検討するようになる。初期の関心は、もっぱらハーバーマスの公共圏概念を基に、インターネット空間内に民主主義的な意思決定の場としての公共圏の形成の成否に関するものであった。そこでは、情報社会論における「モダン・アプローチ」の批判的継承という立場から、インターネット空間をモダン的現象・ポストモダン的現象の双方が立ち現れるアンビヴァレントな空間として理論化を進めた。その後、ハーバーマスと比較的近いコミュニケーション論・公共性論を展開するハンナ・アーレント、近代社会を再帰的近代(第二の近代)として捉えるギデンズ、近代社会の様態をコミュニケーション・システムの分化として捉えるルーマンなどを援用しながら、情報ネットワーク社会の総合的な社会理論を模索している。特に近年は、情報社会における「リスク」のあり方、また情報社会における新たな「監視」の様態の出現を分析している。