家庭用・飲食店で使われる固形燃料は、主にメタノールにゲル化剤として酢酸カルシウムまたは脂肪酸ナトリウムなどを加えて製造されている。一人用の鍋物や釜めし、チーズフォンデュなど小鍋での調理・保温に用いられる。円盤状か短い円柱状で、燃焼後の片付けがしやすいように下端がアルミ箔で覆われているものが多い。アルコールの蒸発防止のためにプラスチック製フィルムで覆われている。耐火性の皿に1つだけ載せてフィルムは外さずにそのまま点火する。使い切りなので調理に適したサイズのものを用いる。業務用には7gから40gのものが売られている。市販の固形燃料は25グラム(燃焼時間20分)程度のものが多い。有毒のメタノール系では誤食防止のために青く着色されているものが多く、一部のメーカーのものには誤食防止剤として苦味剤を添加している。 燃焼面をアルミ箔で覆うことで小さくし加熱量を抑制した保温専用の燃料(燃焼時間60~90分)や、触媒燃焼で長時間保温する例もある。
今日使用されている形の卓上用固形燃料は、大阪市にある化学メーカー、株式会社ニイタカ(当時の社名は新高化学工業株式会社)が1970年代初頭に後発参入し、10年近くの改良を重ねて現在の形を作り上げたものである。そのため同社の製品「カエン」は、旅館業界でアルコール固形燃料の代名詞にもなっている。
アルコール固形燃料は1960年代から国内で数社が製造販売していたが、一斗缶に流し込んで固めたものを旅館の仲居がスプーンを使って目分量で取り分けて使っていた。新高化学工業の「カエン」も発売当初は一斗缶に流し込んで固めたものだったが、出荷先の旅館から「量にばらつきが生じ、客の鍋が煮えない」「取り分けるのが手間」等の苦情を受けた。この問題に対処するために、一定の大きさにあらかじめ角切りして提供することで、取り分ける手間を無くし、これが好評で先行他社品との差別化に成功した。その後は、連続加工をしやすくするため円柱状に変更している。さらに先述の通り、アルコール分の蒸発を防ぐためのシュリンクフィルム加工や、後始末を楽にするためのアルミホイル加工を施して改善した結果、現在よく見られるスタイルになった[1][2][3]。
缶入り固形燃料は、保存性に優れ、五徳が付属しているものが多い。主に非常用・防災用であるが、レジャー用としても使用される。燃料はアルコール系のほか、パラフィン系などがある。容量は100~600グラムと大きく1時間以上使用できる。蓋を閉めて消火し、再使用が可能なものもある。
アウトドア用、軍用として様々なものがある。単独で調理に用いるほか、木炭などへの着火剤や登山用に非常用や燃料式コンロの余熱用として利用される。一般用にはヘキサ固形燃料(商品名: クイックコンロ、Esbitなど。主成分:ヘキサメチレンテトラミン)、スイスメタ(商品名。メタアルデヒド系)、防水ファイアーライター(商品名。石油系)などが市販されている。容量は一つ10グラム前後で必要量を専用コンロに投入して使用する。すすが出やすいものもある。
軍用では食料はレーションの形で配給され、レーションヒーターとして固形燃料が添付されている。ドイツ軍は前述のEsbitを使用している。米軍はトリオキサン燃料を用いていたが、燃料を用いないレーションヒーターも使用されている。
自衛隊では缶入りの「携帯燃料」(ゲル状アルコール)が使われている。