地表集電方式
From Wikipedia, the free encyclopedia
固定接点電極方式
イノレール式APS
イノレール式APS(フランス語: Alimentation par le sol:地表給電)はアルストムの子会社のイノレール(INNORAIL)社が開発した地表集電システムである。
給電用レールは線路の中央に敷設され、8mの給電区間と3mの絶縁区間が交互に連なっている。車両下面の接地アンテナから誘導電流を出し、これを地上の誘導コイルで受けて制御箱のスイッチを切り替えることにより、車両の真下にある部分の給電レールにのみ通電する。また受電に失敗した場合も車載のバッテリーにより400mまでは自走が可能である[1]。
ボルドーの事例

フランスのボルドーではVAL方式による地下鉄(メトロ)の建設が決まりかけていたが、1990年代に路面電車(トラム)に変更された。その際ガロンヌ川左岸の歴史地区(2007年「月の港ボルドー」として世界遺産指定)の景観を守るため架線のないイノレール式APSが採用され、2003年12月21日に運行を開始した。車両はアルストムのシタディス(Citadis)をAPS対応にしたものが用いられている。
ボルドーでは特に景観への配慮の必要な歴史地区やガロンヌ川の橋上などでAPS方式が使用されているが、郊外では架線集電となる。ただし郊外でも乗務員の訓練用や消防自動車の出動を妨げないため[1]、また地域のシンボルとして[2]短区間のAPS集電区間がある。APSシステムの設置には通常の架線に比べおよそ3倍の費用が必要になるが、建設費全体ではAPS採用によるコストの上昇は5%程度であった[1]。
開業直後には絶縁不良やブレーカーの誤作動などによる故障が多発し、特に雨の日には運行率が著しく下がった。しかし制御箱の改良などにより徐々に改善され[1]、2007年ごろには年あたりの運休時間が10時間程度にまで減少している[2]。
- ガロンヌ川の橋を渡るトラム
- 郊外では架線集電となる
- 建設中の軌道
- 制御箱
- APSと架線集電の切り替え地点
その他の都市
フランスではアンジェ、ランス(同)、オルレアンのB線でAPSが採用された。[3]フランス国外ではアラブ首長国連邦のドバイ[4]で使用されている。2014年のFIFAワールドカップに向けて、ブラジルのブラジリア[5]でも採用される予定であったが、工事の延期や車両納入の遅延により計画がキャンセルされたため、実現していない。[6][7]なおニースでも採用が検討されたが、バッテリー走行方式に変更され、2007年に開業した。
2016年に開業したリオデジャネイロの路面電車VLT Cariocaは、架線を全く使わず全区間がAPSになっている。[8]
その他の地表集電方式

スタッド・コンタクト式
暗渠集電式
暗渠内に設けた第三軌条から集電する方式で架線柱を並べる必要がなかったが絶縁や保守に手間がかかる為、ロンドンやワシントンDC、マンハッタン島、ボルドー等、一部の都市を除いて普及には至らなかった[9]。
磁力吸引集電式
イタリアのトリエステでトロリーバス用として1998年から試験された車上の磁石の吸引力で電路内の導体を吸引して電力を供給する方式で他の地表集電方式と比較して建設費、運用費が安価である等の利点があったが実用化には至らなかった[10][11][9]。
参考文献
- 三浦幹男、服部重敬、宇都宮浄人『世界のLRT』JTBパブリッシング〈キャンブックス〉、2008年。ISBN 978-4-533-07199-7。
- 森五宏「ボルドー・地表集電トラムウェイ」『鉄道ピクトリアル』第55巻第5号、電気車研究会、2005年5月、pp. 97-101。
