坊や大きくならないで
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1968年夏、ベトナム戦争の取材で現地に来ていた毎日放送(MBS)報道部の浅井隆は、サイゴン周辺の反戦集会で歌われている歌を録音して日本に持ち帰った[1]。「もしも平和になったなら」「坊や大きくならないで」など20数曲を、MBSラジオの人気番組「MBSヤングタウン」で紹介。それを受けて、「ヤンタン 今月の歌」の1969年1月の歌にも選ばれ[1]、1月31日にはMBSラジオ「特集番組 坊や大きくならないで」も放送された[2][3]。番組では、小池清、マイケルズ、高石友也、エコ・エレガンテ、坂本登志子のコメントも紹介された[注釈 1]。
元毎日放送のカメラマンで、当時アメリカのABCニュースに移ってベトナム戦争を取材し続けたカメラマン平敷安常と毎日放送(MBS)報道部の浅井隆が意訳して、毎日放送で紹介されたこの歌は「坊や大きくならないで」という日本語タイトルがつけられ、ミリカ音楽出版(現MBS企画)からレコードとして様々なアーティストにより発売された[1]。
「ベトナムのボブ・ディラン」と呼ばれたベトナムのシンガーソングライター、トリン・コン・ソン(Trịnh Công Sơn)が作詞・作曲した反戦歌「Mẹ ru con」(母の揺り籠歌/子守歌)が原曲。政府は早くからトリン・コン・ソンの平和主義、厭戦的傾向を好まず、検閲で圧力がかけられたことにより、表舞台では目立たずヒットしていたわけではなかったが、戦火が激しさを増していた1968年の南ベトナムでは人々が巷で歌う「坊や大きくならないで」は、プチブームになっていた[1]。なお、トリン・コン・ソンは、「反戦歌」と呼ばれるより、「厭戦歌」と呼ばれることを好んでいたという[1]。
発表当時、話題沸騰となったわけではなく、1972年2月に毎日放送のテレビ番組で紹介されたことで、ベトナムの名曲として広く知られることとなった[1]。
タイトルにある「大きくならないで」という言葉は、成長を否定しているのではなく、「大人になって戦争の道具(兵士)にされるくらいなら、いっそ小さなままでいてほしい」という、母親を通しての極限的な悲しみと矛盾した愛を表現した反戦歌(プロテスト・ソング)。
デビュー前の海援隊がレパートリーとしていたことも知られる。
収録曲
MBS報道部の南ベトナムでの取材テープによる。両曲とも、作詩・作曲:トリン・コン・ソン。
A面
- 坊や大きくならないで (4分28秒)
B面
- もしも平和になったなら(3分38秒)
マイケルズ版
| 「坊や大きくならないで」 | |
|---|---|
| マイケルズ の シングル | |
| B面 | 君に歌を |
| リリース | |
| 規格 | 7インチレコード/CD-17 |
| ジャンル | フォーク・ソング |
| 時間 | |
| レーベル | 日本コロムビア |
| 作詞・作曲 | トリン・コン・ソン |
| チャート最高順位 | |
ジャケットには「本命版」、「毎日放送「ヤングタウン」1月の歌」と記載されている。このマイケルズ版が一番売れている[5]。
マイケルズは、日本コロムビア(DENONレーベル)のプロデューサーだった谷川恰[6]が、当時「カレッジ・フォーク」の流れにいたメンバーを集めて結成した企画ユニット的な側面が強いグループ。この曲が谷川のプロデュース作品では初めてヒットした[7][6]。
収録曲
A面
- 坊や大きくならないで SLEEP SOFTLY, MY BOY (3分40秒)
- 作詩・作曲:トリン・コン・ソン、訳詞:浅川しげる、編曲:マイケルズ
B面
- 君に歌を I'LL SING A SONG FOR YOU(2分55秒)
- 作詞・作曲:瀬尾一三、編曲:マイケルズ
高石友也版
| 「坊や大きくならないで」 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 高石友也 の シングル | ||||
| 初出アルバム『坊や大きくならないで 高石友也フォーク・アルバム第3集』 | ||||
| B面 | もしも平和になったなら | |||
| リリース | ||||
| 規格 | 7インチレコード/SV-810 | |||
| ジャンル | フォーク・ソング | |||
| 時間 | ||||
| レーベル | ビクターレコード | |||
| 作詞・作曲 | トリン・コン・ソン | |||
| 高石友也 シングル 年表 | ||||
| ||||
「反戦歌をつくる目的でつくられた反戦歌ほど、いやらしいものはない」と高石が語るように、ベトナムの母の歌を歌うのに、訳詞した元歌詞に登場する「戦さ」「血に染まる」などの観念的な言葉は使いたくなく、言葉を変えさせてほしいと申し入れた[3]。
両曲とも、作詩・作曲:トリン・コン・ソン、訳詞:浅川しげる/高石友也、編曲:青木昇。
収録曲
A面
- 坊や大きくならないで (3分17秒)
B面
- もしも平和になったなら(3分34秒)
その他のカバー
訳詞:浅川しげるを基に、歌詞がマイケルズ版、高石友也版、愛まちこ版と3つ存在する。
- 愛まち子(1969年3月、テイチクレコード、SN-753)シングルで発表。補作:高月ことばで、歌詞は3番まである。
- 森山良子(1969年6月5日、フィリップス・レコード、FS-8044)アルバム「カレッジ・フォーク・アルバム」に収録。歌詞は高石友也版。
- 麻里圭子(1969年7月、ビクターレコード、SJX-23)- アルバム「フォーク・ソングを歌う」に収録。歌詞は高石友也版。
- 加藤登紀子(1969年12月5日)アルバム「加藤登紀子フォークを歌う ひとり寝の子守歌」に収録。歌詞はマイケルズ版。
- カルメンマキ(1970年7月、CBSソニー、SOND-66029)- アルバム「思い出にサヨナラ “カルメン・マキ'70”Goodbye My Memories」に収録。歌詞はマイケルズ版。
- ザ・シャデラックス - 2012年5月23日発売の「ゴールデン☆ベスト」に収録、1967年は日本コロムビアに所属しており、本曲が1969年に日本に紹介され、1970年にはCBSソニーに移籍していたことから、1969年頃に発表と思われるがどのような形態で発売されたかは不明。