変形体
From Wikipedia, the free encyclopedia
形態
よく発達した変形体は、偏平に広がり、大きいものでは差し渡し数十cmから1mを越える。形としては、先に行くにつれて枝分かれして細くなった管状構造を基本とする。枝の先端は細かく分かれ、それぞれの先からは原形質が、ちょうどホースの口から粘り気のある液体を吹き出したように扇型に広がる。この広がりの全体は、あたかも熱帯のグンタイアリの群の行軍形態に酷似する。ちょうど、グンタイアリが獲物を探索する前線が変形体の扇型の部分に相当し、女王アリや幼虫が守られているビバーク地点が、変形体の扇の要の部分に相当する。
太い管の表面にはゴミが着いている場合もある。この管は変形体の表面から分泌されるポリガラクトースを含む粘液で包まれており、これは、変形体を乾燥などから守る役割を果たしていると考えられる。変形体の移動した後にはこの粘液が残るので、通った後がしばらくはよく分かる。
変形体の内部には多数の核やミトコンドリアが存在し、それらは原形質中の顆粒と共に細胞全体にわたって流れて行く。いわゆる多核体である。核は、多いものでは億を越えると言う。
変形体全体としては、時速数cm程度の移動速度である。これは、原形質流動が往復運動をするため、全体の移動もわずかに往復運動をしながら行われるので、原形質流動の速度そのものでは移動できないからである。
原形質流動
変形体を構成する管を顕微鏡下で観察すると、その内部が非常に活発に流れているのが観察できる。いわゆる原形質流動であるが、他の多くの生物に見られる原形質流動に比べ、格段に流れが速い。その流速は秒速で1mmを越えるという。普通の植物細胞では0.05mm程度、特に速いシャジクモでも0.1mmである。顕微鏡下で見られるそれは、原形質流動というより、多細胞動物の血液の流れを見ているような気になる。
また、変形体の原形質流動の特徴として、周期的に流れの方向が変わる現象が見られる。ある瞬間に一方に流れているものは、観察を続けると、次第にゆるやかになって止まってしまい、その後、これまでとは逆の方向に流れ始める。一方向の流れは、約30秒から1分位ずつ続く。
変形体は朽ち木などの内部に潜り込んでいることも、表面に広がっていることもある。朽木や土壌の内部に潜り込んでいるときには、変形対の全体は立体的な網目状構造をとる。
変形体に対して迷路学習の様な実験が行なわれた例もある。人工的に迷路を作り、その中の2箇所に餌を置くと、変形体は迷路の中の2箇所の餌場を結ぶ最短距離を結ぶ原形質のひも状の形態をとる。この実験は変形体が複雑な隙間構造の中で食物を得る最適形態を作り出す機能を示していると考えられ、そのために変形体がいかなる情報処理を行っているか、研究が行われた。
