夜、鳥たちが啼く
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若くして小説家となった慎一だったが、その後は鳴かず飛ばずの状態で付き合っていた恋人も離れていき、鬱屈した日々を送っていた。そんなある日、友人の元妻である裕子が一人息子とともに慎一の家に引っ越してきた。自分が住んでいた家を裕子と子供に与え、慎一はプレハブに住むことになるという奇妙な共同生活を送ることになった。 自分の身勝手な性格が災いして他人を傷つけた経緯のある慎一は夜になると、かつての自分自身の姿を投影するような小説を書く日々を送るようになっていた。
一方、一人息子とともに慎一のところに身を寄せた裕子は息子が寝静まった頃に外へと繰り出し、夜ごと男たちと逢瀬を繰り返していた。親として強くありたいという想いと言い知れぬ孤独との間で裕子は苦しんでいた。そんな生活をしていく中で父親がいなくなった淋しさで傷心していた一人息子は慎一を慕い始める。慎一と裕子は互いを刺激し合わぬように共同生活を送るが、それぞれに前に進むきっかけを掴めずにいた。
『大きなハードルと小さなハードル』収録作品
- 美しい夏
- 野栗鼠
- 大きなハードルと小さなハードル
- 納屋のように広い心
- 裸者の夏
- 夜、鳥たちが啼く
書誌情報
- 佐藤泰志『夜、鳥たちが啼く』
- 初出:『文藝』1989年冬季号
- 連作短編集『大きなハードルと小さなハードル』所収
- 単行本:河出書房新社、1991年3月26日発売、ISBN 978-4-309-00676-5[5]
- 文庫本:河出文庫、2011年6月7日発売、ISBN 978-4-309-41084-5[1][2]