夢みる惑星
From Wikipedia, the free encyclopedia
| 夢みる惑星 | |
|---|---|
| ジャンル | SF・少女漫画 |
| 漫画 | |
| 作者 | 佐藤史生 |
| 出版社 | 小学館 |
| 掲載誌 | プチフラワー |
| レーベル | プチフラワービッグコミックス 小学館文庫 |
| 発表期間 | 1980年 - 1984年 |
| 巻数 | コミックス全4巻 文庫全3巻 |
| テンプレート - ノート | |
『夢みる惑星』(ゆめみるわくせい)は、佐藤史生作のSF漫画作品。1980年春の号(創刊号)から1984年5月号まで『プチフラワー』誌に連載。当初は『夢みる惑星より』という連作であった。「竜の谷」・「銀の舟」・「天の足音」・「星の都」・「紅の影」・「夏至祭」(前・後篇)と続いた後、第7話で「夢みる惑星」と改題し、第21話までの連載長篇となった[1]。神殿が宗教的権威と先進的科学の両方を独占する超古代文明を舞台として、予見された震災に備えるために若くして大神官となった主人公を中心とする特異なリスク・コミュニケーションの展開と、それにともなうさまざまな確執を描く。コミックス4巻、文庫3巻、愛蔵版4巻のほか、イラスト集が刊行されている。
1億年以上昔の地球に、火星(作中では「ソリステラ」と呼ばれている)から移住してきた人々の文明があった、という設定のSFである。まだ鳥類や哺乳類がいないので、彼らは唯一の大型陸上動物である「竜」(恐竜)を家畜として使役している。物語は、大陸の分裂にともなう大地震によって破局がもたらされるラストに向けて進む。終末ものの一変形といえる。[2][3]
主人公イリスはアスカンタの第一王子であるが、出生上の問題のため、宮廷を離れ山中に母と隠れ住んでいた。その母は死に臨み、各地の神殿を統括する宗教の中心である「谷」でひっそり一生を終えるように言い含め、イリスを「谷」に託す。父モデスコ王はイリスが王位を継ぐことを望むが、それに対して「谷」の神官エル・ライジアは、数百年来該当者の無かった大神官(エル・シャッダイ)としてイリスを推戴しようと画策し、大神官になるのに不可欠である「幻視能力」をイリスが持っているかのように見せかける。イリスは能力者ではなかったが、エル・ライジアの志を受け継ぎ、己を能力者であるかの如く見せかける芝居を演じ続けながら、大陸に到来すると予見されている危機に対処するため、「谷」の宗教的権威と科学的知識を利用した策謀をめぐらせる。
関連作品
- 星の丘より(ほしのおかより)
- ソリステラでは、「正常人」の寿命が年々長くなる一方、出生率が著しく減少していた。他方で、テレパシーを持たず短命な「ミュータント」の人口は増加するばかりだった。そんな中、待ち望まれた王家の嫡子、アスランもまたミュータントとして生を受ける。
- 一見別作品のようだが、実は『夢みる惑星』の前史になっている作品[3]。『別冊少女コミック』1977年5月増刊号に掲載。
『夢みる惑星』の基本設定である、火星(ソリステラ)から移り住んだ人々が太古の地球で文明を育んでいたという発想は、1973年公開の映画『ジーザス・クライスト・スーパースター』の古代ユダヤ教団の衣装から得た着想を展開したもの[4]。この設定に基づく最初の作品が「星の丘より」である。作者の回想によれば、デビュー前に萩尾望都のアシスタントを務めていたころ、萩尾の原稿をとりにきた小学館の編集者(一説には山本順也[5])が、書きかけの「星の丘より」をみて、完成させるよう促した[6]。1976年、この作品が小学館『別冊少女コミック』新人賞に入選し、翌年のデビュー(「恋は味なもの!?」『別冊少女コミック』1977年2月号)につながった[7]。この間、坂田靖子が主宰する同人誌『ピグマリオン』(第3号、1976年4月)に、故郷ソリステラの喪失と新王国アスカンタの誕生を謳う頌歌(後に『夢みる惑星』本編にも登場する)の入ったイラストを掲載している[7](pp34-35)。
- 雨の竜(あめのりゅう)
- 南方王国は雨期に雨が降らない旱魃に襲われていた。神秘能力者でもある王子エル・ネアンは、雨乞い祈禱のために四人の娘を生け贄にすることを決定した。兄のネアンと仲の悪い王女アスカは、友人タルクとともに、雨を降らすことのできる「雨の竜」を求めて、旅に出る。
- 『夢みる惑星』の後の世界を描いた読み切り。『グレープフルーツ』第15号(1984年4月発売)に掲載。
- 竜の姫君(りゅうのひめぎみ)
- 南方王国アスガラは、アスキィアン(アスカ)王女の縁談を進めるため、北方王国モルカンドのダルス王子を夏至の祭りに招待する。モルカンドを訪れていた南方出身の吟遊詩人タルク・レド・アスルは、王子一行に同道し、陰謀に巻き込まれる。
- 「雨の竜」のさらなる後日譚。増山のりえ篇『アリス・ブックI: 新作集』新潮社(1991年)所収。
『夢みる惑星』ラストでは、震災を逃れて散り散りになった人類の文明が退行し、やがて消滅していくことが示唆される[3]。しかし、後日譚を描く「雨の竜」「竜の姫君」によれば、震災から100年以上経った後に人々は少なくともふたつの王国を再建しており[8]、人類を危機から救うための主人公たちの奮闘はいちおう実を結んでいる。