山口建

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山口 建
(やまぐち けん)
居住 日本の旗 日本
国籍 日本の旗 日本
研究分野 医学
研究機関 国立がんセンター
静岡県立静岡がんセンター
出身校 慶應義塾大学医学部卒業
主な業績 肺小細胞がん腫瘍マーカー
ガストリン放出ペプチド前駆体」の開発
主な受賞歴 高松宮妃癌研究基金学術賞
2000年
朝日がん大賞(静岡がんセンターとして)2012年
国際腫瘍学バイオマーカー学会賞(2014年
プロジェクト:人物伝
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山口 建(やまぐち けん)は、日本医師医学者乳がん治療腫瘍マーカー・がんゲノム医療・がんの社会学)。静岡県立静岡がんセンター総長(初代)・静岡県立静岡がんセンター研究所所長(初代)。国立がんセンター研究所副所長、宮内庁御用掛、厚生労働省がん対策推進協議会会長、国際がん研究機関科学評議会委員などを歴任した。現在、静岡県立静岡がんセンター名誉総長兼理事、静岡県エグゼクティブアドバイザー、高松宮妃癌研究基金理事長、慶應義塾大学客員教授、内閣府ゲノム医療協議会構成員。

1950年三重県紀北町生まれ。開成中学・高校、慶應義塾大学医学部にて学び、1974年に卒業した。大学卒業後、国立がんセンター(のちの国立がん研究センター)の研究所に勤務する。内分泌部の研究員を経て、治療研究室の室長、内分泌部の部長や細胞増殖因子研究部の部長などを歴任する。1981年 東京大学から医学博士、学位論文は 「The presence of macromolecular vasoactive intestinal polypeptide (VIP) in VIP-producing tumors (Vasoactive Intestinal Polypeptide産生腫瘍における大分子VIPの存在について)」[1]1999年には、国立がんセンター研究所の副所長に就任した。また、同年からは宮内庁の御用掛も兼ね、皇族の健康管理を担当した。

1994年、静岡県石川嘉延知事に要請され、静岡県立静岡がんセンターの設立構想に携わり、「富士山麓先端健康産業集積構想」(ファルマバレープロジェクト)を提唱する[2]2002年に静岡県立静岡がんセンターが開設され、その総長、研究所長、疾病管理センター長に就任した。また、ファルマバレープロジェクトの推進に努め、その実施組織であるファルマバレーセンターを静岡県立静岡がんセンター内に設置した。

そのほか、公職として、内閣府ゲノム医療協議会構成員を務めており、これまで、厚生労働省のがん対策推進協議会会長、厚生科学審議会科学技術部会委員、がんに関する全ゲノム解析等の推進に関する部会部会長、地域がん診療拠点病院の在り方に関する検討会委員、がん診療連携拠点病院の指定に関する検討会座長などを務めた。また、高松宮妃癌研究基金理事長日本対がん協会評議員、持田記念医学薬学振興財団評議員、井上靖文化記念財団評議員などを務めている。

業績

専門は医学であり、がんの基礎研究として、腫瘍マーカーの開発やがんゲノム医療に取り組み、がんの臨床研究としては、乳がん治療、膵内分泌腫瘍診断、遺伝性がんの診断などに取り組んでいる。国立がんセンター研究所在籍中には、肺小細胞癌の腫瘍マーカーであるガストリン放出ペプチド前駆体ProGRP)の開発に成功した。この業績は高く評価され、2000年2月に高松宮妃癌研究基金から高松宮妃癌研究基金学術賞が、また、2014年3月には国際腫瘍学バイオマーカー学会賞が授与された[3]

がんゲノム医療への貢献としては、1990年代に開始した遺伝性がんの研究成果に基づき、2001年に制定された政府の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を責任者として取りまとめた。この倫理指針は、その後、相次いで策定された各種臨床倫理指針のひな形となっている。2014年からは、静岡がんセンター研究所と病院の協働作業として、次世代シークエンサーを活用するがんゲノム医療のための「プロジェクトHOPE(High-tech Omics-based Patient Evaluation) 」を開始し、現在までに1万4000症例のがん患者のオミックスデータを収集した。このデータをもとに多くのがんゲノム医療に関する論文を発表するとともに、2019年には、厚生労働省「がんに関する全ゲノム解析等の推進に関する部会」の部会長として、「全ゲノム解析等実行計画(第1版)」を取りまとめた。

また、「がんの社会学」を提唱し、がん患者・家族がより安楽な闘病生活を送るための体制整備にも取り組んだ。きっかけとなったのは、がんの研究や治療に携わる間に、「病気の研究とともに患者の研究が必要」[4] と自問自答するようになり、1990年代ころからがん患者・家族の暮らしの実態に目を向けたことであった。「がんの社会学」の実践にあたっては、がん患者・家族が直面する苦痛・悩み・負担を明らかにし、それを和らげるための手法を、医療スタッフのみならず、様々な社会資源を用いて構築することを目的とした。そのため、2003~2013年に、全国合わせて1万2千名の患者・家族の苦痛・悩み・負担を明らかにするための「がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査」を実施し、多くの証言をまとめた上で、その対処法についての研究を進めた。

1994年から関与した静岡県立静岡がんセンターの設立構想では中心人物として活動し、21世紀のがんセンターのあるべき姿を追求し、基本理念として「患者の視点の重視」を、また、患者への約束として、「がんを上手に治す」、「患者・家族支援を徹底する」、「成長と進化を遂げる」を掲げ、2002年、開設にこぎ着けた。先端医療の提供と患者・家族支援を主たる目標とし、我が国トップクラスのがんセンターを実現した。患者・家族支援に関しては、「がんよろず相談」、「患者家族支援センター」、「患者図書館」、「がん看護研究部門」などからなる「包括的患者家族支援体制」を構築した。このような実績は、その後、がん対策基本法やがん対策推進基本計画で、「がんとの共生」という分野として広く具現化され、患者・家族に寄り添うがん対策の実現に寄与している。例えば、年間1万2000件以上の相談に対応している「がんよろず相談」は、全国のがん診療連携拠点病院の「相談支援センタ-」や日本対がん協会の「がん相談ホットライン」のモデルとなった。また、「WEB版がんよろず相談Q&A」を患者・家族への助言集を公開した[4][5][6]。困難な悩みでも、話すことで患者の心の整理ができる[4] との信条から、自らも「出張がんよろず相談」に赴き、患者らの相談を聞く機会を設けてぃた。これらの取り組みは、がん患者・家族支援の先進例として評価され、2012年、日本対がん協会から、静岡がんセンターに対し朝日がん大賞が授与された[7]

2002年度に開始された「ファルマバレープロジェクト」では、静岡県立静岡がんセンターの総長、その後、名誉総長として構想実現に向けた主導的立場に立っている。このプロジェクトは、静岡県の事業として、住民への先端的医療の提供と地域における医療健康産業の活性化を目標とし、「ものづくり」、「ひとづくり」、「まちづくり」、「国内・国際展開」をテーマとている。プロジェクトの中核組織は、静岡県経済産業部、健康福祉部、静岡県立静岡がんセンター及び静岡県の外郭団体であるファルマバレーセンターであり、静岡県東部地域の12市町を中心として多くの地域企業が参加している。当初は、地域企業の医療ものづくりの支援が主要な取り組みであったが、その後、医療専門職や医療ものづくり技術者の育成が進んだ。また、静岡県立静岡がんセンターが立地する長泉町は「医療城下町」としての発展を遂げた。2018年度からは、超高齢社会の訪れを意識して、「健康長寿・自立支援プロジェクト」を開始し、その成果を活用し、2023年度からは、「超高齢社会の理想郷」を実現するための「医療田園都市構想」に取り組んでいる。

賞歴

主要な著書

  • 『改訂版 抗がん剤・放射線治療と食事のくふう』(監修・編著,静岡県立静岡がんセンター,女子栄養大学出版部,2018)
  • 『親ががんになったら読む本』(主婦の友社,2019)。
  • 『高齢者とがん - 健康管理・診断・治療から心と暮らしのケアまで-』(中公新書,中央公論新社,2026)

脚注

関連項目

外部リンク

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