嵐が原
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あらすじ
人の心の奥には、誰しも「曇天の荒野」を持っている。"大人になる"為に、"正しく進む"為に、人はそこへ色々な"気持ち"を捨ててゆく。彼等は哭き叫び、時折人を「そこ」へ誘おうとする…。
レジオン国の都近くに住む、占い師の孫娘・クリールはある日、怪しい2人組の外人客を祖母へ紹介することになる。お喋りな青年・キシュと無口な14歳の少年・ハリは文無しの状態でクリールの家を占拠し、占いをするまでふたりを人質に取る。
占い費用を稼ぐ為、都へやってきたキシュとハリ、そして人質のクリール。そこで彼女は、彼等の不穏な行動を目にする。城を偵察するふたり、そしてキシュと別れて帰る途中で襲って来た野盗を表情ひとつ変えず殺すハリ。クリールは興味心から、ふたりと祖母のやりとりを聴いてしまう。
2年前、小国トスローがレジオン軍の手に落ちた。すべてを失った12歳の少年が、絶望と自分への怒りのなかで垣間見たのは、レジオン国王・ユクサームの横顔だった…。
登場人物
- ハリ
- 14歳。トスロー出身の旅人。非常に無口で、用があるときしか喋らない。
- 母は高名な占い師でトスロー王家に仕えていたが、国王との恋がきっかけで勘が狂い、王妃にも不倫が露見したため城を追い出された。彼の父親は知れないが、母は国王が父親であるとずっと言い含めていた。その為、子供の頃の夢は「大きくなったら城を取り戻しに行って母さんと暮らせるようにする」だった。
- その後、母の占いの勘が再び狂った為国の危機を予知することが出来ず、レジオン軍が攻めてきたとき奇跡的に一命を取り留めるが、母と家と国と夢…当時の彼のすべてを失う。以来、人が変わったかのように「自分の手でユクサームに、あのときの自分と同じ気持ちを味わわせたい」と固く決意するに至る。この2年で冷静に物事を考えられるようになり、他の方法で報復を達成することも考えたらしいが、それは"あのときの自分への裏切り"だと結論づけた。
- キシュ
- ハリと行動を共にする青年。元々放浪の旅人で、ハリとは逆にお喋りで口説き上手。
- かつて旅の途中でハリの家に泊まったことがあり、そのときハリの母と恋に落ちたことでトスロー壊滅の引き金を作ってしまった男。その後偶然、街道で行き倒れていたハリと再会し心配心と「いつか諦めるかも」という希望から2年間、行動を共にしていた。
- まっすぐにしか進めないハリを誰か(クリール)に止めて欲しいと願いつつも、心の中にもうひとりの自分がいることに気付きかけている。
- クリール
- レジオンの都近くにある村の、占い師の孫娘。うっかりキシュの口車に乗ったせいで、家を占拠されることになる。
- 最初は盗賊のキシュがハリを連れ回していると思い込んでいたが、真実を知るうち、このまま二人を行かせるべきか止めるべきか激しく悩む。
- クリールの祖母
- 占い師で「未来を観る鏡」を持つ。現金主義者で、金さえあればどんな占いでも引き受ける。その代わり、客に一切の情は持たない。
- ユクサーム
- レジオン国王で「ハリの仇」。トスロー侵攻の際、ハリに横顔を見られている。