急降下爆撃
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急降下爆撃が登場するまで、飛行機による爆撃法は水平爆撃だけであった。命中精度が格段によいということから画期的な戦法として世界中に広がり採用され、専門の飛行機も開発試作されるようになった[2]。
急降下爆撃は小さな目標を精密爆撃するのに適しており、特に海上の艦船爆撃には最適であった。ただし、戦艦など装甲を施した大型艦の水平装甲を貫徹するのは困難な場合も多く、後年になるほど損害を与えられるのは非装甲の上部構造物や装備品、そこに居る人員にとどまり、弾薬庫の誘爆・浸水・沈没に至らしめるのは難しかった[3]。また、投下高度を下げただけ命中率は高くなるが、その分敵の防御砲火による攻撃側の損害は大きくなり離脱は難しくなる[4]。
急降下爆撃の場合、降下する機体のベクトルと爆弾の落下するベクトルが近いために、命中率を高めることが可能となる。但し、この方法では水平爆撃と比べて降下機動や急降下からの引き起こしなど機体にかかる負荷が大きくなる他、降下速度の制御の為の特別な空力ブレーキを装着する必要がある場合があり、急降下爆撃専用の機体(急降下爆撃機)を開発することが多い。また、通常の場合、投弾高度は500-900メートルと水平爆撃に比べてかなり低い。即ち、爆弾の位置エネルギーは小さくなり、従って着弾時の運動エネルギーも小さくなるが、水平爆撃とは異なり運動エネルギーに降下速度が加算される。水平爆撃の高度が高くなるほど、同一爆弾を使用してもその貫徹力は一般に水平爆撃に比較して劣ることが多くなる。なお、急降下爆撃による撃沈が難しい理由には使用される爆弾の大きさもあり、例えば真珠湾攻撃に於いて97式艦上攻撃機が行った水平爆撃で使用されたのは800kg爆弾であるが、急降下爆撃で使用された爆弾は250kgしかなかった。同大戦末期には大型の爆弾を搭載できる急降下爆撃機も開発されているが、初期の段階では急降下に耐えうる機体構造に重量を割かねばならず、一般的に急降下爆撃機の搭載量は機体規模が同程度の水平爆撃機よりも少なかった。
投弾方法は主に
の2つがある。
前者は、先行機の攻撃による着弾を見て後続機が照準を修正でき、目標の回避運動に対して柔軟に対応できるため命中率が高くなる反面、編隊全機が空中のほぼ一点を順次必ず通過するため、そこに対空砲火を集中されると次々と被弾・撃墜される致命的リスクがある。これは、太平洋戦争前半まで日本海軍が使用した戦法である。
後者は、先頭機の急降下開始と共に後続機も一斉に急降下に入り、各機の照準にしたがって投弾する方法であるが、投弾タイミングが編隊全機でほぼ同じため、目標が急激な回避運動をした場合、全弾命中しないということもあり得る。しかし、対空砲火は分散もしくは一部(多くは先頭機)に対して集中するため、被害が局限できるという利点がある。これは、アメリカ海軍などが採用した戦法である。日本海軍も太平洋戦争後期にはこの戦法に変更している。
なお、日本海軍における急降下爆撃の降下角度は50°から60°の間であった。この角度に関しては戦法の違いもあり、各国で若干の差異がある。降下角度が急になり過ぎると、操縦者の体が座席から浮き上がり操縦しにくくなるなど弊害が生じるため、完全な鉛直方向への急降下爆撃は困難である。
