意味役割付与
From Wikipedia, the free encyclopedia
意味役割付与(いみやくわりふよ、英: semantic role labeling、略称:SRL)は、自然言語処理において、文中の語や句に対してその意味役割(例えば動作主、目的、結果など)を示すラベルを割り当てる処理である。
この処理は、文の意味を理解するために行われる。具体的には、述語(多くは動詞)と対応する項を検出し、それらを適切な主題役割に分類する。例えば、「メアリーが本をジョンに売った」という文では、動作主は「メアリー」、述語は「売った」、主題(テーマ)は「本」、受け手(受益者)は「ジョン」となる。別の例として、「この本は私のものだ」では「被所有物」および「所有者」といったラベルが必要となり、「本はジョンに売られた」では「主題」と「受益者」といったラベルが必要になる。これらの意味役割は「主語」「目的語」といった統語的機能と似ているものの、文を意味的観点から把握する点で本質的に異なる分類である[1]。
意味役割付与は、1968年、チャールズ・フィルモアによって最初に提案された[2]。この提案をもとに、多数の述語とその意味役割を体系的に記述するFrameNetが作成された。
その後、ダニエル・ギルディアとダニエル・ジュラフスキーによって、FrameNetを基盤とした最初の自動意味役割付与システムが開発された。
また、PropBankコーパスでは、Penn Treebank(ウォール・ストリート・ジャーナルの記事ツリーバンク)に対して人手による意味役割アノテーションが追加された。多くの自動SRLシステムは、このPropBankを学習用データとして利用しており、新しい文に対する意味役割の自動付与に活用されている[3]。