日本キリスト教奉仕団

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日本キリスト教奉仕団(にほんキリストきょうほうしだん)は、東京都新宿区西早稲田に本部を置く日本の社会福祉法人である。正式名称は社会福祉法人日本キリスト教奉仕団キリスト教精神に基づき、障害者福祉、就労支援、生活介護、児童発達支援、相談支援、公益事業などを行っている[1]

前身は、1952年に設立された日本国際基督教奉仕団である。第二次世界大戦後、日本には北米の教会などからララ物資が送られ、その配分には世界教会奉仕団が関わった。日本国際基督教奉仕団は、この救援活動の後を受けて設立され、物資配分だけでなく、身体障害者事業、奨学金、難民救済、移民問題、家畜援助などの社会事業に取り組んだ[2][3]。1958年8月に社会福祉法人「日本キリスト教奉仕団」として設立認可を受け、以後は障害者福祉、とくに障害者の就労と地域生活を支える事業を中心に展開した[2]

前史:ララ救援活動とCWS

日本キリスト教奉仕団の前史は、第二次世界大戦後の日本に対する国際的な救援活動にさかのぼる。戦後の日本では、食料や衣類、医薬品、日用品、学用品などの不足が深刻であり、北米の教会や市民団体などから救援物資が送られた。これらは一般にララ物資と呼ばれた[4]

ララは “Licensed Agencies for Relief in Asia” の略称で、日本語では「アジア救援公認団体」と訳される。CWS Japanの解説によれば、1946年にアメリカ大統領が公認した民間団体であり、戦後の飢餓と貧困のなかにあった日本へ救援物資を送った[5]。CWS日本委員会は1946年に東京に事務所を開設し、1952年までララ物資の配給活動を実施した[6]

日本キリスト教奉仕団の公式資料では、同法人の歩みは1946年のララ物資救援活動に始まると説明されている[7]。また、同法人の広報資料でも、1946年に始まったLARA救援物資の取り扱いを前史として位置づけている[8]

日本国際基督教奉仕団の設立

1952年、ララ物資配給活動の後を受ける形で、日本国際基督教奉仕団が東京都中央区銀座に設立された[2]。CWS Japanは、CWS日本委員会が1952年までララ物資の配給活動を行い、その後「国際キリスト教奉仕団」と名称を変更して1963年まで支援活動を継続したと説明している[6]

日本国際基督教奉仕団は、当初は救援物資の配分を行う団体であったが、活動は物資配分にとどまらなかった。JICA PARTNERの団体情報では、同団体が身体障害者事業、キリスト教学生への奨学金、難民救済、移民問題、家畜援助などに取り組んだとされている[3]。この時期の活動は、戦後救援から社会福祉事業への移行期として位置づけられる。

1957年にはテープライブラリを開始した[2]。これは、視覚障害者などへの情報提供・読書支援に関わる事業であった。

社会福祉法人化と障害者福祉への転換

1958年8月、日本国際基督教奉仕団は社会福祉法人「日本キリスト教奉仕団」として設立認可を受けた[2]。CANPAN掲載の法人資料では、法人許可日は1958年8月21日、設立登記日は同年9月10日とされている[9]

社会福祉法人化後、同法人は障害者福祉に力を注いだ。公式沿革では、東京都杉並区の「アガペ作業所」や神奈川県座間市の「福祉工場自立社」が、先駆的な障害者の就労の場であったと説明されている[2]。CANPAN掲載資料でも、同法人は1958年の社会福祉法人化後、障害者福祉に力を注ぎ、アガペ作業所や福祉工場自立社を立ち上げて、障害者の就労の場を提供したとされる[9]

同資料は、救援活動終了後の日本国際キリスト教奉仕団が、救援・援助から更生へと目的を転換し、日本で福祉が遅れていた障害者福祉に焦点を定めたと説明している[9]。この転換は、戦後の緊急救援活動を、継続的な社会福祉事業へ発展させたものといえる。

アガペ作業所とアガペ授産所

1961年4月、東京都杉並区下高井戸に「アガペ作業所」が開設された[2]。アガペセンターの沿革では、この施設は法の適用を受けない「福祉工場アガペ作業所」と説明されており、1964年まで運営された[10]

1964年6月には、神奈川県座間市小松原に身体障害者入所授産施設「アガペ授産所」が開設された。開設時の定員は30名であり、1966年には入所定員が50名に変更された[10]。1969年には通所部門も設けられ、入所50名、通所7名の体制となった[10]

アガペセンターの広報資料では、1964年6月に身体障害者福祉法に基づく身体障害者授産施設「アガペ授産所」として歩みを始めたと説明されている[11]

福祉工場自立社と東京都板橋福祉工場

1969年4月、神奈川県座間市小松原に「福祉工場自立社」が開設された[2]。アガペセンターの沿革では、同施設は「法に依らない福祉工場」とされ、定員20名で運営された[10]。この点は、障害者の就労の場を制度の整備以前から模索した事例として重要である。

1974年4月には、東京都板橋区高島平の「東京都板橋福祉工場」の受託経営を開始した。定員は50名であった[2]。同年6月には、神奈川県座間市小松原に重度身体障害者授産施設「アガペ第2作業所」が開設された[2]

東京都板橋福祉工場は、2012年4月に日本キリスト教奉仕団へ移譲され、就労継続支援A型・B型の多機能型事業所となった[2]。これにより、同法人の東京方面における就労支援事業は、受託経営から法人運営の事業へと位置づけを変えた。

アジア研修交流と公益事業

1980年6月、日本キリスト教奉仕団は「アガペ交換研修プログラム」を開始した[2]。JICA PARTNERでは、同法人は国際協力実施団体として登録され、活動分野として保健医療、教育、平和構築、社会保障が挙げられている。また、活動国として中国、タイ、インド、韓国が記載されている[3]

国際協力・研修交流事業は、戦後救援活動を出発点とした同法人の国際的性格を、障害者福祉・社会福祉人材交流の形で継続するものといえる。

国立国会図書館複写受託センター

1987年1月、日本キリスト教奉仕団は国立国会図書館の複写受託業務を開始した[2]。この業務は、同法人の公益事業の一つとして位置づけられている。

国立国会図書館の年報では、複写事務が社会福祉法人日本キリスト教奉仕団に委託されており、業務遂行にあたって「国立国会図書館複写受託センター」の名称を使用するとされている[12]。CANPAN掲載の事業報告資料にも、国立国会図書館複写受託センターの運営状況が記載されている[13]

この事業は、障害者福祉施設の運営と並ぶ公益事業として、同法人の特徴的な活動の一つである。

1990年代以降の施設展開

1997年8月、身体障害者通所授産施設が開設され、後にアガペ第1作業所となった[2]。1999年4月には、神奈川県座間市に身体障害者療護施設「アガペ壱番館」が開設され、同時に身体障害者デイサービス事業「アガペサポートセンター」も開設された[2]

2005年4月には、アガペ壱番館南館が増設された。2006年10月には、障害者福祉サービス事業所「アガペ第2作業所」が開設された[2]。2007年4月には、新宿区立新宿福祉作業所の経営を受託し、2008年4月には座間市立もくせい園、2009年4月には座間市サニーキッズの経営を受託した[2]

2010年4月には共同生活介護「ケアホームスマイル」を開設し、2014年8月には共同生活援助「スマイルII」を開設した[2]。2019年4月には、アガペ第1作業所とアガペ第2作業所を統合し、「アガペ作業所」と改称した[2]

目的と理念

日本キリスト教奉仕団は、定款第1条において、キリスト教精神に基づき、人種・国籍・宗教を問わず、多様な福祉サービスを利用者の意向を尊重して総合的に提供し、利用者が個人の尊厳を保持しながら地域社会で自立した生活を営むことができるよう支援することを目的としている[1][9]

同法人は、「キリストの愛(アガペ)の精神」をビジョンとして掲げ、障害の有無にかかわらず「共に生き、共に歩み」、地域共生社会の実現を目指すとしている[1]。また、アジア社会福祉活動への貢献も掲げている[1]

「アガペ」は、同法人の主要施設名にも用いられており、座間市のアガペセンターをはじめ、アガペ作業所、アガペ壱番館、アガペサポートセンターなどの名称に反映されている[2]

主な事業

アガペセンター

アガペセンターは、神奈川県座間市を中心に展開される障害者総合福祉施設群である。施設・事業には、アガペ作業所、アガペ壱番館、アガペサポートセンター、アガペ診療所、座間市立もくせい園、座間市サニーキッズ、共同生活援助事業などが含まれる[14]

アガペセンターでは、就労支援、生活介護、施設入所支援、短期入所、相談支援、児童発達支援、放課後等デイサービス、共同生活援助など、多様な障害福祉サービスが提供されている[14]

アガペ東京センター

アガペ東京センターは、東京都内における事業拠点である。東京都板橋福祉工場、新宿区立新宿福祉作業所、板橋区障がい者就労支援センターなどを通じて、障害者の就労支援や地域生活支援を行っている[15]

CANPAN掲載の団体情報では、同法人は座間市のアガペセンターと、板橋区高島平などのアガペ東京センターを拠点に、複数の障害者支援サービスと公益事業を展開しているとされる[15]

国立国会図書館複写受託センター

国立国会図書館複写受託センターは、日本キリスト教奉仕団が国立国会図書館から受託している複写業務に関わる事業である。1987年に開始され、国立国会図書館年報にも委託先として同法人名が記載されている[2][12]

アジア研修交流事業

同法人は、1980年からアガペ交換研修プログラムを開始した[2]。JICA PARTNERでは、保健医療、教育、平和構築、社会保障などを活動分野とする国際協力実施団体として登録されている[3]

年表

  • 1946年 - CWS日本委員会が東京に事務所を開設し、ララ物資配給活動を開始する[6]
  • 1952年 - 日本国際基督教奉仕団が東京都中央区銀座に設立される[2]
  • 1957年 - テープライブラリを開始する[2]
  • 1958年8月 - 社会福祉法人「日本キリスト教奉仕団」として設立認可を受ける[2]
  • 1961年4月 - 東京都杉並区下高井戸にアガペ作業所を開設する[2]
  • 1964年6月 - 神奈川県座間市小松原に身体障害者入所授産施設「アガペ授産所」を開設する[10]
  • 1969年4月 - 神奈川県座間市小松原に福祉工場自立社を開設する[2]
  • 1974年4月 - 東京都板橋福祉工場の受託経営を開始する[2]
  • 1974年6月 - 重度身体障害者授産施設「アガペ第2作業所」を開設する[2]
  • 1980年6月 - アガペ交換研修プログラムを開始する[2]
  • 1987年1月 - 国立国会図書館複写受託業務を開始する[2]
  • 1997年8月 - 身体障害者通所授産施設を開設する[2]
  • 1999年4月 - 身体障害者療護施設「アガペ壱番館」を開設する[2]
  • 1999年4月 - 身体障害者デイサービス事業「アガペサポートセンター」を開設する[2]
  • 2005年4月 - アガペ壱番館南館を増設する[2]
  • 2006年10月 - 障害福祉サービス事業所「アガペ第2作業所」を開設する[2]
  • 2007年4月 - 新宿区立新宿福祉作業所の経営を受託する[2]
  • 2008年4月 - 座間市立もくせい園の経営を受託する[2]
  • 2009年4月 - 座間市サニーキッズの経営を受託する[2]
  • 2010年4月 - 共同生活介護「ケアホームスマイル」を開設する[2]
  • 2012年4月 - 東京都板橋福祉工場が同法人に移譲され、就労継続支援A型・B型の多機能型事業所となる[2]
  • 2014年8月 - 共同生活援助「スマイルII」を開設する[2]
  • 2019年4月 - アガペ第1作業所とアガペ第2作業所を統合し、「アガペ作業所」と改称する[2]
  • 2023年10月 - 座間市サニーキッズが移転し、座間市立児童発達支援センター「サニーキッズ」として経営受託される[2]

関連項目

脚注

参考文献

外部リンク

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