松葉蘭
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マツバランは本州南部以南の岩の上などに自生する着生植物で、ヒカゲノカズラ植物門マツバラン科に属する。葉はなく(小さな突起状のものはある)、箒のように枝分かれした枝だけからなる。その奇妙な姿から日本では古くから栽培することがよくあった。その中から、枝振りや模様に特徴のあるものを選んで、名をつけて鑑賞することが古くから行われ、現在も伝えられている。このような古典園芸植物として扱われているものを松葉蘭と呼ぶ。読みはそのままである。箒蘭(ほうきらん)、竺蘭(じくらん)などの名も使われた。
歴史
これについてのまとまった文献としては天保7年の「松葉蘭譜」(長生舎主人)があり、120もの品種が挙げられている。このころには他にも松葉蘭に関する専門書が出ている。それらによると、このような栽培はその当時から60-70年遡るとあり、おそらく明和年間より古典園芸植物としての扱いが始まったものと思われる。かなりのブームもあったように語られている。たとえば、天保2年の話として、高級品種を手にいれるのに家と土地とで交換したと言う話が伝わっている。
当時の人気品種の鉢を買い求めて喜んでいた金持ちの家に出入りしていた農民が「それなら家にある」と言うので持って来させると、確かにそれが籠一杯に育っていて、聞くと祖父がどこかから貰ってきたのを庭先に植えていたらこうなったと言う。主人は土地付きの家とそれの交換を申し出、農夫は承諾したと言う。主人はその大株を元に巨万の富を得たとも伝えられている。--『古典園芸植物 種類と作り方』より
明治に入り、世情が落ち着いてくると再び古典園芸熱が高まる。松葉蘭についても明治13年に大阪で「竺蘭見立競」(竺蘭は松葉蘭のこと)が出て、これには69品種が掲載された。明治期には他にもこのような出版物があり、数十種があってそれなりに盛んであったことが知られるが、その後栽培熱はやや下火となり、一部の愛培家の元で保存されるのみであったようである。昭和期になってやや持ち直す。昭和10年代に出版された銘鑑では約60品種が記録される。が、戦争によりいったんこの流れも途絶え、再び注目を受けるようになったのは昭和40年代に入ってからである。その当時で存在した品種は50種ほどである。