核四重極共鳴
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概要
窒素 (14N)、ナトリウム (23Na)、アルミニウム (27Al)、塩素 (35Cl、37Cl)、ヨウ素 (127I) のように核スピン I が1以上の原子核ではその電荷分布が球対称からずれる。この時、原子核は核四重極モーメント Q(核四極子モーメントとも言う)を持つ。NQRではこの電荷分布の球対称からのずれを利用する。I=1/2 の場合には電荷分布は球対称で Q=0 となるのでNQRの測定は不可能となる[2]。
原子核の周囲に(他のイオンなどによる)電荷が配置されると原子核位置には電荷による電場が生じ、電荷が特定の方向に偏在する場合に原子核位置に電場勾配が生じる。この電場勾配の測定においてイオンが自由に動き回る液体や気体では電荷分布が等方的になるために電場勾配が生じないのでNQR測定は不可能となる[2]。
核スピン I=3/2 のとき、原子核周りに電荷が何も無い場合には電場勾配は存在しないので各スピン状態は縮退しているが、原子核周りに2個の正電荷を配置すると縮退が解け、安定な状態と不安定な状態に分裂する。この二つのエネルギー準位差に対応する高周波帯の電磁波を照射すると低エネルギー状態から高エネルギー状態へ遷移する(共鳴)。共鳴しているのは核四重極モーメントなので、この共鳴を「核四重極共鳴」(NQR) という。共鳴スペクトルや緩和時間の測定により、原子核の周囲の電子状態を調べることができる[2]。
入射された電磁波のエネルギーを吸収して高エネルギー状態へ遷移しても状態は不安定なので、電磁波の照射を停止すると、低エネルギー準位の状態に戻る。 その時にエネルギー保存則により、吸収したのと同じエネルギーの電磁波が放出される[3]。一度物質に吸収された電磁波のエネルギーの再放出までにNQRではたいていミリ秒程度の遅延があるので、電磁波の照射の停止後、数ミリ秒間程度(緩和時間)、物質が電磁波放出を継続する。これを検出して物質の識別を行う[3]。原子核エネルギー準位の分裂幅が周辺電場勾配に依存するため物質固有のNQR共鳴周波数が放出され、物質の識別が可能となる[1]。微弱な磁場の検出には誘導コイル、超伝導量子干渉計や光ポンピング磁力計が使用される[4]。