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横断歩道橋

人道橋の一種、車道などを跨ぐ歩行者、自転車専用の橋 From Wikipedia, the free encyclopedia

横断歩道橋(おうだんほどうきょう、英語: pedestrian overpass)は、人道橋の一種で、車道または鉄道を跨ぐように架けられた歩行者・自転車専用の橋である[1]。単に歩道橋とも呼ばれることもある[2]。横断歩道橋と地下横断歩道を合わせて「立体横断施設」と言う[1]。

横断歩道橋(兵庫県佐用町)
交差点を取り囲むように設置されたエレベーター付き横断歩道橋(国道357号稲荷交差点、千葉県千葉市中央区)

概要

車椅子用エレベーターを装備した中国楼閣風の歩道橋(金山嶺橋)

横断歩道橋は、交通量が特に多い道路を跨いで架けられる橋で、車両と歩行者との交通事故防止の観点から必要に応じて設置される交通安全施設である[3]。

交通量が多く幅の広い道路では、平面交差となる横断歩道を設置すればそれだけで交通事故のリスクが高まる。横断歩道橋は、歩行者と車両の動線を分離して安全を図る手段のひとつである。また、駅前に大きな交差点や幹線道路が隣接しており、付近の商業施設などとの間に上層階で連絡通路を設定できる場合、横断歩道橋と連絡通路の機能を兼ね備えたタイプのものが設置される場合もある。

景観との調和が問題となることがある[4]。これまで道路横断橋は画一的で景観的に問題が発生することもあったが、本来、歩道橋は自動車道路橋や鉄道橋に比べて荷重が小さいためデザインなど設計の自由度が高い構造物とされる[5]。

土木構造物の区分

土木構造物としての横断歩道橋は、人道橋の一種である跨道橋に分類される[6]。人道橋は跨道橋、跨線橋、跨河川橋、その他(海上橋、側道橋[注 1]、公園橋など)に分類される[6]。跨道橋はさらに横断歩道橋、自転車等専用橋、ペデストリアンデッキ(歩行者デッキ)などに分類される[6]。

欧米の歩道橋

歴史的な歩行者専用の人道橋としてはパリのセーヌ川に架けられた芸術橋(ポンデザール、Pont des Arts)などがある。

イギリスでは1850年にロンドンに歩道橋が完成した[6]。

しかし、横断歩道橋はヨーロッパでは市街地の街並みに調和しないものと考えられており設置例は多くはない[4][8]。日本が交通渋滞緩和のために参考にしたとされる1960年ローマオリンピックの横断歩道橋もあくまでも五輪期間中の仮設構造物であった[9][要ページ番号]。

日本の歩道橋

歩道橋の設置

日本では安全性の観点から横断歩道橋が多く設置されている。歩行者の利用のみを考慮した階段状の物が主であったが、自転車や小型荷車の通行を考慮してスロープを併設したり、スロープのみの物もある[8]。交通事故が急増し始めた昭和40年代に多数建設され始め、通学児童等の安全確保の為、あるいは交通渋滞の緩和を目的に建設されたが、高さ4mの階段を利用するの負担を通行者に強いるものであることから、バリアフリーの精神、交通弱者優先の精神に反する建造物であるともいえる[8]。このため一部ではエスカレーターやエレベーターの設置も行われている[8]。歩行者に負担を強いるため、道路をそのまま横断してしまう人の数が増えているという事例もある[10]。なお、日本において歩道橋は道路交通法に特段定めのある道路施設ではなく、道路の横断に歩道橋の使用が義務となっているわけではない。また、歩道橋という呼称にもかかわらず、歩行者専用の道路標識(325の4)により交通規制されていない場合は、道路交通法上の歩行者専用道路には該当しない。したがって、自転車等に乗車しての通行も可能である。写真の国道357号稲荷交差点のように各隅にエレベーターを設置し自転車の昇降を可能とし、歩行者のみでなく自転車による車道横断も排除した交差点も多い。

歩道橋は風雨、排気ガス、振動によって劣化が顕著に表れる構造物であり、海浜エリアでは発錆も多くなる。また、周辺環境の変化にも伴い、設置後50年が経過したものは補修も困難なケースがあるため撤去される歩道橋が増加している。 対して新たに設置される歩道橋は大型化する傾向にあり、高齢化に関わるバリアフリー、照明設備、長寿命を目的としたことが背景にある。

その他にも、少子高齢化によって児童の数が減少したり、学校の統廃合で横断歩道橋のある道が通学路から外れるなど、児童の交通量が減少したこと、従来技術的にできなかった信号機による細かな制御が可能となったこと、また景観を損ねることなどから[8]、老朽化を機会に撤去する自治体も増えてきている[10][疑問点]。

昇開式歩道橋(茨城県日立市・水木歩道橋)

茨城県日立市の国道245号にある水木歩道橋・河原子歩道橋は、同市内にある日立製作所で製造された大型の発電機などの輸送の際に障害にならないよう、昇開式可動橋となっている。なお、神奈川県川崎市川崎区の国道132号にある四谷下町歩道橋も同構造だが、既に利用する工場はなく、可動用の設備は撤去されている。

道路法上は、「道路の付属物」として道路の一部という扱いになっており、横断される側の道路の管理者が建設・管理を行う。横断デッキ上に構造物が設置され、周辺施設と一体化している六本木ヒルズ正面の66プラザは例外的な存在である。

地域的に、自動車交通量が多い大都市やその周辺地域に多く設置されていて、都道府県別では東京都、愛知県、神奈川県、埼玉県、大阪府、兵庫県と三大都市圏が設置数の上位を占める[11]。

同様の趣旨で作られたものとして地下横断歩道(地下道)がある。特に日本海側の雪国では路面のすべり防止や吹雪対策のために歩道橋に代えて横断地下道の設置が検討されることがある[12]。実際に、新潟県、富山県、石川県、福井県の4県に設置されている地下横断歩道の合計数は、同県の歩道橋の設置数よりも多く、2.6倍以上にあたる530カ所以上の地下横断歩道が設けられている[11]。

静岡県榛原郡吉田町には、「歩道橋型の津波避難タワー」2基(道路上では全国初のもの)がある。平時は一般的な横断歩道橋として活用される[13]。

歩道橋の構造

横断歩道橋の構造設計にあたり、一般には道路橋示方書・コンクリート標準示方書などを基準に設計する[14]。

荷重

横断歩道橋の設計にあたっては次の通りの荷重を考慮する[14]。

主荷重 死荷重
活荷重
高欄に対する水平力
従荷重 風荷重
温度変化の影響
地震の影響
特殊荷重 雪荷重
支点移動の影響
架設時荷重
衝突荷重
その他

桁下高さ

横断歩道橋を設置する場合はその下の道路の建築限界をおかしてはならない[14]。基本は余裕高を標準で20 cm見込むが、積雪や路面電車の通行など事情がある場合は更に大きな余裕高を見込む必要がある[15]。鉄道の上に桁を設ける場合は鉄道事業者と桁下高さを調整する必要がある[15]。

橋脚

橋脚の位置や構造は、自動車のドライバーが見通しや歩行者の通行に考慮して選定する[15]。考慮の例として、歩車道の境界より50 cm以上歩道側に入れたり、中央分離帯に建てたりすることが考えられる[15]。

自動車が橋脚に衝突する恐れがある場合はコンクリート壁などの衝突に十分耐えられる防護施設を設ける[14]。

床版

床版は漏水のない構造とする[14]。また、コンクリート床版とする場合は鉄筋コンクリート床版で10 cm以上、プレキャスト鉄筋コンクリート床版で8 cm以上の床板厚としなければならない[14]。

路面

横断歩道橋の路面(踊り場・階段・斜路を含む)は舗装し、滞水しないよう排水に留意しなければならない[14]。また、雨天は滑りにくく、高齢者や車いすが移動しやすいように適度にスムーズなものとする[16]。転倒時に怪我しにくいように、路面にクッション性を持たせるのが望ましい[17]。また、広い路面では明度を抑え照り返しによる眩しさを和らげることに加え、動線に沿った明るいパターンを用いて歩行者を誘導する[17]。

舗装厚は一般に2 cm以上とするほか、場所打ちコンクリート床版で一体施工の場合は舗装を省略する代わりに摩耗層を2 cm以上見込む[18]。

排水は縦断勾配によって橋の端部に水を導き、橋脚に沿った排水管で処理するのが望ましい[19]。この時、踊り場に滞水しやすいので注意が必要[19]。また、縦断勾配で排水しがたい場合は横断勾配を2%以上設け、排水桝や排水管で橋の端部に導くのが良い[19]。排水桝にグレーチングを設ける場合は、滑りにくい表面とし、補助杖やヒールが入り込まないように開口部は10 mm以下とする[16]。

多雪地域では必要に応じてロードヒーティングなどを行い、積雪や凍結による障害を排除するのが望ましい[19]。

たわみ

歩道橋の活荷重による主桁の最大たわみは、主桁の支間長の1/600を超えてはならない[14]。この値は、横断歩道橋が一般に道路橋より剛性が低いため、活荷重によるたわみが大きくなり歩行者に不安・不快な思いをさせてしまいかねないためである[20]。これを避けるため、道路橋の基本的な制限である1/400よりも厳しい値としている[21]。ただし、利用者への影響について特に配慮をした場合は、元の支間長の1/400のたわみまで許容するものとしている[14]。

振動

歩行者の歩調は年齢・性別関係なくほぼ2 Hzで、その偏差は極めて小さい[22]。従って、横断歩道橋の固有振動数が2 Hzに近い場合はたわみ振動が大きくなり、歩行者の不快・不安を大きくさせ、構造物に対しても悪影響を及ぼす[22]。

色彩

横断歩道橋の色彩は周囲の環境と調和するように選定する[14]。交差点付近では交通信号機と紛らわしい色彩は避けなければならない[14]。

歩道橋の設備

階段

横断歩道橋の昇降方式は利用者が最も利用しやすい形式を選定する[14]。

歩行者のみを対象とする場合は原則として階段を用いる[14]。階段の勾配は50%を標準とするが、途中で勾配の大きさを変えてはならない[14]。蹴上幅は標準15 cm(やむを得ない場合は18 cm以下)が基準[14]だが、通学路などで児童の利用が多い場合は小さい値を取ることが多い[23]。踏み幅は標準30 cm(やむを得ない場合は20 cm以上)としている[14]。回り階段や螺旋階段では踏み幅が一定ではないため、踏み外しによる転倒や視覚障害者の方向感覚の喪失のおそれがある[24]。

踊り場を設ける場合、踏み幅は直階段で1.2 m以上とし、それ以外の階段では階段の幅員以上を取らなければならない[14]。なお、斜路付階段(後述)で直階段とする場合は踏み幅を1.7 m程度とするのが望ましい[25]。

自転車・乳母車・車椅子などの通行を考慮する場合は斜路を設ける[14]。自転車が多いが地理的制約などで斜路を設けられない場所では斜路付階段を設ける[14]。斜路の勾配はできる限り小さいのが望ましく、車椅子が自力で登れる勾配は8%以下、自転車が楽に走れる勾配は5%以下である[26]。斜路の勾配の上限は12%[14]で、これは車椅子が補助者に押し上げてもらうことで一応登坂できると考えられる許容値である[14]。斜路付勾配の上限は25%である[14]が、これは幼児や高齢者にとっては厳しい値である。[24]。

通路・歩道・階段との接続部には滞留できるスペースを設けることで通行がスムーズになる[24]。また、傾斜部と踊り場はコントラストを持たせた色彩の路面にすることで区別しやすくする[24]。

昇降設備

エスカレーターなどの自動昇降施設は管理面・費用面から必要な場合に設置を検討するべきである[26]。

エスカレーターは一般には健常者向けの昇降装置として考えられているため、障害者の利用は困難な場合が多く、高齢者が使いづらいケースも少なくない[27]。また、車椅子使用者が利用できるエスカレーターは、一般利用者の通行の一時的な停止や管理者による操作が必要となるため、車椅子利用者に対する心理的負担は大きい[27]。ゆえに、他の昇降装置と組み合わせるのが望ましくなる[27]。

エレベーターは誰でも上下移動できるが、誰もが快適に利用できるようにするためにはかごの大きさや操作性、防犯対策などに配慮が必要となる[27]。防犯面ではガラス張りにすることで、かご内外の両方の利用者が確認でき、利用者が安全や安心に利用できるようになる[28]。積雪寒冷地では乗降口前に風除室を設ける[28]。

手摺

階段や踊り場には安全のため必ず手摺を設ける[25]。また、蹴上高15 cmより大きい階段または踏み幅が30 cmより小さい階段で、幅員が3 mを超える場合は中間にも手摺を設ける[25]。レール状の構造物で、高欄や壁面に取り付けたり、単独で路面から立ち上がることもある[29]。

冬期に圧雪・凍結のおそれがある階段では蹴上高・踏み幅によらず幅員が3 m以上ある場合は手摺を設けるのが望ましい[14]。

手摺が2段の場合は高さが上段80 - 85 cm、下段60 - 65 cmの位置に設ける[30]。1段の場合は高さが75 - 80 cmの位置に手摺を設ける[30]。

勾配のある場所では手摺を握って用いるため、円筒形にする[30]。平坦な場所では上から押さえて用いることが多いため、楕円形や長円形などフラットな形でもよい[30]。手摺が握りやすい太さは直径34 - 40 mm程度[30]。手摺のブラケットは、手摺伝いに移動できるよう下から支える形状とし、壁面から5 cm以上離す[30]。なお、端部は衣服などが引っかかりにくいようにする[31]。

手摺は利用者が直接握るため、木材のように熱伝導率が低い材料が望ましいが、耐久性との兼ね合いも考慮する必要がある[31]。暗色の塗装は熱を吸収しやすいため避ける[31]。勾配部では手が滑りにくいような表面とする[31]。経年でも汚れにくい材料にしなければならない[31]。

高欄

通路や階段の両側を面的に囲い込む工作物である[29]。高欄は笠木(トップレール)・縦桟(バラスター)・支柱により構成される[29]。合わせガラスやステンレスワイヤーなど、見通しの利きやすい材料を用いることで、視線の低い歩行者(子供や車椅子利用者など)が視界や眺望を確保しやすくするが、足元に不安を感じさせないため低い位置は半透明や不透明の材料を用いる[32]。

高欄は路面から1 m以上の高さにしなければならない[19]。自転車の利用がある場合は自転車利用者の転落を防ぐため1.1 - 1.2 m程度の高さにするのが望ましい[33]。足がかり部からの高さは90 cm以上にすると安全性が高い[34]。線路や自動車専用道路などに架かる横断歩道橋は、投物防止を兼ねる場合は2.0 m以上とすることで安心感を高める[34]。

笠木の幅は10 cm以上とするとよい[14]。また、笠木は利用者の手が触れやすく、寄りかかることも多い特性から、手触りが良く外気の熱さや冷たさを和らげる材料を用いるべきである[32]。

横断歩道橋の高欄はよじ登りを防止しなければならず、一般には縦柵型や壁型が用いられるが、安全性の工夫次第では横桟型も選択肢にのぼる[34]。横桟型の場合は内側に傾ければよじ登りにくい[34]。また、子供がすり抜けないように、子供の頭部寸法から柵の間隔は12 - 13 cm以下とする[34]。利用者の身体が衝突しても怪我しにくい形状、あるいは引っかかりにくい形状にすることも必要である[34]。そのためにはビスなどの金具に注意する[34]。

地覆

橋面や階段などの路面から物品・雨水・泥土が落下するのを防ぐのに地覆を設ける[19]。原則として地覆の高さは10 cm以上とする[14]。鋼板などで代用することもでき、道路橋のように幅を必要とすることはない[14]。なお、中路橋や充腹高欄などのように物品の落下に対して安全であるものであっても排水や構造物の保護のため高さ5 cm以上の地覆を設ける[19]。高欄を取り付ける土台とすることも一般的である[29]。

照明

1979年(昭和54年)時点では歩道橋に使用される照明は蛍光ランプや蛍光水銀ランプを用いることとされていた[14]。

照度は20ルクス以上[14]。横断歩道橋の下を通行する自動車の運転者がまぶしく思わないように灯具の構造に注意しなければならない[20]。

歩道橋の歴史

日本では昭和30年代の高度経済成長期においてモータリゼーションが進展し、自動車の保有台数が急増した。これに伴い交通事故による死者数が1万人を超え、「交通戦争」と呼ばれる状況に陥り、なおも死者数は増加する傾向にあった[35]。交通弱者である歩行者を事故から守るために、歩行者と自動車の各々の交通を分離(歩車分離)出来る歩道橋が設置されるようになった。

日本初の歩道橋(愛知県。西枇杷島町横断歩道橋)

1959年(昭和34年)6月27日、愛知県西春日井郡西枇杷島町(現:清須市)に日本で初めての歩道橋「学童専用陸橋」(西枇杷島町横断歩道橋)が設置された[6][36][37][38]。名古屋市に隣接する西枇杷島町は、当時全国有数の交通量があった国道22号(現:県道名古屋祖父江線)が町の中心を貫いており、交通事故が毎日のように発生し、近隣の小学校と中学校への通学児童・生徒も自動車にはねられる事故に遭うことが少なくなかった[39]。その対策として考案された、全国初の横断歩道橋が総工費320万円をかけて建設される運びとなった[39]。当時は歩道橋という用語はなく「学童専用陸橋」と名付けられ、鉄筋コンクリート製の横断歩道橋が完成した時には町長をはじめ、全町民をあげて渡り初め式(学童専用陸橋竣功式)も執り行われた[39]。この西枇杷島町横断歩道橋は、竣工から50年が経過した2010年(平成22年)4月10日に、道路拡張と老朽化のため、市民ら1000人以上が参加して渡り納め式が催されたのちに取り壊された[39][40][41]。

ただし、大和ハウス工業が建設して大阪市に寄贈した大阪駅前の歩道橋が日本初と見なされた[42]ことから、同歩道橋が完成した1963年(昭和38年)4月25日に因んで4月25日が「歩道橋の日」とされている[43]。

日本に横断歩道橋が登場した当時、自動車を優先した人間軽視の施設だとして苦情も続出したと言われる[38]。日本初の横断歩道橋・西枇杷島町横断歩道橋は、「交通戦争」と呼ばれた時代の中で、交通安全施設としての絶大な効果が評価されて、1962年(昭和37年)頃から隣接する岐阜県の岐阜市や、そのほかの各大都市でも歩道橋の建設が始まるに至った[35]。

東京都では、東京オリンピックを1964年(昭和39年)に開催することが決まった1959年(昭和34年)、学童擁護員(緑のおばさん)を導入して子供たちの交通事故を防ごうとした[36]。しかし、より安全な歩道橋を導入することになり、東京オリンピックの約1年前にあたる1963年(昭和38年)9月10日、五反田駅前に都内初の歩道橋が設置された[36]。また、西枇杷島町横断歩道橋が出現する3年前の1956年(昭和31年)に、渋谷駅前に全長95 m、幅8 mの道路上をまたぐ歩廊が完成しているが、駅舎から商業ビルとその近くの道までを連絡することを目的として民間企業が建設したものであることから、日本の横断歩道橋第1号とは見なされていない[35]。

1960年代半ばから1970年代にかけての「大量架橋時代」には、自動車を優先する思想への批判や、日照権侵害などを理由とする反対運動、住民訴訟もあった。このため上部中央に広場やベンチを設けた蓮根歩道橋(東京都板橋区)のように、通行者の利便性や景観に配慮した歩道橋も一部に造られた。

横断歩道橋は交通事故防止のために大きく貢献してきたが、身体障害者や高齢者に対して不自由なものであったことからバリアフリー化が叫ばれるようになった。1993年(平成5年)、日本で最初のエレベータ付き横断歩道橋が神奈川県川崎市の国道15号(第一京浜)と市役所通りの交差点で誕生した[44]。58 mと55 mの2本の歩道が中央で交差するスクランブル方式でエレベータを4基備えた横断歩道橋は「ハローブリッジ」と名付けられ、幅員7 mとゆとりあるものである[44]。エレベータ付き歩道橋は大都市を中心に普及していった[44]。

横断歩道橋の総数は、国と地方自治体の設置分を合わせると2012年時点で1万1699橋だが、エスカレーターやエレベーターがない歩道橋は横断歩道に比べて昇り降りの負担が大きい。21世紀日本は高齢化社会に至ったこともあり、老朽化した歩道橋を撤去して更新しない大量撤去時代に移っている。東京都だけで2018年までの20年間で100橋を撤去した[45]。

脚注

参考文献

関連項目

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