正則領域
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数学の多変数複素函数の理論において、正則領域(せいそくりょういき、英: domain of holomorphy)とは、その集合よりも大きい集合に拡張出来ないような正則函数がその集合上に存在するという意味において「極大」であるような集合である。
正式に言うと、n 次元複素空間 内のある開集合 が正則領域であるとは、 上のすべての正則函数 に対して を 上で満たす 上の正則函数 が存在するような、空でない開集合 および空でない連結開集合 で および を満たすものが存在しないことを言う。
の場合、すべての開集合は正則領域である。すなわち、その領域の境界上の至る所で集積する零点を持つような正則函数を定義することが出来る。そのような境界はしたがって、逆函数の定義域に対する自然境界でなければならない[要出典]。 に対しては、ハルトークスの補題によって、上述の主張は真にはならない。
領域 に対して、以下の条件は同値である:
- は正則領域
- は正則凸
- は擬凸
- はレヴィ凸。すなわち、ある集合 に対して を満たすような解析的コンパクト曲面のすべての列 に対し、 が成立する( は解析的曲面の列によって「内側から触れられる」ことはない)
- は局所レヴィ性を持つ。すなわち、すべての点 に対して、 の近傍 に対し、 上の正則函数 で のどのような近傍にも拡張できないものが存在する。
関係 は標準的な結果である。 については岡の補題を参照されたい。 の証明、すなわち局所的にのみ定義される拡張不可能な函数から、拡張を許さないような大域的正則函数を構成するという作業は、他のものと比べて困難である。この問題は、(エフジェニオ・エリア・レヴィ(Eugenio Elia Levi)に因み)レヴィの問題と呼ばれ、岡潔によって初めて解かれた。その後、ラース・ヘルマンダーは函数解析と偏微分方程式の手法を使ってその問題を解いた(-問題の帰結である)。