水浴の女たち (フラゴナール)
From Wikipedia, the free encyclopedia
作品

19世紀にロココ絵画を再評価した文学者ゴンクール兄弟は、「悦楽 (プレジール) という言葉は18世紀のための言葉である。この世紀の秘密とその魂はこの言葉に尽きる。18世紀は悦楽によって呼吸し、養われ、生命を与えられた」と述べている[3]。
フラゴナールは、師のフランソワ・ブーシェが展開した華麗なロココ絵画の精神を受け継ぎながら、18世紀の後半にもっと自由で、のびやかな絵画の世界を切り開いた画家である[4]。神話の女神やニンフたちの姿を借りて森の中で水浴を楽しむ裸婦を描くことは、ブーシェを初めロココの画家たちが好んだ画題であった。しかし、本作ほど豊麗な自然と一体になった裸体の女性たちを描いた例は、ほかにない[2]。
フラゴナールは、緑地に囲まれた水辺で気ままに水浴をする一群の少女たちを描いている。手前の岸辺の葦や奥の森の濃密な草むらに加え、空の雲にいたるまで画面いっぱいに自然の豊かな生命力が溢れている。女性たちの姿も同様に艶やかで動きの多い筆致で描かれ、周囲の自然と一つに溶け合っている。彼女たちの豊満な肉体は少しも重みを感じさせず、軽やかに空中に飛翔している[2]。フラゴナールは、生命の喜びを溢れんばかりに画面に躍動させた画家であった[3]。
なお、この絵画には、17世紀フランドル・バロック期の巨匠ピーテル・パウル・ルーベンスの影響が見られ、それは色彩の選択や女性の身体像に明らかである[5]。