水葬物語
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23歳で夭折した歌友・杉原一司に献じて刊行された歌集である。歌集名「水葬物語」は、歌集中の章題「水葬物語」から採られている。特徴的な表現技法は、句割れと句またがり、隠喩、多彩なイメージの駆使などである[1]。三十一音の定型を守りながらの句割れ、句またがりは、新しい韻律と短歌という枠組の両立を意図したものといえる。内容の特徴としては、生身の「私」の現象や詠嘆を直接的に表さないこと、死が多く題材になっていること、戦争という原体験が背景に感じられること、キリスト教の世界のイメージが垣間見えることなどが挙げられる[2]。しばしば引用される歌に次のようなものがある。
- 革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ
- 湖の夜明け、ピアノに水死者のゆびほぐれおちならすレクイエム
- 炎天の河口にながれくるものを待つ晴朗な偽ハムレツト
- しかもなほ雨、ひとらみな十字架をうつしづかなる釘音きけり
発行
単行本は和装の初出本のほか、ガリ版による複製本、箱入り著者による解説(水府結晶)入りの新装再刊本、初出本の完全再現本、計4種がある。全て部数限定。
- 歌集「水葬物語」(1951年8月7日発行/116頁/メトード社)全120部
- 歌集「水葬物語」(1956年1月18日発行)全30部
- 歌集「水葬物語」(1975年2月20日発行/127頁/書肆季節社)全120部※プラス著者刊者用の26部(記番A-Z)あり
- 歌集「水葬物語」(2009年1月23日発行/116頁/書肆稲妻屋)全505部