氷スラリー

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顕微鏡で見た、結晶成長抑制剤としてプロピレングリコールを加えた氷スラリー

氷スラリー(こおりスラリー)とは、中に数百万個のの「微結晶」(通常、直径0.1~1mm)が懸濁された液体である。

氷の粒子が小さいため、同じ重量であれば他の種類の氷よりも伝熱面積が大きくなる。コンテナ内に最大700kg/m3の密度で充填することができ、これは工業用氷の中で最も高い氷充填率である。

球状結晶は流動性が優れているため、従来のポンプや配管を通して簡単に供給できる。

対象物の隙間に流れ込み、従来の氷の形状(フレーク、ブロック、シェルなど)よりもより速く冷却できる。

氷スラリーは、その流動特性、高い冷却能力、および適用の柔軟性により、従来の製氷機や冷凍システムの代替となり、エネルギー効率が標準システムの約45%に対して70%向上し、運用コストも削減される。

結晶成長抑制剤

氷が巨大な粒子に成長してしまうのをふせぐため、しばしば結晶成長抑制剤が使われる。使用される化合物には、エチレングリコールプロピレングリコールイソブチルエタノールなどのアルコールスクロースグルコースなどのなどがある。氷スラリーは、氷の融解熱(潜熱)のおかげで水に比べて吸熱量が大きい。

不凍タンパク質は天然の結晶成長抑制剤である。不凍タンパク質の研究は生態模倣による人工的な結晶成長抑制剤の探索、開発にも応用できる。ポリビニルアルコールによって100ppmの低濃度で氷粒子の粗大化を著しく抑制できることがわかっている[1][2]。塩水和物の凍結抑制にも役立つ[3]

貯蔵

氷スラリーを静置すると氷の間の水が凍結して流動性が失われてしまう。防止のため撹拌が必要である[4]

流動性

氷スラリーは溶質濃度によって流動性が異なることが経験的に知られている。これは、氷粒子同士に働く凝集力の影響だと考えられている[5]

IPF(氷濃度)が 31%以上になると流動性がなくなってくるため移送性が悪くなり、また漁獲物を投入しても沈みにくくなるため、通常は30%以下で使用する[6]

製造法

リキッドアイス方式

12%エチレングリコール溶液を冷却すると、濃度の高いエチレングリコールが微小氷粒子を包み込んでチューブに固着すること無く流動する[7]

このように流動性の高いスラリーを利用する蓄熱方式をリキッドアイス方式と呼び、冷凍成績係数が高く、かつダイナミックな蓄冷システムが可能となる[8]

削り取り

スラリーアイス生成器に関する世界初の特許は、1976年にカナダのサンウェル テクノロジーズ社によって出願された。サンウェル テクノロジーズ社は、1970年代後半にディープチル アイスという商標で氷スラリーを発表した。

氷スラリーは、液体内で球状の氷結晶を形成するプロセスによって生成される。氷スラリー生成器は、表面を削り取る垂直シェルアンド チューブ熱交換器でなる。同心円状のチューブで構成され、チューブの間を冷媒が流れ、内側のチューブには水と凝固点降下剤の溶液が入っている。内側のチューブの内面は、サンウェルのオリジナルの設計では中央のシャフト、バネ仕掛けのプラスチックブレード、ベアリング、シールからなる。チューブ表面近くの溶液中に形成された小さな氷結晶は表面から削り取られ、凍結していない水と混ざってスラリーを形成する。他の氷スラリー生成器も、もともとフレーク アイスを作るために設計されたオーガーを使用して表面を削り取るという最初のアイデアを採用した。ワイパーは、氷結晶化用のブラシや流動層熱交換器としても使用できる。これらの熱交換器では、鋼鉄粒子が流体とともに循環し、表面から結晶を機械的に除去する。出口では、鋼鉄粒子とスラリー氷が分離される。

冷媒直接接触

混和しない一次冷媒と水を直接接触させる。直接接触のため熱伝達率が高い。

しかし、少数の冷媒が氷結晶に閉じ込められ、スラリーに混じってしまう欠点がある。

過冷却

純水はチラーで-2℃まで過冷却し、ノズルから貯留タンクに放出する。放出時に相転移を起こし、氷分率2.5%の小さな氷粒子が形成される。超音波で過冷却を解除することも出来る[9]。貯留タンク内では、氷と水の密度差によって分離する。冷水は冷却に回され、貯留タンク内の氷分率が増加していく。しかし、過冷却水中の小さな結晶や生成核は、氷結晶の種となり、生成を阻害する。

関連項目

参考文献

脚注

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