沖永良部島方言
鹿児島県沖永良部島で話される方言
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分類的位置
音韻・音声
音韻体系
沖永良部島方言の短母音音素は/a, i, u/の3つ、長母音音素は/aː, iː, uː, eː, oː/の5つが認められる[10]。短母音のe, oの例は少数である[10]。和泊町北端の国頭地区では、このほかに/ɪ/もある[11]。
子音音素には/ʔ, h, k, g, c, j, t, d, n, s, z, r, p, b, m, w/があり、特殊音素に/N/(ン), /Q/(ッ)がある[10]。声門破裂音ʔは、ʔinuː(犬)のように母音の前に現れるほか、jと結びついたʔjは、ʔのないjと区別される[10]。例えばjuː(湯)とʔjuː(魚)はʔの有無により区別される[10]。waːbi(上)とʔwaː(豚)のようにwとʔwの区別もみられる[10]。喉頭化子音[kʔ]、[mʔ]、[tʔ]が現われることがあるが、喉頭化はかなり弱まっており、喉頭化しないk, m, tとの対立はない[10][11]。
日本語との対応
日本語のe, oは沖永良部島方言でそれぞれi, uに合流している。ただし国頭地区では日本語のeにɪが対応しており、iとの音韻的対立がある[11]。沖永良部島方言のeːは日本語のai, aeに、oːは日本語のaw, au, aoに対応する[10]。例えばheː(灰)、ʔoː(粟)など[12]。
日本語のキ、ギは、和泊町では口蓋化が起きたチ、ジの現れる例がある[10][11]。例えば「肝」は和泊町でチムー[tɕimuː]である[13]。一方、知名町では口蓋化が起こらず「肝」は[kimuː]である[11][13]。
日本語のカ、ケ、コの子音には/h/が対応する例がある[11][10]。日本語のハ行に対応する沖永良部島の/h/には、/a/の前で[h]ないし[ɸ]、/i/の前で[ç]ないし[ɸ]、/u/の前で[ɸ]が現われるというように、音声的には揺れがある[10]。例えば和泊町国頭地区で「花」はハナー[hanaː]またはファナー[ɸanaː]、「大蒜」はヒル[çiɾu]またはフィル[ɸiɾu]、「風」はハジ[hadʑi]、「声」はフイ[ɸui][14]。
また、語中のカ行子音には脱落が起こる[11]。例えば[naː](中)、[deː](竹)、[toː](蛸)など[15]。
日本語のツは、沖永良部島方言でチ/ci/[tɕi]に合流している[10]。例えば「爪」をチミ(知名町瀬利覚)など[10]。スもシ/si/[ɕi]に合流している[16]。
アクセント(音調)
アクセント(音調)は島内でも地区により異なるが、代表して知名町知名地区方言のアクセントを表に示す[17]。ピッチの高い部分を上線で、上昇位置を[で、下降位置を]で示す。沖永良部島方言では琉球祖語にあったとされる、A、B、Cの3系列(類)のアクセント型の区別が保存されており、それぞれ表のa、b、c各型が対応する[18][17]。
| 1音節名詞 | 2音節名詞 | 3音節名詞 | |
|---|---|---|---|
| a型 | ɸuː(帆) ɸuːnu(帆が) | ha[di(ː)(風) ha[dinu(風が) | çi[buʃi(煙) çi[buʃinu(煙が) |
| b型 | çi[ː(木) çiː[nu(木が) | jama[ː / ja]ma[ː(山) jama[nu / ja]ma[nu(山が) | hagani[ː / ha]gani[ː(鏡) hagani[nu / ha]gani[nu(鏡が) |
| c型 | なし | ha[ma(浜) ha[ma]nu / ha[manu(浜が) | ha]ta[na(刀) ha]ta[nanu(刀が) |