津守眞
日本の保育学者
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略歴
- 1926年 東京生まれ
- 1948年 東京大学文学部心理学科卒業、恩賜財団母子愛育会の愛育研究所研究員となる。
- 1951~1953年 米国ミネソタ大学児童研究所に留学
- 1951~1983年 お茶の水女子大学教授
- 1983~1995年 愛育養護学校校長
- 1988~1998年 社会福祉法人野菊寮理事長
- 1995年 OMEP(世界幼児教育・保育機構)日本大会会長
- 1999~2006年 学校法人愛育学園理事長
- 2000~2003年 日本保育学会第5代会長
戦後のお茶の水女子大学附属幼稚園では、幼児の実際の生活や遊びを観察し、そこから子どもを理解し、教育計画につなげていく研究が行われていた。2021年の研究論文では、1950年代のお茶の水女子大学附属幼稚園における教育計画研究について、津守眞と同附属幼稚園の教師との共同研究として『幼児の教育内容とその指導』(1955年)および『改訂 幼児の教育内容とその指導―教育計画の実践―』(1957年)が取り上げられており、幼児の遊びをよく観察し、子どもを理解することに注力した教育計画研究であったとされている[4]。
2005年の論文『乳幼児期の発達課題と保育』では、1961年に刊行した発達診断の研究を振り返り、子どもの発達を見る際、「歩ける」「走れる」などの能力を細かく並べるだけではなく、子どもの内的な意図を見ることが発達課題を捉えるうえで重要であるとした。例えば、歩行の発達を細かく列挙するよりも、子どもが立ち上がろうとする努力に着目することが、その発達課題をより適切に示すと述べている[5]。
その後、津守は大学を退き、養護学校(障碍を持つ子どもたちの学校)に身を置くことで教育実践に深く関わるようになった。この実践が津守の保育思想を形成する重要な契機になったとされる[6]。津守自身も、大学をやめて養護学校に身を置いたことで「自分の言葉で語ることが出来るようになった」と後に振り返っている。その後の著作・論文では、子どもとの出会いを通した保育における「実践の知」「表現と理解」「省察」などについて論じている[7]。(これはルネ・デカルトの省察とは異なる。)
津守の保育思想においては、特に「省察」が中心的な概念の一つとされている[8]。そこでは「実践記録を積む」「一人一人の興味・要求・発達状況を理解」「教育計画・実践へ」という循環を研究の特徴として明示している。一般的な保育における「省察」は、反省・記録・話し合いといった外的・形式的な側面に偏りがちなのに対し、津守の省察には、そうした形式を超えた「内的過程」が含まれる。具体的には、子どもの行動について「初見の印象」「時間経過後の印象」について「行動の意味」を考察し、子どもとの出会いをもう一度捉え直す。そして、その過程で子どもだけでなく、自分自身の見方や関わり方を問い直す、という点にある。 なお、2026年の文部科学省の幼児教育作業部会資料でも、津守(1980)を引用し「子ども理解に欠かせない省察」という形で紹介されている[9]。
受賞歴
2006年ペスタロッチー教育賞受賞。
著書
- 『子ども学のはじまり』フレーベル館 1979
- 『保育の体験と思索 子どもの世界の探究』大日本図書 1980
- 『子どもと教育を考える 15 自我のめばえ 2~3歳児を育てる』岩波書店 1984
- 『子どもの世界をどうみるか 行為とその意味』 (NHKブックス) 日本放送出版協会 1987
- 『保育の一日とその周辺』フレーベル館 1989
- 『保育者の地平 私的体験から普遍に向けて』ミネルヴァ書房 1997
- 『私が保育学を志した頃』ななみ書房 2012
- 『保育の現在 学びの友と語る 津守眞講演集』入江礼子,友定啓子編 萌文書林 2013
共著編
- 『幼稚園の歴史』久保いと,本田和子共著 恒星社厚生閣 1959
- 『乳幼児精神発達診断法』稲毛教子共著 大日本図書 1961
- 『日本人の価値観 キリスト教教育の立場より』小林公一共著 日本基督教団出版部 1963
- 『乳幼児精神発達診断法 3才~7才まで』磯部景子共著 大日本図書 1965
- 『知恵遅れの幼児の教育』 (精神薄弱児の治療教育シリーズ)編. 慶応通信 1974
- 『私の特殊教育』 (精神薄弱児の治療教育シリーズ)編. 慶応通信 1974
- 『人間現象としての保育研究』本田和子, 松井とし共著 光生館 1974
- 『幼稚園における子どもと保育者のイメージ』 (人間現象としての保育研究)光木美子, 秋間直美, 小野英子共著 津守編 光生館 1975
- 『保育現象の文化論的展開』 (人間現象としての保育研究)本田和子共編, 入江礼子, 友定啓子, 角能清美共著 光生館 1977
- 『学びとケアで育つ 愛育養護学校の子ども・教師・親』佐藤学監修, 岩崎禎子共著者代表 小学館 2005
- 『出会いの保育学 この子と出会ったときから』津守房江共著 ななみ書房 2008
- 『新しく生きる 津守真と保育を語る』浜口順子共編著 フレーベル館 2009
翻訳
- マーガレット・A.リッブル『乳児の精神衛生』野田雅子共訳. 法政大学出版局 1958
- デール B.ハリス『児童発達教育学』お茶の水女子大学家政学講座 光生館 1971