信託受益権が債権か物権かの議論に関しては、強いて大陸法的な表現を用いると、受益権は物権的な性質を有する場合もあれば、全くの債権に該当する場合もあって、何を対象として信託が設定されたのかという信託目的および信託財産の種類に応じて受益権の内容が決定される場合が多く、その性質も絶えず変動して必ずしも一定しないとする[4]。
イギリスの秘密信託に関して、本質的には遺言者の生存中に意図した受託者に伝えられる衡平法上の義務であることから、衡平法が直接的には、1837年の遺言法9条の規定に矛盾すると考えがちであるが、秘密信託の原理の論拠は、その信託が遺言の外で作用するもので、遺言法と矛盾しないとする[5]。
イギリスのナショナル・トラスに関して、信託かあるいは信託性あるものかの意見があるが、純粋な信託ではなく、実体は法人であるとする[6]。また、委託者という語句は用いられず、ナショナル・トラストなる名称の法人自体を委託者の地位として想定し、受託者は、特別法上の特殊法人たるナショナル・トラストそのものであるという意見もあるが定かではく、受益者は、国民一般ともいえるかもしれないが、会員は国民の一部に属したとしても、とくに利益の分配にあずかるものでもなく、公益信託としての特質を考察していくとしても疑問が多いとする[7]。