炎のアンダルシア
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時は12世紀。カリフ統治時代のスペイン、アンダルシア地方を舞台に繰り広げられる、言論弾圧とこれに対する攻防を描きつつ、現代もなお続くイスラーム社会の、娯楽を禁ずる風潮を痛烈に批判した社会派映画作品である。その一方で全編を通して冒険活劇とミュージカルの要素を取り入れたエンターテイメント作品として高い評価を受けている。
本作の優れている点は、単に反イスラームという概念を描いているのではなく、まず冒頭では当時のキリスト教社会が行う思想の禁止と火刑の場面から幕をあけ、人間の権利というものを大きな視点で構え、映し出しているところにある。また、大規模な特撮シーンこそないものの、馬車による轢き回しの刑の描写を冒頭に持ち出すなど、迫真の場面が展開されてゆく。一方で前述のようなミュージカルシーンが挿入されるなど、社会派作品にありがちな硬い雰囲気を払拭することにも成功している。
原題「المصير(アル・マスィール)」の字義は「運命」。NHK教育テレビの「アラビア語会話」でもこのタイトルで紹介されたが、日本国内では『炎のアンダルシア』の邦題で劇場公開され、DVDが販売されている。これは邦訳される際に、日本ではイスラームを始めとして、本作で描かれる隠喩が「運命」という言葉では結び付きづらいという判断がされ、監督および配給会社等のライセンスのもと、独自のタイトルをもって行う運びとなった。なお、フランス語タイトルの「Le Destin」はカンヌ国際映画祭出展の際に公式に付けられたもの、英語タイトルの「Destiny」は原語のポスターに書かれたものである。
日本語字幕は山崎剛太郎による。アラビア語から直接翻訳されたものではなく、カンヌ国際映画祭出展時に行われたフランス語訳の版をさらに日本語に直しているため、原語とはニュアンスの異なる表現もみられる。