狼陛下の花嫁
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下級役人の娘・夕鈴は、父親の知人から「内容はわからないが割の良い仕事」を紹介され王宮に出向く。ところがその仕事というのは、冷酷非情な人柄故に「狼陛下」と呼ばれる、白陽国(はくようこく)国王陛下・珀黎翔の花嫁を演じることだった…!
登場人物
主要人物
- 汀 夕鈴(てい ゆうりん)
- 声 - 堀江由衣
- 主人公。下級役人の娘。17歳[4]。何も知らされず「割のいい仕事」として国王の臨時(偽装)花嫁として招聘され、一度は逃げようとしたものの、偶然彼の秘密を知ってしまったことから、断れないままその職に就くこととなる。その後王宮の備品を壊してしまい、弁償費用(=借金)の返済をする為にも臨時花嫁を続けている。
- 刺客相手にも物怖じしない活発な面もあるが、根は素直で優しい少女。値切ったり節約するのが当然の日々を送ってきたせいか、花嫁生活においても贅沢になれない。
- 恋愛方面には不慣れで鈍感。「狼」状態の国王に心乱され惹かれながらも、演技と思い込んでいるため自らの気持ちにブレーキをかけている。現在は自分の気持ちを自覚しているものの、隠し通している。本人には「狼陛下」が怖いから挙動不審(逃げたり泣いたり)なのだと思われている。
- ストレス発散と無駄な時間を有効活用する為、変装して後宮の立ち入り禁止区域の清掃もしている。
- 世話好きで面倒見がよく、紅珠から姉のように慕われ、折り合いの悪い方淵と水月の仲を取りもとうとすることが多い。
- 次々に厄介事を持ち込んでくる父には厳しいが、健気な弟にはブラコン気味。幼馴染の几鍔とは犬猿の仲(金貸しを毛嫌いしているから)。
- 珀 黎翔(はく れいしょう)
- 声 - 緑川光
- 白陽国国王。通称「狼陛下」。21歳[5]。即位後、早々に内乱制圧、内政粛清を行い、名実共に中央政治の実権を掌握する。その際の冷酷非情な振る舞いから「狼陛下」と呼ばれ、敵味方双方から恐れられる存在となる。
- 実はオンとオフの差が激しい二面性のある性格の持ち主で、オフの時は優しくおっとりとした人格になる(夕鈴からは「狼陛下」に対して「小犬陛下」、子供時代は「子犬」と呼ばれている)。しかし周囲にナメられないよう、公の場では常に狼陛下として振る舞っている為、オフの面はごく一部の者しか知らない極秘事項となっている。
- 夕鈴を気に入っており、嫌われない為に夕鈴には「狼陛下は演技であり、穏やかな人格が本当の自分」と思い込ませている(実際には上記の通り、二面性があるだけでどちらも本性である)。また夕鈴を守りたい、煩わせたくないとの気持ちから、政治的な話やその他の裏話が彼女の耳に入らないようにしているが、夕鈴自身は偽妃だから線引きされているのだと思っている。
- 剣を扱うときは右手だが、箸や筆などは左手を使う。
- 李 順(り じゅん)
- 声 - 小野大輔
- 国王の側近で夕鈴の上司。24歳[6]。彼の秘密を知る者の一人。神経質な面があり、金に煩く人使いが荒い。メガネをかけている。
- 国王が夕鈴を気に入りすぎていることに不安を抱いているが、背に腹は代えられないと割り切って借金のカタに夕鈴を雇い続けている。
王宮関係者
- 柳 方淵(りゅう ほうえん)
- 声 - 岡本信彦
- 国王の臨時補佐官(後に正式な補佐官)で父親は国の重鎮。19歳[7]。文武両道で仕事面でも有能。狼陛下に心酔している数少ない臣下だが、実直な人柄故に周囲から煙たがられることも多い。夕鈴とは互いに認め合う部分はあるものの、反りが合わず火花を散らしている。
- 張 元(ちょう げん)
- 後宮管理人。年齢不詳[8]。先代国王の時代から仕えていて薬の知識がある。夕鈴が臨時花嫁であることを知っており、国王絡みのことでは夕鈴の相談相手となる。
- 世継ぎを待ち望んでおり、事あるごとに夕鈴に国王をゲットするよう唆している。
- 氾 史晴(はん しせい)
- 白陽国内で一、二を争う名門・氾家の当主で大臣。40歳[9]。物腰は柔らかいが、したたかで腹黒い。娘には極甘。以前、国王に娘との縁談を断られたことがある。夕鈴に刺客を差し向けた疑いが持たれている。
- 氾 紅珠(はん こうじゅ)
- 氾家当主の娘。名門・氾家の令嬢で、兄が三人いる末妹。14歳[10]。
- 白陽国でも一、二を争う名家の出であり、容姿・教養・家柄を兼ね備えた人物として描かれている。
- 切れ者として知られる父・史晴や、優しい三人の兄に囲まれ、物質的にも社会的にも恵まれた環境で育った。
- 一方で、母が望まぬ結婚をしたとされる事情を幼少期に知ったと語られており[11]、結婚や女性の生き方に対して複雑な感情と内省的な思索を抱く一面を持つ。
- 父の勧めにより白陽国国王の珀黎翔の妃・夕鈴と後宮で対面する[12]。当初は黎翔への関心を示す描写もあるが、次第に夕鈴本人に強く惹かれていく。庭園での出来事をきっかけに夕鈴の言葉を深く受け止めた後は、彼女を深く慕い、以降は一貫して夕鈴への敬愛と友情を示す人物として描写される。
- 夕鈴との交流を通じて、紅珠は創作活動に没頭するようになる。夕鈴と黎翔をモデルにした架空の恋愛物語を執筆する姿が描かれ、夕鈴と彼女をメインにした番外編[13]では、二人の出会いを題材にした物語が貴族女性の間でひそかに読まれている様子が描写されている。
- 父からは「夢中になると周囲が見えなくなる」と評されており、創作に没頭するあまり生活リズムを崩す描写や、睡眠不足を繰り返す場面もたびたび見られる。
- 夕鈴が王宮から姿を消した後、兄・水月のもとを訪れた方淵と対面し、夕鈴の行方について感情的に問いかける場面が描かれる。夕鈴の後宮離脱以降、紅珠が巷の噂に心を乱し、精神的に不安定になっていたことが、水月の発言から示唆されている[14]。
- その後、夕鈴が王宮の陰謀に関わる闇商人を追う過程で再会を果たし、紅珠は夕鈴が妃の立場を離れていることを知った上でも、変わらぬ敬意と親愛を向ける姿勢を示す[15]。
- 夕鈴が正式な妃となった第二部では、氾家本邸を訪れた方淵と再び言葉を交わす。紅珠は方淵による夕鈴への辛辣な評価を独自に好意的に解釈し、本人が否定しても聞き入れず、創作の着想を得たとして筆記用具を取りに行こうとする。これに対し、水月は「聞いているようで聞いていない」と評しており、紅珠が興味や創作意欲を刺激されると、周囲の言葉を自分なりに再構成して受け取る性格であることが示されている[16]。
- 上記エピソードの次頁に収録された四コマ漫画[17]では、紅珠の創作活動の変化が示されている。
- 初期には、「リリカルドリーミング☆ラブロマンス」と題された恋愛色の強い作品を執筆していたことが示されているが、その後は運命的な恋愛を描くシリアスな作風へと移行し、さらに近年では激動の時代を生きる一人の女性を描いた叙事的な物語に取り組むようになったことが描写される。
- 紅珠自身も、創作に以前より多くの時間と精神力を要するようになったと語っており、作家としての成長と変化が示唆されている。
- 作品終盤の個別エピソード[11]では、紅珠自身の視点から、氾家での生活、創作への強い執着、そして夕鈴への特別な想いが詳細に描かれる。
- 父が自身を王の妃として後宮に入れようとしていることを理解しつつ、その間は「心が自由」であると語り、創作に没頭する時間を大切にしている様子が描写される。
- 一方で、創作を優先するあまり不摂生を繰り返し、夕鈴や柳方淵から健康面を案じられる場面も描かれている。
- 最終巻特装版付属の特典ドラマCD[18]では、紅珠は直接登場しないものの、兄・水月の口から人物評が語られている。水月は紅珠を「突飛で面白く、考え方が個性的で、空想好きな人物」と評しており、夕鈴も「変わっているがとても良い子」として擁護している。
- また、冗談半分とはいえ、方淵との縁談話が話題に上るなど、氾家の娘として将来的な婚姻の可能性を含めた存在であることが示唆されている。
- これらの描写から、紅珠は作中において、夢と現実の間で揺れ動きつつ、創作活動を通じて変化していく人物として描かれている。
- 氾 水月(はん すいげつ)
- 声 - 内山昂輝
- 氾家当主の長男で紅珠の兄。20歳[19]。穏やかな気質と優れた洞察力を持つマイペースな美青年で、様々な楽器の演奏に長けている。王宮務めの有能な官吏だが、働きたくないと無気力なのと、人一倍狼陛下を怖がっているため出仕拒否している。
- 桃香(とうか)
- 氾家お抱えの暗殺者兼薬師。夕鈴失脚を目論むが失敗、捕まった後に逃亡。逃亡後は氾家に戻って薬師として活動中。
- 浩 大(こう だい)
- 声 - 村瀬歩
- 国王の隠密。小柄で童顔の23歳[20]。酒とお菓子が大好きで、明るく賑やかな気質と冷静な観察眼を持つ。国王とは即位前からの付き合いで、彼にタメ口をきける唯一の人物。互いに「友達」とは思っておらずなる気もないとの事だが、信頼関係は強い。夕鈴の事は「お妃ちゃん」と呼ぶ。
- 柳 義広(りゅう ぎこう)
- 柳家の当主で大臣。50歳[21]。経倬、方淵の父。先々代の王の時代から王宮に仕えてきた行政の中心人物であり、氾家当主とは犬猿の仲。
- 厳格かつ有能な政治家として知られ、国内行政の中枢を担ってきた人物である。王権を支える立場にありながら、王を絶対視せず「王は正されるべき存在でもある」という信念を持ち、必要とあらば諫言も辞さない姿勢を取る。
- 一方で家庭人としては不器用な面があり、長男・経倬を厳格な家督後継者として、次男・方淵を英才教育のもと育てたものの、兄弟の関係性や人格形成は必ずしも思うようにはいかなかったと示唆されている。第7巻の作者コメントでは「困った長男と扱いづらい次男に苦々しい気持ちを抱いている」と表現されている。
- 闇商人・韋良事件においては、長男・経倬が反王権勢力と関係を持っていた責任を自ら引き受け、命をもって償う覚悟を示した。
- この態度は王からも意外なものとして受け取られ、結果的に取引の形で政務に留まり、その後も王政を支え続けている。
- 柳 経倬(りゅう けいたく)
- 柳家当主の長男で方淵の兄。21歳[22]。国王と方淵からは「小物」と言われている。柳家の跡継ぎとして育てられた人物。
- 幼少期から「柳家待望の後継者」として、父・義広からは厳格に、母からは溺愛される形で教育を受けた。その結果、強い自尊心と自己肯定感を持つ一方で、自身の判断や立場を疑わない性格として描かれている。第7巻の作者コメントでは本人が「我が人生に一点の曇りなし」と本気で考えている様子も示されている。
- 国王や妃、弟・方淵に対しても優越意識を示す言動が多く、特に方淵に対しては幼少期から執拗に絡むものの、言い負かされる、あるいは取り合われない関係が続いてきた。行動力や粘り強さはあるものの、その多くは自己中心的な動機に基づいており、政治的判断力や状況把握に欠ける面が目立つ。
- 後に、王弟派と関係を持っていた闇商人・韋良と接点を持っていたことが判明する。この件は王権転覆を企図した計画と関係していたが、事件自体はごく一部の関係者の間で処理され、詳細は公にはされなかった。そのため、作中世界の多くの人々からは、柳家当主・義広と経倬が不和に陥った、あるいは親子関係が悪化したかのように受け取られている。
- 最終的に経倬は地方への転出を命じられ、事実上の左遷処分を受けることとなった。この処遇により、名門柳家の跡継ぎとして王都に留まる立場から外れることとなる。
- 周 康蓮(しゅう こうれん)
- 白陽国宰相。39歳[23]。やせぎすで陰気な感じの男性で、さらに不吉な予言じみた言葉を並べ立てる悪癖があるが、基本的には善良かつ親切な人物で、夕鈴にも好意的(不吉な言葉も先々の苦難を覚悟し立ち向かうための、彼なりの気遣いである模様)。
- 夕鈴が臨時花嫁と知っていた。
- 徐 克右(じょ こくう)
- 白陽国軍人。27歳[24]。動物に絡まれやすいでっかいおにーさん。李 順、浩 大とともに陛下にふりまわされ組。
- 珀 瑠霞(はく るか)
- 国王の父方の叔母。白陽国の嵐姫。年齢不詳の美女で蒼玉国に嫁いでいる。二児の母。
- 人望が厚く、行動力があり、周囲の反対を押し切り好きな人へと嫁いだ。
- 老師(ろうし)
- 声 - 宮崎敦吉
下町関係者
- 汀 岩圭(てい がんけい)
- 夕鈴の父。下級役人で賭け事好きの人生のらりくらり。闘鶏場で手持ちが足りなくなるたび几 鍔の家でお金を借りるらしい。
- 汀 青慎(てい せいしん)
- 夕鈴の弟。13歳[25]。誠実で穏やかな気質の少年。周囲の人々に振り回されることが多いが、そのような中でも冷静に物事を見る目と判断する賢さを持っている。官吏を目指して勉強中。
- 几 鍔(き がく)
- 夕鈴の幼馴染で金貸し業を営む商家の跡取り息子。20歳[26]。右目に眼帯をしており、下町では顔が利く存在。面倒見が良く、彼を慕う子分が多数いる。
- 夕鈴に対しては意地悪ばかり言うので喧嘩が絶えないが、本心ではお人好しの夕鈴のことを心配している。
- おばば様
- 几 家の女主人。几 鍔の祖母。下町では知らぬ者のないとんでもなくおっかないおばあさん。
- 明玉(めいぎょく)
- 夕鈴の友人で下町の飯店で働く娘。
- 李 翔(り しょう)
- 下町での狼陛下の偽名。夕鈴は周囲に仕事上の上司と説明している。