町 (アメリカ合衆国)
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アメリカ合衆国における町、タウン (town) という用語の意味は各州によって様々に異なっている。一部の州では、州が町と呼ぶものが町であるとされている (a town is a town if the state says it is)。それとは別の州、例えばウィスコンシン州では、町は、郡 (county) の下位区分である。また別の州、例えばミシガン州では、「町 (town)」が意味する内容は、正式には何も定義されていない。一般の人々は、この用語を、どんな場所であれ人々が多数集まって住んでいるところを指して使っている。ニューイングランド地方の6州においては、町とは、市 (city) と同様の基礎自治体の一種で、より小規模なもののことである。例えば、ペンシルベニア州では、町を、法人化された基礎自治体の類型のひとつとし、郡区 (township) やボロ (borough)とは区別されるものとした上で、唯一、ブルームズバーグだけが、州法において正式にその地位を得ている[1]。こうした町は、もともと人口の集まる中心部の周囲を意味し、ほとんどの場合はアメリカ合衆国国勢調査局が住宅・人口統計の報告に使用する地理的名称に通じている。基礎自治体はニューヨークやロサンゼルスのような数百万人の住民がいる大規模なものから、数百人が住むミネソタ州ジェンキンスのようなものまで、規模は多様である[2]。また、いくつかの事例においては、町/タウンという表現は、州法で定められた人口の基準を下回っているにもかかわらず法人化された小規模な基礎自治体を指すこともあれば、他方では、相当に大規模なものがそう呼ばれることもある。州によっては、「町」という用語をいっさい使わないところもあるが、別の州では、公式な意味が定められないまま、規模の大小を問わず、また法人化されているか非法人地域かを問わず、人口の集中する場所であれば、非公式にこの用語で言及している。さらに別の州では、「町 (town)」と「市 (city)」を、法的にも置き換え可能な用語として扱っている。政府センサスでは、ニューイングランドの6州、ミネソタ州、ニューヨーク州、ウィスコンシン州で「町」とされている諸地域を、基礎自治体としてではなく、郡区として扱っている[3]。
小さな町(small-town)における生活は、特に、若者たちがそれを拒んで大都会へと離れていく、といった話は、アメリカ文学において大きなテーマでありつづけてきた[4]。
このように、州によって用語法が多様であるため、州別に見た用いられ方については、おもな州について、以下の小節で記述する。
アラバマ州では、「町」と「市」は、人口規模に基づいて、法的に使い分けられる。人口 2,000人以上が市、それ未満が町とされている (Code of Alabama 1975, Section 11-40-6)。行政上の目的から、基礎自治体は、人口規模によって8階層に分けられている。第8等級には、すべての町が含まれており、これに人口 6,000人未満の市が加わる (Code of Alabama 1975, Section 11-40-12)。
アリゾナ州
アリゾナ州 では、「町」と「市」という用語はほとんどの場合、置き換え可能である。アリゾナ州法によれば、ある地域が法人化される際には、人口やその他の制約なしに、町とすることも市とすることもできる(Arizona Revised Statutes, Title 9 を参照)。市には、少しばかり町とは異なる統治機構があり、例えば、市の行政のために地区制度 (district system) を組織するという選択肢があるが、ほとんどの面で、市の権限は、町の権限と同じである。アリゾナ州法は、隣接する町同士の合併や市と町の統合を認めているが、隣接する 2つの市同士の合併については何ら規定していない。
カリフォルニア州
カリフォルニア州では、「町」と「市」を同義語として用いることが法によって定められている (Cal. Govt. Code §§ 34500–34504)[5]。カリフォルニア州には、自治体憲章によるものと、一般法によるものという、2種類の「市」がある。憲章による都市は、市の側が起草し、州に登録した憲章によって成立し、大きな特徴として名称が「シティ・オブ・○○ (City of (Name))」ないし「タウン・オブ・○○ (Town of (Name))」という形で定められている。一方、州法 (Government Code §§ 34500–34504) を適用して成立する一般法基礎自治体である一般法による市 (general law cities) は、憲章による市とは異なり、憲章がない代わりに、州法の統治規則 (the Government Code) の関連規定によって与えられた権限をもとに運営されている。なお、一般法による市であっても、憲章による市のような「シティ/タウン・オブ・○○」といった名称で法人化される場合もある。
一部の市は、呼称の変更をしている。例えば、ロスガトスの市役所前の看板には「シティ・オブ・ロスガトス (City of Los Gatos)」と記されているが、市庁舎が建設された際に正面玄関の上に刻まれた文字は「タウン・オブ・ロスガトス (Town of Los Gatos)」となっている。自治体の境界付近にもいくつもの標識があるが、その一部は「シティ・オブ・ロスガトス」への訪問を歓迎するものであるが、すぐ近くの古い標識は「タウン・オブ・ロスガトス」への訪問を歓迎している。ちなみに、カリフォルニア州では、村 (village) は基礎自治体としては存在していない。代わりに、「町」という言葉は、非法人村 (unincorporated village) とも称される、法人化されていないコミュニティを指すものとして一般的に使用される。さらに、一部には、「町 (town)」を「町区 (township)」の略記として用いる者もいるが、郡区は法人化された基礎自治体ではなく、郡を区分した行政区画である。
ジョージア州
ハワイ州
イリノイ州
イリノイ州では、町 (town) という語は、郡 (county)の下位区分としての郡区 (township)を表すこともあれば[10]、村と同様の基礎自治体を指すこともあり、一般的には、その首長はプレジデント (president)、議会にあたるものは理事会 (trustees) と称され、市長 (mayor) とは呼ばれない[11]。一部の地域では、町は法的には村として、より多くの理事をもつ形で法人化されることもあれば、他方では、市として、各地区から選ばれた市会議員 (aldermen) がいる形で法人化され、本来なら隣接する郡区が担っている責務である出生記録の管理や特定の福利厚生)を引き受ける場合がある。エバンストン、バーウィン、シセロは、そうした町の例である。現行のイリノイ州自治体法 (Illinois Municipal Code) によれば、法人化された町も法人化されていない町も、市ないし村としての法人化を選択できるが、その他の法人化の形態はもはや許可されない[12]。
インディアナ州
ルイジアナ州
メリーランド州
ミシシッピ州
ネバダ州
ネバダ州では、町は統治のひとつの形態とされるが、法人化されているとは見なされない。町は、一般的に、土地利用計画やレクリエーションといった、限定的な範囲内の住民サービスしか扱わず、ほとんどの責務は郡に委ねられている。数多くのコミュニティは、こうした「準法人化 (semi-incorporated)」の地位を、魅力的な選択肢と考えており、州内には法人化された基礎自治体は20の市しかないが、その一方では、ラスベガス・ストリップが位置するパラダイスのように、2000年アメリカ合衆国国勢調査における人口が 186,020人という規模の町もある。また、州内の郡庁所在地の多くも町であり、市ではない。
ニューイングランド

ニューイングランドの6州においては、町が最も重要な小規模の行政区画となっており、多くの場合、郡よりも重要な統治の形態となっている。コネチカット州やロードアイランド州、また、マサチューセッツ州にある14郡のうちの7郡においては、実際、郡はせいぜい、州の行政サービスや商工会議所の領域の境界線という以上の意味をもっておらず、独立した法律上の機能はない。ニューハンプシャー州、メイン州、バーモント州においては、郡は一定の限られた範囲で機能をもっているが、これらニューイングランド北部の諸州における郡は、合衆国の北東部以外の地域におけるほど重要なものではない。6州すべてにおいて、それ以外のほとんどの州において郡が担っているような機能を、町が担っている。ニューイングランドの町が、市との対比でもっている決定的な特徴は、おもにタウンミーティング (town meeting) と、セレクトマンによる理事会 (board of selectmen) によって、町が統治されるというところにあり、市長 (mayor) と市議会 (city council) によって運営される市とは異なっている。例えば、マサチューセッツ州のブルックラインは、相当に都市化されているところであるが、その統治形態ゆえに町である。ニューイングランド南部の3州においては、すべての陸域は町と市に分割されているが、北部3州では一部に小さな非法人地域が残っている。バーモント州やニューハンプシャー州では、そうした非法人地域の人口は実質ゼロであるが、他方、メイン州では、非法人地域が州の面積の半分ほどを占めており、州人口の1%ほどは非法人化地域に居住している。
アメリカ合衆国国勢調査局は、ニューイングランドの町を、統計上は「小規模行政区画 (minor civil divisions)」としているが、ニューイングランドのすべての町は基礎自治体であり、あらゆる法律上、市と変わるところはなく、統治形態が異なっているだけである。国勢調査局は、統計上は国勢調査指定地域 (ensus-designated place) という区分を用いて、町の中で人口が集積する建て込んだ場所を把握しているが、この区画は当の町民たちにとっては法的にも、社会的にも認識されていない。同様に国勢調査局は、ニューイングランドの範囲においては、特別な都市的地域としてニューイングランド市町地域を設定して統計上の区画として用いており、これは合衆国の他の地域における大都市統計地域 (Metropolitan Statistical Areas) に代わるものとされている。
ニュージャージー州
ニュージャージー州の地方行政に関する文脈における「町」は、5類型11形態が設けられている基礎自治体の統治のありかたのひとつである。「町 (town)」は、「町区 (township)」の略記として用いられることもしばしばあるが、両者は同一ではない。1895年町制法 (The Town Act of 1895) は、人口が 5,000人を超える基礎自治体、ないし、地域だけが、請願と住民投票の手続きを経て、町となることが許されるものとしていた。この1895年法の下では、新たに町が法人化される場合には3つ以上の区 (ward) を設けること、区ごとに、任期が1年ずれた2年任期の町議2名を出すこと、さらに全域から選ばれる町議を2年任期で1名出すことが定められていた。しかし、1988年町制法 (The Town Act of 1988) は、それまでの統治の仕組みを完全にひっくり返し、1895年法の下で法人化された町も、1875年以前に、各植民地の立法府が承認した自治体憲章によって法人化されていた町も含め、すべての町に適用されることになった。
1988年法の下では、全域から選ばれる2年任期の町長 (mayor) が町議のひとりとされているが、任期については、請願と住民投票を経て、3年と定めることも認められている。1988年法では、町議会は、4つの区から2名ずつ、任期をずらして交互に選出される8名の町議から構成される。つまり、毎年、各区は町議1名を選挙で選び直すのである。ただし、1988年法以前にこれとは異なる構成をとっていた町は、請願と住民投票を経てこれが変更されない限り、そのままの状態を維持するものとされた。1991年には、町の統治に関する法令に2つの新しい規定が追加された。まず、請願と住民投票の手続きが設けられ、これによって有権者は市長と町議の任期を4年にできるようになった。もうひとつの新しい規定は、区のある町における選挙手続きを定めた。町長は町議会の議長を務め、基礎自治体の首町として行政府を率いる。町長は議会で法案に投票することも、条例に拒否権を行使することもできる。この拒否権は、町議会の 3分の2 の投票によって覆される場合がある。議会は、町の執行責任の全部または一部を、自治体行政官 (municipal administrator) に委任する条例を制定することもできる。ニュージャージー州の基礎自治体のうち、15か所が町の類型をなっており、そのうち9か所は、町の統治形態によって運営されている。
ニューヨーク州
ニューヨーク州の行英区画において、町は、郡の下位区分であり、一定の自治権を有するものであるが、ニューイングランドにおける町に比べれば、機能は限られている。町は、より広域を対象としている郡に比べ、住民に身近なレベルのサービスを担っており、基礎自治体の諸々のサービスのほぼすべてを、小村 (hamlet) と称される非法人化地域のコミュニティや、一部の法人化地域に対しても村 (village) に代わってサービスを提供している。ニューヨーク州では、一つの町の中に、こうした小村や村が数多く含まれている。しかし、法人化されている村の場合、その独立的な性格から、ふたつの町や、2つの郡に帰属していることもあり、例えば、アーモンドがその例に挙げられる。ニューヨーク州の住民は、市の住民であるか、インディアン居留地に居住していなければ、町に住んでおり、さらに町の一部になっている小村なり村に住んでいる場合もあり得ることになる。ニューヨーク市とジェニーバの2市については、郡の境界を跨いで市域が広がっている。ジェニーバの市域のうちセネカ郡の領域とされているのは水域だけであるが、ニューヨーク市の行政区 (borough) は、それぞれが郡とされている。
ノースカロライナ州
オクラホマ州
ペンシルベニア州
サウスカロライナ州
サウスカロライナ州では、基礎自治体が法人化する際に、市として「シティ・オブ・○○ (City of ...)」と名乗るか、町として「タウン・オブ・○○ (Town of ...)」と名乗るかを選択でき、両者の間に法律上の違いはない[18]。すべての基礎自治体は、警察、消防、ゴミ処理、水道、都市計画、リクリエーション施設、街灯など、地元へのサービスを提供している[19]。基礎自治体は、3つある形態のいずれかによって法人化されており、141自治体は市長(首長)・議会制、95自治体は議会単独制 (council)、33自治体は議会・マネージャー制をとっている[20]。
テネシー州
テキサス州
テキサス州では、一部の基礎自治体が、住むのに魅力的な場所であるとして売り出すために、町や村と自称することがあるが、州法の下ではこうした名称には意味はない。法律上は、すべての法人化された場所は市として扱われる。