白佳欽
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現時代が陥ってしまった狂気と、まともでない現実を、アイロニーとファンタジーで表す作家である。作家の初めての小説集である『コオロギが来る』(2005)を通して、独自のユニークな小説手法を見せている。ここに登場する人物のほとんどは苦しい人生を送っている。しかし、作家は、繰り返される困窮と暴力に晒された主人公たちが置かれた状況から逃れられるような状況、あるいは何らかの希望のようなものを提示することなく、凄絶な人生の裏面を赤裸々に表すだけである。
長編小説『ナフタリン』(2012)では、山間に位置した修練院を背景にして起きた様々な事件を、オムニバス形式で織り成した。この作品は、スピーディな展開、単純かつ乾燥した文体でもって、暗いテーマを変化のあるものに形象化した。人生の本質に迫ろうとす彼の意志がよく現れている。