「三千丈」という表現の背景には、作詩上の制約がある。
「白髪三千丈」の平仄について見れば、最初の二字「白髪」が仄仄であり、近体詩の規則によれば、続く二字は平平でなくてはいけない。一方、一〜九までの漢数字及び十・百・千・万・億・兆という位数のうち、平声の字は「三」と「千」のみである(京も平であるが、通常使用される位数ではない)。この結果、句頭に「白髪」を示した時点で、次に続く数字はほぼ選択の余地なく「三千」に定まってしまうことになる。[2]また、句末の一字は、仄でなくてはいけないため、ここに長さを示す字を置くとなると、仄声である「寸」、「尺」、「丈」等から選択するしかない。