夜中、午前2時を過ぎてもなかなか寝付こうとしない娘マキが、執拗に絵本の読み聞かせを母親小夜子にねだるのは「うりこひめとあまのじゃく」。小夜子が娘に、そうやっていつまでも駄々をこねて眠ろうとしないような子を「あまのじゃく」というのだと語るが、それを聞いて柄にもなく怒ってしまった主人公は、幼少の頃に耳にした「人喰いあまのじゃく」を思い出していた。夜が明け、主人公は昨日の自身の言動に言い知れない胸騒ぎを覚えるとともに、「人喰いあまのじゃく」にまつわる伝承を調べる。この民話は地方によって話の展開が異なるということを知り、主人公の記憶にある「人喰いあまのじゃく」もそういったバリエーションの一つだったのだと理解して胸を撫で下ろした。
再び夜がやってきて、娘に読み聞かせを行う母親に付き合う主人公は、絵本に書かれている話と微妙に異なる展開の話を記憶しているのだと話し、娘がせがむに任せ、その記憶「人喰いあまのじゃく」を話す。それに対して妻は、絵本とも主人公の記憶とも微妙に異なる展開の話を記憶していると話し、妻の記憶にある「人喰いあまのじゃく」を話す。そうやって話をしているうち、主人公はどれとも展開の異なる話を思い出し、やがてそれが自身の前世の記憶であったと確信するようになる。主人公はその話の展開を見ていた1羽のカラスだったのだと。
しかし、前世の記憶を思い出していたのは主人公だけではなかった。妻もまた、前世の記憶を思い出していたのだった。そして、それを聞いていた娘にも、前世の記憶が蘇っていた。