童心主義
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童心主義(どうしんしゅぎ)とは、大正から昭和初期にかけて生じた児童文学に関する思潮である。子供の純粋さ・無垢さを「童心」と表現し、創作上の理想とした。
1910年代に子供の個性や自我を尊重する自由教育運動が活発化していく中、子供の存在を中心に置いた童話・童謡の創作運動が興り、その発表の場として『赤い鳥』や『金の船』といった児童雑誌が創刊されていった[1][2]。これらの雑誌を舞台に、鈴木三重吉、小川未明、北原白秋らが作品を発表していき、童心文学・童画の概念が形成されていく[3]。子供を純粋なもの、無垢なものと捉え、それを童心として理想化した創作活動は教育関係者にも影響を与え、子供が無邪気に思うがままに表現することを支持する生活綴方運動・自由画指導にもつながっていく[1]。
一方で、昭和に入るとプロレタリア児童文学に立つ槙本楠郎などから、階級性などの社会構造を無視した子供観、大人の郷愁を基とした理想化された子供観であるとの批判が強まるとともに、日中戦争の戦時体制に入る中で童心主義による創作は低迷していく[1][2]。