素粒子 (小説)
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『素粒子』(そりゅうし、原題:Les Particules élémentaires)は、フランスの作家ミシェル・ウエルベックが1998年に発表した小説。
作者のミシェル・ウエルベックは1990年代から随筆や詩集などを発表し、一部で支持を集めていたが、小説第1作の『闘争領域の拡大』を発表した4年後、そこで提起した問題をさらに掘り下げる形で第2作の『素粒子』を発表した。本作は優生思想・人種差別といったデリケートな話題に激しい語り口で言及していることもあって、激しい賛同と批判の双方を浴び、現在では30カ国語以上に翻訳されている。[1]
本作はフランスの文学賞であるゴンクール賞の候補となったが最終選考で落選し、そのこと自体も大きく話題となった[2](ウェルベックは後の2010年に別の作品でゴンクール賞を受賞している)。
初版では作中に登場するキャンプ場「変革の場」が、そのモデルとなった実在する施設である「可能性のスペース」と実名で表記されていたため、同施設が書籍の回収を求める訴訟を起こす騒動となった。最終的にはウエルベック側が勝訴したものの、2版以降では名称と場所の設定が変更されている。[1][3]
主人公の2人の兄弟は捨て子とされているが、これには作者の自己投影の可能性が指摘されている[4]。
ストーリー
20世紀後半のフランスを舞台として、異父兄弟のブリュノ(兄)とミシェル(弟)の人生がパラレルに描かれる。二人は幼少期は互いのことを知らないまま別々に暮らしていたが、どちらも青春時代に充実した性愛を経験することはなかった。
その後、国語教員となったブリュノは一度は結婚するもののやはり満足のいく愛情を得ることはできないまま逸脱的な性行動を繰り返す。クリスチヤーノという新たなパートナーを得るが、彼女はアクシデントにより両足が麻痺してしまい、車椅子のまま階段から転落して死亡してしまう。一方、分子生物学者になったミシェルは研究に没頭する日々を送る。幼馴染の美少女アナベルと再会して恋仲になるが、結局は子供をつくるというアナベルの夢をかなえる前に彼女は病気になって死んでしまう。2009年、ミシェルは生物学(遺伝子工学)上の重大な研究成果をアカデミーに郵送した直後に消息を絶つ。
ミシェルの革新的な研究成果は学会に認められた。それによって遺伝子情報は随時書き換え可能となって、生殖を伴うことなくクローン技術を用いて生命個体は増殖できるようになった。2029年には人間の手によって人工的に(人間を模した)知的生命が創造され、半世紀ほどたつと彼らが地球上で繁栄するのと引き換えに元々の人類は絶滅寸前となった。最後に、これまでの物語の語り手は(人間ではなく)その新たな知的生命体であったことが明かされる。