細胞記憶
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関連項目
→詳細は「エピジェネティクス」を参照
高等生物では、各器官・組織へと分化した細胞が、それぞれの役割に応じて正常に機能する必要がある。各組織構成の基盤となっている多能性幹細胞ひとつひとつは、自己の遺伝子発現プロファイルの変化を「記憶」しながら、次第にその終末的姿へと分化してゆく。
多細胞生物の各細胞における個々の遺伝子発現パターンの差異は細胞分裂を経ても維持され(細胞記憶)、細胞分裂停止後もその記憶は長期に渡り維持される必要がある。この細胞の「記憶」が何らかの原因で破綻すれば生物体は甚大な障害に直面するので、生物はその進化の過程において、この「記憶」を整理し、維持してゆくためのシステムを獲得したものと考えられている。
ただし、その「記憶」については、従来は「遺伝子発現プロファイル」そのものの研究ばかりが行われてきており、一体どのようなメカニズムで細胞の「記憶」として整理しているのかは、未だ解明されていない。最近になって、細胞が「遺伝子発現プロファイル」の「変化」をどのように「記憶」するのかということを明らかにしようとする研究が始まった(国立遺伝学研究所など[1])。こうした研究者は、細胞の記憶メカニズムを理解し、誤った細胞記憶の修正や操作の方法を確立することで、将来的にはそれを医学・医療に応用することを目標としている。
最近では前述の細胞による記憶のメカニズムを「エピジェネティクス」「エピジェネティクス制御システム」などと総称するようになってきている。