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サヨリ

ダツ目サヨリ科の魚 From Wikipedia, the free encyclopedia

サヨリ(学名:Hyporhamphus sajori)は、ダツ目サヨリ科の魚である。

概要 サヨリ, 保全状況評価 ...
サヨリ
アメリカサヨリ (H. meeki)
サヨリ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: ダツ目 Beloniformes
亜目 : ダツ亜目 Belonoidei
上科 : トビウオ上科 Exocoetoidea
: サヨリ科 Hemiramphidae
: サヨリ属 Hyporhamphus
: サヨリ H. sajori
学名
Hyporhamphus sajori
(Temminck & Schelegel, 1846)
和名
サヨリ[2]
英名
Japanese halfbeak
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形態

近縁種も含め細長い体と長く伸びた下あごが目立つ魚である。

全長は最大40センチメートルほどで、同じダツ目のサンマとよく似た細長い体型をしている。サヨリ科一般の特徴として下顎が長く突き出し、上顎は小さな三角形の弁状にしか過ぎないが、この一見アンバランスな形の口器の適応的意義はよくわかっていない。ただ、同じトビウオ上科のトビウオ類も、稚魚のときに同じような下顎の伸張が起こることが知られている。この下顎の先端は生きているときには赤い。背中は青緑色だが腹側は銀色に輝き、筋肉は半透明である。視力は良好。

腹膜は真っ黒である。これは筋肉が半透明で光を透過しやすい魚によく見られる現象で、恐らく腹腔内に光が透過するのを防ぐ適応とみられる。同様に腹膜が黒いコイ科の淡水魚ハクレンでは、成長に伴って食物が動物プランクトンから植物プランクトンに移行する時期に急速に腹膜が黒変することが知られているが、この移行時期に強い日光を浴びると、消化管に取り込まれた植物プランクトンが光合成を行って酸素の気泡が発生し、消化管が膨れ上がって水面に腹を上にして浮かぶなどの障害が発生することが報告されている。サヨリも後述のように成長に従って海藻も食べるようになるため、あるいは摂食した海藻の光合成を抑制する意味があるのかもしれない。

魚としては珍しく脊椎骨の数に雌雄差が見られ、雄の方が骨が1個程度多いという[3]

生態

海面すれすれを群れをなして泳ぎ、動物プランクトンを捕食したり、浮遊する海藻の断片を摂食する。危険を感じるとよく空中にジャンプする。サヨリ科には淡水域にまで侵入する種が多く知られるが、サヨリは汽水域までは進入するものの純淡水域にまでは進入しない。

4月中旬から8月中旬が産卵期であり、群れで藻場に入り込み、メダカの卵に似た直径2.2ミリメートル程度の大粒の卵を、粘着糸で海藻や海草に絡み付ける。孵化直後の仔魚は全長7ミリメートル程度で、これが2.5センチメートル程度まで成長すると下顎の伸張が始まる。下顎はいったん成魚よりも全長比で長く伸張するが、次第に体の他の部分の成長が著しくなり、全長27センチメートル程度になると、ほぼ成魚と同じプロポーションになる。寿命は2年余りと考えられている。

ウオノエ科甲殻類の寄生を受けることがある[4]

分布

沿岸性で、樺太の西側から台湾にかけての北西太平洋日本海黄海渤海湾の陸地近海に分布する。

分類

亜種は知られていない。

人間との関わり

食用

サヨリの握り寿司

春から秋にかけて漁獲されるが、は3月から5月にかけてとされる。刺身寿司だね椀だね天ぷら塩焼き干物などに料理され、白身の高級魚として扱われる。さっぱりとした白身でなかなか美味。刺身など非加熱で調理するときは、たて塩にすると持ち味の甘みが引き立つとされる。

瀬戸内海沿岸では好まれていたようで、なかでも江戸時代以降の岡山県周辺ではマダイ、スズキと並ぶ高級魚として扱われていた。サワラの代用としてサヨリを使ったようである[5]

遊漁

釣りの対象魚としても好まれ、関東では一般的なウキ釣りやフカセ釣り、関西ではシモリや連タマと呼ばれるウキが3 - 10個連なった仕掛けがよく用いられる。海から川へ溯ることもあり竹竿に釣り糸を張って弓状にして糸を川に沈め水面を溯上するサヨリを引っ掛けて釣ることもある。餌はアミエビ、ゴカイ、はんぺん等。

中国でも、山東省で「針涼魚(簡体字 针凉鱼) チェンリアンユー」、「馬歩魚(马步鱼) マーブーユー」と称して、渤海湾や黄海で漁獲され、流通している。中国語の標準名は「小鱗鱵(小鳞鱵xiǎolínzhēn シアオリンチェン」。

象徴

腹黒い人の象徴とされることがある。これは本種の腹の中身が黒いことに由来する。俳句では春の季語である[6]

名前

日本魚類学会では2020年現在、魚類に厳密に標準和名を定めていないが、「サヨリ」が事実上の標準和名に相当する名前として広く使われ、この名前を使う図鑑や目録が多い。同学会が標準和名制定の参考にするとしている『日本産魚類検索:全種の同定Ⅰ 第2版』(2000年)[2]でもこの名前で掲載されている。

方言名も非常に多い[7]

種小名 sajoriは和名「サヨリ」に由来するもので、模式標本採集地の長崎周辺での呼び名からだという。属名 Hyporhampusは「下に嘴」という意味で、本種の長く突き出た下あごに由来する命名である[8]

近縁種

サヨリ科の魚は全世界の熱帯・温帯から12属・80種以上が知られ、うち日本には6属・13種が分布する。

センニンサヨリ
Hyporhamphus quoyi Valenciennes, 1847 (Quoy's garfish)
ダツ目サヨリ科サヨリ属。全長40センチメートルほど。サヨリによく似ているが下顎がやや短いこと、尾びれの切れこみが深く下半分がトビウオと同様に突き出ていること、体の断面が丸っこいことなどで区別する。インド洋から太平洋の熱帯域に広く分布し、日本では小笠原諸島九州南西諸島に分布する。内湾の表層に群泳するが、大きな河川では上げ潮に乗って汽水域に進入することがある。沖縄方言ではミズバユーと呼ばれる。
クルメサヨリ
Hyporhamphus intermedius Cantor, 1842 (Asian pencil halfbeak)
ダツ目サヨリ科サヨリ属。全長20センチメートルほどの小型種で、下顎の先端が赤ではなく黒いのが特徴である。汽水域を主たる生息域とし、ときに純淡水域まで侵入する。中国、朝鮮半島、本州、九州に分布する。準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト
ナンヨウサヨリ
Hemiramphus lutkei Valenciennes, 1847 (Lutke's halfbeak)
ダツ目サヨリ科ホシザヨリ属Hemiramphus)。全長30センチメートルほど。やや小型で、センニンサヨリとは逆にサヨリより下顎が長い。インド洋・西太平洋の熱帯域に分布し、日本では西日本の太平洋側に分布する。
ホシザヨリ
Hemiramphus far Forsskål, 1775 (Blackbarred halfbeak)

ダツ目サヨリ科ホシザヨリ属Hemiramphus)。全長60センチメートルほどに達する。下あごが長く、和名のとおり体側に黒い斑点が数個点在する。インド洋・西太平洋・地中海東部まで分布し、日本では西日本の太平洋側に分布する。

コモチサヨリ
Zenarchopterus dunckeri Mohr, 1926 (Duncker's river garfish)
ダツ目コモチサヨリ科Zenarchopteridaeコモチサヨリ属Zenarchopterus)。全長15センチメートルほどの小型種で、尾びれには切れこみがなく三角形をしている。和名どおり卵胎生で稚魚を産む。ベンガル湾から西太平洋の熱帯域に分布するが、日本では先島諸島に分布する。汽水域で一生を過ごすので、マングローブ林の水路などで見られる。準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト
デルモゲニー
Dermogenys Kuhl & van Hasselt, 1823
ダツ目コモチサヨリ科Zenarchopteridaeデルモゲニー属Dermogenys)。全長8センチメートル程の小型種。タイ王国マレーシアなどの淡水域に生息。一生淡水で過ごす。鑑賞魚としても出回っており、アクアリウムで飼育される。卵胎生。
マラヤン・ハーフビーク
Dermogenys pusilla Kuhl & van Hasselt, 1823 (Malayan halfbeak)
ダツ目コモチサヨリ科Zenarchopteridaeデルモゲニー属Dermogenys)。

脚注

関連項目

外部リンク

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